「これ外して」 「だめ」 カカシはやっぱり今日もおかしかった。 いつもみたいに遊びに来て、いきなり俺の首に縄を巻きつけてきたんだ。 父ちゃんの友達で幼馴染でコイツの父ちゃんでもあるえーっと?しろいなんだっけ? …とにかく、その人もちょっと変わってたっていうから、きっとカカシも父ちゃんに似たに違いない。 亡くなったその人の代わりに、父ちゃんがカカシをつれてきてからもうどれくらいたっただろう? 父ちゃんとか母ちゃんがいるときは普通の顔で普通のことしかしないけど、父ちゃんと母ちゃんが任務でいないときは、いっつもこうやってよくわかんないことをしたがる。 あんまり変なことするから、ちょっとおかしいなぁと思って父ちゃんに相談したこともあるけど、急に泣き出して仲良くしてやってくれっていうからしょうがないなって、俺も男らしく受け入れることにしたんだよなぁ。俺だって急に父ちゃんに何かあったら、悲しいし怖いし人生に張りがなくなる。からかうと楽しい人ナンバーワンだもん。 でも、やっぱりカカシは変だ。うん。それは間違いない。 「首擦れたら痛いじゃん!」 それはもう幸せそうに俺をつないだ縄を握り締めたカカシは、にっこり笑って俺の疑問を一蹴した。 「イルカが痛くなるような質の悪い縄なんか使ってないよ?」 父ちゃんや母ちゃんが天使みたいと称する笑顔は、俺にはなんだか…なんだかもっと怖いものに見えてならない。 それに確かに痛くないけど、ヤなもんはイヤだ。 「こんなのつまんないじゃん…。ふつーに遊ぼうぜ?」 「俺は楽しいけどねぇ?」 うーん?やっぱり駄目そうだ。 まあカカシは普通の遊びもちょっとおかしいから微妙だし、今日は大人しくこの変な遊びに付き合った方が無難かもしれない。 前にかくれんぼやったときは、術まで使って俺を探り出して…そういえばそのときも縛られたな、縄じゃなくてカカシの額宛だったけど。 「駄目でしょ?」って、かくれんぼなのになにが駄目なんだかわかんないけど、首に噛み付かれて変なとこ触られた。 なんか…ちんちんつぶされるかと思って流石にそれはお遊びの域を超えてるから、様子がおかしいカカシのちんちんつぶし返そうとしたらそのままなんか変なことされそうになって…。 とっさにもう母ちゃんが帰ってきてるからおやつ食いたいって、出来立てじゃないとヤダって喚いたおかげでなんとか変なことは終了した。 んだけど、こうやって再開されてること考えると、カカシはぜんぜん諦めてないんだろうなぁ…。 「イルカ…ねぇ。ちょっと痛いかもしれないけど、すっごく気持ちよくなりたくなぁい?」 甘い甘い声。…俺は知ってる。こういう言い方は罠だって。 母ちゃんが晩御飯のリクエスト忘れたときとか、父ちゃんがうっかり俺のおやつ作るの失敗したときとか。 つまり、こういうときはきっぱり断るに限る。 「ヤダ。おやつ食って昼寝して、夜は花火するってもう決まってるの!晩御飯当番もあるし!」 途端にしょんぼりしたカカシに、ちょっとだけかわいそうかなぁって思ったけど、甘い顔するとカカシはなにするかわかんないから、ここは心を鬼にするべきだろう。 「イルカ…なんで?なんでだめなの?」 「なんでって…だって痛いの嫌いだし、腹減ったし、花火は今日こそは父ちゃんに勝って、線香花火じゃなくてスパークエクストラボンバーで遊ぶんだ!」 大人気ない父ちゃんとのじゃんけん一本勝負に負けると、俺は線香花火しかやらせてもらえないんだ。真剣な男と男の勝負に備えて、英気をきっちりやしなっとかないとだよな! 「…はぁ…うみのさん、次の任務いつかなぁ…おやつ、おやつにって手もあるか…」 ぶつぶつ言ってるカカシは、見た目はいいけどどう考えてもろくなこと考えてないだろう。 「なぁ、もういいだろ?これ解いて?そんでおやつ食おう?」 後ろからしがみ付いてがたがた揺らしておねだりしてみた。父ちゃんには結構効く。そんで母ちゃんも撫でてくれる。 だからカカシにも効きそうだと思ったんだけど。 「なにもう!誘ってんの?かわいいんだから!」 うーん。意味不明だ。相変わらず。 「うん!おやつ食おうぜ!」 今日は父ちゃんが当番だからきっととろとろプリンだ。うまいんだよなぁ…! 「俺はイルカが食べたいんだけどね」 いつも通りの台詞を吐いたカカシをせっついて冷蔵庫に向かった。 食ってる間も多分おかしいんだろうけど、こういう生活は嫌いじゃない。 誰もいない部屋で一人で待ってるよりは、ちょっと…いや大分変だけど基本的には優しいカカシと一緒の方が楽しいもんな! 「プリンープリンー!」 「はぁ…」 …そんな訳で、俺たちは結構楽しい生活を送っている。 ********************************************************************************* 適当。 アホの子と変態の組み合わせが好きすぎるのかもしれませぬ…! ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |