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「たまには話せないイルカ先生もかわいいと思って！」 憩いの我が家に帰るなり、羨ましくなるくらい楽しそうな上忍に拘束された。 いつもの事だがいい加減なんとかならないものだろうか？ 勝手に家に住み着いてる事でさえ受け入れがたいのに、時々どころか頻繁にこうして俺を縛り付ける。 …それも至極嬉しそうに。 今日はどうやらまた新しい道具を持ち込んできて、ご機嫌だ。 こっちの苦痛などどこ吹く風ではしゃいでいる。 緘口具…捕虜の自殺防止や拷問用に時々使われるそれを、目の前の男は違う用途で使うつもりらしい。 …まあ、ある意味拷問だが。 口の中に押し込まれた樹脂製のそれは、舌の上に居座って動きを制限する。おかげで呼吸はかろうじてできるが言葉を発するコトができない。…つまり、口が閉じられないのだ。 無様にも口元から唾液をたらしながら床に転がる俺を見つめる男は、うっとりと目を細めている。 新しいおもちゃを与えられた子どものように無邪気なその表情から、この行為への背徳感や罪悪感は微塵も感じられない。 「ねぇ。俺の名前呼んでみてよ？」 無茶いうな！ そう叫ぶはずだった俺の口からは、もごもごと曖昧な音が吐き出されただけだった。 当然だ。口は閉じられないし、舌も録に動かせないんだから。 だが、それでも上忍は満足したらしい。 「あぁやっぱりかわいい…！ねぇ、もっとしゃべってよ？」 子供の様にねだる男は、自分が本当は何を求めているのかわかっていないらしい。 こうして妙な道具を持ち込んでは人を縛り付けて喜んでいるくせに、今までそういう意味で手を出されたコトは一度もない。 縛って、気が済むまで俺の反応を楽しんだ後、慌てたように俺を拘束するものを剥ぎ取って、人がかわったように大切そうに…まるで宝物のように風呂にいれ、飯を差し出し、その腕にしまいこむ。 その瞳に飢えをちらつかせながら。 …いつ気付くんだろうとため息がでる。欲しいというならくれてやるのに。 だから、こんなコトをする前に言うべきことがあるだろう？ ソレを言ってやらないのはわがままな子どもへの最後の意地だ。 最初から好きだったなんて今更言えない。…捕まえてくれて嬉しかったなんて。 どうしてあれだけ俺を見ているくせに気付かないのか不思議でしょうがない。 それなのに瞳だけで飢えを訴えて欲しがって…俺に懇願する。 伸ばしかけた手は答えを知っているはずなのに、今更遠慮するなんて！ 今更欲しがってなんかやるもんか！絶対にそっちから言わせてやる！ そうして、今日も俺を抱きしめる男の腕に閉じ込められたまま眠りにおちる。 きっともう我慢の限界が近づいている。…俺もだけど。 なによりこの馬鹿な男が。 俺を抱きしめて伸ばしそうになる手を堪え、息を殺して熱を孕んだ身体をもぞつかせる男が。 早晩俺にその思いを白状する日が来るだろう。 俺が欲しいと。その身体で。 あぁ…はやくその日が来ればいいのに。 その時が来たら、一発殴って、それから抱きしめ返される喜びを教えてやろうと思った。 ********************************************************************************* 単発でマニアックすぎるヤンカカモノ。 イルカてんてーがまっくろ。カカチは何気にヘタレ。 …石は…石は投げんとってぇー…！！！ |