プレゼント(適当)


「誕生日ですね」
ゆるゆると瞳を開き、愛しい人が俺を見た。
早速本題に入ったつもりだったけど、やっぱり素直によろこんではもらえないらしい。
「そうですねぇ。もうこの年になると祝うってもんでも…」
「もう!出会ってから毎年そういってるじゃない!」
イルカせんせったらすぐこうなんだもん。
他の…たとえば自分の生徒を祝うときや、同僚だのなんだのへはちゃんとお祝いするくせに、自分のこととなると後回しにしちゃうんだよねぇ。
こっちがどれだけ必死だかなんて考えもせずに。
俺だって、お祝いのためにどれだけ苦労したことか!
上忍が休みを取ることの大変さってものを、もうちょっとでいいから考えてくれたらいいのに。
祝いたい。だって純粋に生まれてきてくれたってだけで嬉しいんだから。
「そういやそうでしたっけ?最近物忘れがはげしくて」
「それも毎年言ってますよー?照れなくてもいいじゃない」
そんな風に言われたら、余計に色々したくなる。
毎年こうしてすっとぼけるのもいい加減にしたらいいのに。
そんなことするから、余計に煽られるのにねぇ?
「いい加減落ち着きませんか…?」
「落ち着くって?」
背後から抱き込んでみたら、困ったように眉を下げられた。
「真剣に不思議そうな顔されるといいづらいんですが、毎年毎年今日になると朝っぱらからぎらついた目で俺を見るの、やめてもらえませんかね…」
「ああ、無理」
っていうか、押さえ込む方法はなくはないけど、そんなことしたら俺のことなんかすっかり忘れられそうで怖い。
イルカ先生は薄情だから。…うそ。怖がりだから。
もし俺がしんだら、いないことに必死で慣れようとして、すぐにすっかり忘れたフリをするだろう。それから、本当に忘れてしまうかもしれない。
ほんの少しだけの欠片だけをのこして。
「そうですか。無理…ってなんで即答!?」
「だってずっとずーっと好きなんです。多分これからもっともっと好きになっちゃうし、そしたらもう我慢なんて無理でしょ?」
コレも本当。今だって心臓が爆発しそうなくらいどきどきしてるんだもん。そりゃむりってもんでしょ?
側にいたい。いきている間は絶対に。
「そこは我慢ってもんを覚えてください!腰が立たなくて翌日歩けないなんてのはいい加減卒業したいんですよ…。仕事だろうがなんだろうがかまわずに人を襲うのはどうかと思います」
「えー…?」
誕生日だからって興奮して、ついやりすぎてるのは確かかもしれない。それに打算もある。足腰立たなくなるまでやりたおすと、独り占めできるんだもん。
誰の目にも触れさせたくないくらい大事な人だから。
でも…これって今日は諦めろってこと?
でも触れたい。キスしたい。俺のを入れてぐちゃぐちゃになるまで混ざり合いたい。
お祝いの日なんだもん。もう全力で俺の全てを受け取って欲しい。
「そんな顔してもダメなもんはダメです。週末ならまだしも…」
「え!」
今日は、確か週末だ。
曜日なんて関係ない任務ばかりですっかり感覚は狂っているけど、これはまちがいないはず。
「週末ならいいってもんでもありませんよ?念のため」
期待に満ちた視線で見上げたのに、あっさり却下されてしまった。
こうなると意地でも押し倒したくなるのが不思議だ。
「…でも無理なんだけど」
「まだいいますか。無理ったってちょっと我慢するくらい…」
「だって気持ちいい。触ってるだけでどうにかなりそうなくらいなのに。我慢なんてしたらおかしくなっちゃう。イルカ先生だけは我慢したくない」
他の事はいっぱい我慢してるんだから、恋人の誕生日を全力で祝うくらいいいじゃないか。
何もかもとりあげられてるんだから、俺もだけど、この人も。
なんだかすごく悲しくなったおかげで、ちょっと泣きそうな顔をしていたかもしれない。
「ああもう!俺の誕生日だってのに!」
急に抱きしめて返してくれた。
なんだろ?意味がわかんないんですけど!さっきあんなに嫌がったのに!
「なに?どしたの?イルカせんせ」
「いいから。黙れ。…今日はアンタが全力で俺を祝ってくれるんでしょう?」
男らしいキスを仕掛けられて、下半身は当然すっかりその気になった。
なんだろ?どうしちゃったのよ。…まあそんなのどうでもいいか。イルカせんせからのお誘いなんだし!
ここは全力でいかなきゃだよね!
「もちろんです!」
そんなわけで朝っぱらから恋人を押し倒していちゃいちゃして、ちゃんと手配しておいた美味しい食事も届けさせてまたいちゃいちゃして、お風呂に入りたいっていうからそこでもいちゃいちゃして、本当にそれ以外のことをしないくらいいちゃいちゃすることに成功した。
…疲れ切ってベッドに沈みこんでいるイルカ先生には申し訳ないけど、俺はなんだかやり遂げた感で一杯です。
プレゼントも、ちゃんと受け取ってくれたし?
指輪なんてっていうけど、いいじゃない?好きなんだもん。誰にも渡したくない。できるかぎりずーっと先の未来まで、俺だけがこの人を独占するんだ。
かわいらしい約束とかじゃなくて、どっちかっていうと縛り付けるためだってことはま、いいってことにしておく。
この先もずっといっしょにいるのは確定事項で、いたいよねー程度のそんな生ぬるいものは欲しくない。
「ああもう…明日は起きられないからちゃんと色々頼みましたよ…?」
「もちろん!…でもちょっとやりすぎちゃいましたね。ごめんなさい…」
いや。後悔はしていないんだけど!今も弱って無防備な肢体を晒している姿に、きっちりそそられたりしてるんだけど!
でも。今日は誕生日だから。もっと色々したいことがあったのかもしれない。
それをこれからも俺は全力で叩き潰すだろう。…他のやつらにひとかけらだってこの人を渡さないために。
「お祝いありがとうございます。もう寝ましょう?」
「ん。そうですね」
ぎゅっと抱き込んで腕の中に閉じ込めたら、なぜかイルカ先生がちょっとだけ泣いていた。
「なに!?どうしたの!?」
「いーえ。なんにもただちょっと腰がいたかっただけです。いいからほら、誕生日プレゼントはちゃんと俺にくっついてなさい」
「…!はーい!」
男前なんだからもう!
どうしよう。すごく好き。…好きすぎて閉じ込めないようにしないと。
「アンタ、ずっと俺のでいなさいね?」
うとうとしながらそれだけいって、イルカ先生は眠ってしまった。
なんだろ?ま、いいんだけど。そんなの当たり前だし。
「好き、大好き。…来年も一杯お祝いさせてね?」
抱きしめた身体の熱がとろかされそうに心地良い。
俺も、寝よう。明日は…いやもう明日って言うかもうちょっとで朝なんだけど、目が覚めたらちゃんと掃除も洗濯も全部して、それからまたいちゃいちゃしよう。
イルカ先生と俺の匂いが混ざり合ったのを胸いっぱいにかぎながら瞳を閉じた。
来年こそはもうちょっと素直に祝わせてくれるといいななんて思いながら。


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適当。
イルカ先生お誕生日おめでとうございます*。(*´Д`)。*°
お祝いだお祝いだお祝いだ*。(*´Д`)。*°
サイトよんしゅうねんだしなぁ(*´∀`)
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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