かげろう(適当)


ある日のことだ。
その日はヤケに暑かった。陽炎の立つ道で吹きだしつづけ、地に零れ落ちる汗をぬぐうこともせずにただ歩いていた。
ソレを見つけたときも、だから最初は暑さに浮かされてみた幻だと思った。
白い白い男が、ぼんやりと畑に立っている。その顔を覆う面は見覚えのあるものだったが、その装束はみたことのないものだった。
だがその肩に赤く浮かび上がる永久化粧が、その男が暗部なのだと教えてくれた。
白い服は…任務なのだろうか?気付けばぶしつけな視線をぶつけていた。地に立っているのにまるで幻のようだ。
汗が、零れ落ちていく。視線を外すこともできない俺の足元に水溜りが出来そうなほどに。…ふと、その人影がゆらりとゆらめいたようにみえた。
「ねぇ。どうしたの?」
「あ…」
間近で聞く声は確かに人間のモノで、耳に良いそれはこの空気に飲まれかけていた俺を正気に戻してくれた。
「ああ、大丈夫そうね?…かえんなさい。これからここは戦場になるから」
白い影が面の奥でそう言って…笑ったように思えた。
「ご武運を」
俺が言えたのはそれだけで、気付けば何かに急きたてられるように足を速めて駆け出していた。
*****
「はたけのカカシ…だったんですねぇ。ほんとに」
笑い話にもならない。あの白い衣が敵の術を防ぐための装備品だったのだと聞かされてもまだ、俺はあの存在がなにかもっと別の…異質な存在のように思えていたから。
あの日、逃げるようにしてたどり着いた家に、この男が追いかけてきた時にもそう思った。
「忘れ物」
その手に握られていたのは、確かに俺が汗を拭っていた手ぬぐいで、男が意外と律儀なのだとその時知った。
…それから、思い切りの良いほうなのだというコトも。
「うみのイルカさんだもんねぇ?今度海にでもいってみよっか?」
くすくす笑う男が手ぬぐいを受け取った俺に「で、さ、好きなんだけど」なんて言い出したときは思わず目を剥いたものだ。
驚いたのはその時だけで、さりげなく距離をつめ、律儀に俺に思いを告げ続ける男にほだされるのに、そう時間は掛からなかった。その手際は流石暗部だといわざるを得ない。
いや、むしろこの男のタチだろうか。
告白を受け入れ、それから程なくしてこうして情を交わすようになっても尚、俺にはこの男が時折人ならざるものに思えるときがある。
「ねぇ。もっかいしよ?」
露になれば思ったより幼く、だが整いすぎるほどに整ったその顔が、人を惹き付ける様に作られたとしか思えない声が、いつだって俺を簡単に支配する。
夏の魔物に魅入られたのだ。
そう思うことにして、強請る男に応えるために唇を重ねた。
白い白い男が赤い口をにいっと吊り上げて笑う。…その口に飲み込まれて食われてしまえたら。
そう願うことを、この男は知らないのだろう。
いつか、そう、いつか。…時がきたら告げてみようか。
あのときから、俺はアナタに食われてしまいたいのだと。
「カカシさん」
「ん。…おいで…?」
俺の肌をなぞり、魂ごとくらい尽くされそうなほどの愛撫をくれる男が、俺に一瞬の小さな死をくれるのを待ちわびた。
夏の、あの日に出会った魔物に食らい尽くされる日を夢見ながら。


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適当!
とっくにお互い綺麗さっぱり食べつくされててもう一体化してるよ!って感じで一つ!
夏なのでめるてぃでめろめろな感じにしてみたのでした。
…カカチ視点はいりますか…?むしろかぼちゃのてんぷらの方がニーズありそうな気もするのですが…。
増えたら!ごめんなさい!
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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