ナチュラルストーカー(適当)

「「これ美味いね」
「そうですか。つか食ったら帰れよあんた」
「えー?ヤダ」
「ヤダじゃねぇ!」
こうして飯を集っていくのが上忍だなんて、世の中どうなってるんだろう。
薄給だしその割には忙しいし、でも食生活をおろそかにするのは忍としての心得を教える身としてはまずいだろうと、一応自炊だってしてる。
そりゃ一楽にだって玉にはいくけどな?
そのつましい暮らしの中一生懸命に生きる中忍に集っているのは、エリート上忍で無駄に顔がいい上にさらには人望まであるはずのこの男だ。
普通に歩いてたらいつの間にかついて着てて、ごく自然に家にまで上がりこんできた時は、なんかの任務かとおもったくらいだったんだが、それ以来コイツは毎日のように俺の家に上がりこむようになった。
最初はあった遠慮が段々と失われていったのは、俺のせいだけじゃないはずだ。
傍若無人だし、態度でかいし、なんでかしらないけど俺のベッドに潜り込んでくるし!
礼儀正しい中忍でいろって言われても、そりゃ無理ってもんだろう?
「あ。イルカ先生それもおいしそう」
「これはダメです!貰いもんなんだから」
ふたを開けようとした途端、目ざとい上忍が当然のように手を伸ばそうとした。
油断も隙もない。
生徒…っていっても元がつくけど。
そのかわいいかわいい元教え子が任務先でわざわざ俺のために買って来たものを、なんでこの上忍に分け与えなきゃいけないんだ。
心が狭いといえば狭いかもしれないが、こんなヤツに寛容になれるほど、俺の心は広くない。
追い出しても追い出しても戻ってくるとかどういうことなんだよ…。
…冬はこいつのせいで布団が暖かくてついつい睡魔に負けがちだけどな…。
「んー?でも、それちょうだい」
「え。あ…?」
突然のめまい。何をされたか分からないわけがない。
コイツ…!家主に向かって幻術使うとかどういう了見だ!?
美味そうな珍味のなんとかっていうビンを開けた男は、勝手にそれをぺろりと舐めてしまった。
「…あ、やっぱりこれ食べちゃダメ」
「んで、そんなことアンタに…!」
あの子に貰って、折角楽しみにしてたっていうのに、こんなヤツに止められる筋合いはない。
無様に動けない体が悔しくてならなかった。
「そりゃとーぜんでしょ。これ、毒」
「え…?」
「ま、毒っていうより洗脳目的だったかもねぇ?やっと尻尾つかめたからこれでどうとでもできる。ありがとね?」
にこやかに微笑んだ男の顔を最後に、俺の意識は途切れた。
*****
翌日からキレイさっぱり男はうちに寄り付かなくなった。
平穏無事な暮らしってのはありがたい。
飯は一人分でいいし、残り物でも気にしなくていいし、食べたいものを上忍から守るために戦わなくてもいい。
…寂しいなんてのは気のせいだ。
布団が冷たい。
そこだけは便利だったのに、このクソ寒い時期にいなくなるなんて、どこまでも迷惑な男だ。
そういえば俺の楽しみにしていたあのビンどころか、その日の夕食はきっちり片付けられていたっけ。
「あいつ、俺の飯くってったのかな」
それとも最後の礼儀だったのか。
まあ、もう今更どうでもいいんだけど。
「食べたよ。今日はなぁに?」
「はぁ!?」
「あ、でももう寝るけど。明日の朝ごはん楽しみにしてる」
当然のように潜り込んできた男のお陰で、すっかり目が覚めてしまった。
「何でお前!?」
「だって邪魔者片付けてきたから疲れちゃったんだもん。おきたらご飯よろしくねー」
勝手なことばかり言う男は、それだけ言うと満足したのか幸せそうな寝息を立てている。
なんだよ!何なんだよコイツ!
「くっそ!起きたら覚えてろよ!」
とりあえず、久々に暖かい布団に潜り込みながら復讐を誓った。
こっそり抱きついたのは…熱源が不足してたからだってことにしておきながら。


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適当。
にくくってちょっとげんきでてねすぎた((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
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