喧嘩するほど(適当)


高名な上忍と、それから親しみやすい受付職員。
この二人と一緒の任務を割り振られた時は、ほっとしたものだ。
高名な上忍の業を間近でみることができるし、緊張しすぎても受付職員が和ませてくれるだろうと期待していた。
だが現実は。
「だから!アンタがあの時醤油さしを…!」
「なによ!悪いのはそっちでしょ!あんな所においとく方が悪いじゃない!」
「折角の…折角のひややっこだったんだぞ…!」
この二人は任務が始まる前から険悪なムードを漂わせていた。
現地に着くまでひとっことも話そうとしない二人。
気まずさを押し隠して、さっさと任務を追えることに集中したのだが。
…目的地に着いて、しかも戦闘が開始されるなり、二人は勢いよく互いに文句を言い始めたのだ。
しかも襲い掛かってくる敵を片っ端から片付けながら。
「あのー!すみません!に、任務中なんですけど!?」
おずおずと、だが必死で咎めた。
「あ、すみませーん!」
受付にいるだけあって、受付職員の方は頭を下げてくれたのだが。
「煩いなぁ!敵片付けながらやってんだから文句ないでしょ!」
「…く…っ!」
凄まじい殺気だ。さすがにビンゴブックに載るだけはある。
「こら!何やってんですか!味方に殺気なんて…!」
「邪魔だったんだもん。しょうがないでしょ?」
「しょうがないわけあるかー!だからアンタは無神経だって…!」
「無神経はどっちなんだか…」
「…なんだと!?」
「だーかーら。アンタのそういう鈍いトコが腹立つっていってんの!何でそう無防備なのよ!こんなの庇って…アンタ惚れられたらどうする気!?」
「はぁ!?仲間庇ったくらいで惚れられてたら、とっくにもっと凄いコトになってるだろうが!」
「へー?そういう態度取るんだ?」
俺が殺気にやられてへたり込んでいる間にも、二人は激しく言い合っている。
…が、話の展開が妙だ。
「…ソースかけるの止めてくれなかったくせに!」
「はぁ?今その話してないでしょ?」
「煩い煩い!偉そうに怒ってばっかなくせに…俺の冷奴も助けてくれなかった…!」
「そっちこそ!そこらじゅうに愛想振りまいてさ。なんなのよ!」
「俺は普通に仲間を大切にしてるだけだ!愛想なんて振りまいてない!」
「怒ってるとかって…心配だから言ってるのに!」
「馬鹿馬鹿馬鹿!カカシさんの馬鹿!」
「どっちが!…こうやって俺がいない間の任務でもそこら中で…!」
不穏すぎる会話を、俺は身を持って止めようとした。
「あ、あのー…お願いですからその辺で…!」
「アンタちょっと黙ってなさいよ…?」
「今この馬鹿と話してるから、邪魔しないで下さい!」
…どうしてこんなときばっかり息があってるんだ!?
「ひいいっ!…で、でもですね!?ほら、敵方の増援がもうすぐ…!」
怯んでばかりもいられない。このまま争っていたら、俺たちは全滅し兼ねない。
…というか、主に俺が危ない。なにせこの二人は罵り合ってるくせに、互いに向けられた刃を防ぎ、敵を素早く倒しているからだ。
「そう…邪魔するんだ?」
「へ!?」
「鬱陶しい奴らだなぁ…?」
「へ!?だから!あの!その!?」
何だかしらないが、二人のチャクラが急にうねりを上げ始めた。
「片付けるよ」
「そっちこそ!…俺は、後方を」
「そ?じゃ、俺は…そのまま正面から叩く」
「トラップは任せてください」
「折角アンタが削ってくれるんなら、獲り落とせないねぇ?」
「アンタが正面突破なら…しっかり戦力削らないと」
「待ってる」
「こっちこそ!…後で!」
「え、えええ!?」
なんなんだ。一体。さっきまでアンタラ喧嘩してたんじゃなかったのか?
「ん。…じゃ、アンタは一応邪魔にならないようについてきな!散!」
俺が突っ込む前に二人は勝手に行動を開始し、敵のチャクラはあっという間にその数を減らしていく。
「え!?あ!?いない!?…うぅぅ…!なんだってこんなスリーマンセルに配属されなきゃ行けないんだ…!」
叫び声に応えるモノは誰も居らず、俺は彼らの行動に悪態をつきながら、必死で戦うほかなかった。

…後から、「よくあのバカップルと一緒の任務なんか引き受けたな?」と言われたが、知ってるならなんで教えてくれないんだ!


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適当ー!
とある忍の可愛そうな経験の話。
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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