んー?どうかな。起きないかな。思ったよりイイ感じ? …って、酒と暗示と幻術で眠らせといていうのもなんだけど、この人ってホント無防備でかわいい。 ベッドの転がされている自分の状態なんて、多分少しも把握できていないだろう。 「ふが?んぐ?うーうぅ…?」 手始めにキスしてみたら、舌なんか使ってくれちゃってうれしくて勢いあまってやっちゃいそうなんだけど。 ま、だからってやっちゃうのはまだ早いってのはわかってるんだ。この人はこんなにも隙だらけで、いつでもどうにでもして?って感じなんだけど、恐ろしく頑固で己の意思を曲げることなんてほとんどない。一応合意を得てからのがいいだろう。 ナルトを人質にーとか、やらせてくれる可能性が高い手段はいくらでも思いつく。ただそれを実行したときに、この人は本気の本気で一生許さないって結論を選ぶことが簡単想像できる。 ほだされてもらえる自信もあるけど、それを自分の意地で曲げないだろうこの人は、たぶんその自分の決断に追い詰められて傷ついて、それでもやっぱり頑固だから一度決めたことを覆したりはしない。 そんなの楽しくないじゃない?やりたいのはこの人だからなんだもん。 出会ってからこの人が欲しくてたまらないのに、失敗なんかできない。その目で見られた瞬間、食欲から性欲からなにもかもがこの人に向かって一直線に向かっていって、自分でも驚くほどだった。 この人のことが嫌いだって感情も実のところある。 同じように奪われて傷つけられたのに、折れずにゆがまずに他を慈しめる。…それも自分の大切なものたちの命をあっさり根こそぎ刈り取ったものを内包しているのに。 俺には無理だ。憎んじゃいないが、哀れむこともできない。 先生の子どもで、クシナさんの子どもでもあって、大切に守ってって頼まれてなかったら、多分哀れな生贄だからといってなんの感情も持たずに、わざわざ育てるなんてことも考え付かないで殺していただろう。 不思議な人だ。なんてうらやましくてきれいで強くて、いっそ全部食って取り込んでしまいたくなる。 それくらい好きだ。欲しい。 「イルカせんせ」 「…んぁ?かかししぇんせー…?」 術にかかってとろんとした瞳は、まるで感じているみたいで体が熱くなる。この人はやっぱりすごくかわいい。単純なようでいてぜんぜん思うようにならないところも。 「イルカ先生は、俺のことどう思ってるの?」 素顔を晒してみせると、いきなり目をむいてのけぞった。えーっと?これってどういうことよ?相手は女じゃないけどこの手はたいていの人間に使えるんだけどね。この人はそんなところまで規格外なんだろうか。 「おおおおそれおおい!あとあんぶ!ほくろあったんですね…ってちがうちがうそうじゃねぇ!しまいなさい!あとええとその、…好きだからっていきなりやっちまったりしたら嫌われるだろうしな…でも避けられたら死ねる」 本音駄々漏れのこの人は、よりいっそうすごくすごくかわいいってことがたった今判明した。 なにこれやっちゃって大丈夫なの?どうしよう? 「あのね、俺もイルカ先生のこと好き」 一応あいての出方を見極めるべく、キスなんてしてみたんだけど。 …寝室は一瞬で真っ赤に染まった。腕の中で震えている人の鼻血で。 「カカシさん…本当に面目しだいもありません!酔っ払った挙句にご迷惑を…!」 「ん。いーのいーの。それよりちゃんと寝ててね?」 鼻血の量に命を機器を感じて造血丸と兵糧丸を飲ませた人は、頬をピンクに染めたままベッドに転がっている。 確かに盛り上がったモノの始末には困ったけど、これで同意は得たも同然。どうも緊張しすぎちゃうみたいだから次からは幻術のレベル調整しようっと。 なんていうの?これって、人生ばら色? 「カカシ先生…!」 なんか感動してるっぽい人は、さっき聞こえてないとでも思ってるのか、いつ告白しようとか当たって砕けちまってもとか、でも怖い思いなんてさせたくないとか、随分素敵な独り言を言っていた。すごく楽しみなんだけど。 「イルカ先生。今晩は泊まっていってくださいね?」 「は、はい!」 真っ赤になってうなずいてまたちょっとだけ鼻血をこぼしそうになったかわいい人は、夜になったら元気になっているだろう。そうしたら…どう料理しちゃおうかな。考えるだけで楽しい。 布団の中でもそもそもだえている姿も愛らしいから、とりあえずしっかり眺めて観察しておくことにした。 だって夜はまだまだ先だもんね? ******************************************************************************** 適当。 獲物が上狙いとは気づかぬまま有無を言わさずくっちゃったとか食われちゃった方も男としての矜持とかに苦しみつつもほだされちゃったりとかとか。 |