不要物廃棄規定(適当)


うすっくらいはなしちゅういー!


「不用品は適切に処分されるべきだと思わないか?それがただ人間だというだけで放置される。…それなら、俺が代行して何が悪い?」
言っている事は分からなくもなかった。
いらないものは即廃棄。妥当な考え方だ。俺もそう思う。
だからこそ。
「じゃ、さよなら」
ぱっくりと開いた傷口から溢れる己の血に溺れた男の口は、言葉の変わりにあふれ出る赤い液体と気泡でひゅうっと音を立てた。
…男にとって不要であるものを処分していただけだった。
そして手にかけてきた多くのそれには家族があり、その依頼を受けた俺が男の命を摘み取った。
男が、依頼人にとって憎むべき存在で…それから、不要なものだったから。
いずれは俺も不要なモノになるのだろう。
父がそうだったように。
里中があの人を否定しても、俺だけは必要としていた。
それが届かないほどの絶望が、あの人を殺した。
今は重宝される道具でいられるが、それがいつまでかなんて分からない。
使えないモノは即処分。
効率のいい方法だ。…忍など人でなしなのだから。
そう考えた所で、そして実行した所で、男のように消されることすらない。
忍の里では当たり前だ。隠されて入るが上層部は忍を、つまり人でなしを束ねるだけあって狡猾で冷静で残酷で、躊躇うことなどないだろう。
不要になる前にただの肉塊にかわるかもしれないし。…ああ、でもむしろ欠片も残らないか。この借り物の左目を誰かに渡せわしないから、綺麗さっぱり俺ごと処分しないと。
「いらないって言われるのはいつなのかな」
それを求めているような気もする。
あの惨めで寂しい死に様を今でも思い出せるのに、俺には似つかわしいとさえ思えた。
…そういえば、必要だと言われたこともないのだから、そう大したことでもないか。
いるわけでもいらないわけでもない。ただそこにあるだけの道具。
「さーみしいねぇ?」
歌うような言葉は明るく空虚に響いて、妙に笑えた。
さあ、そろそろ帰らなくては。
そのいつか来るまでは、俺は優秀な道具でいなければならないのだから。
*****
「おかえりなさい!」
「ただーいま」
しがみ付くと、温かい腕が絡み取るように俺を抱きしめてくれた。
「なんですか?甘えちゃって。ほら、飯食ってさっさと寝ますよ!アンタ無理してばっかりなんだから!」
照れ隠しのつもりなのかどすどすと派手な足音を立てて台所に消えていくのを見送った。
耳の裏まで真っ赤に染めて、でも心底嬉しそうに俺を迎えてくれた。
「…この人にはいらないって思われたくないなぁ…」
他のどんな相手にいらないといわれても気にも留めないが、この人だけは。
「ほら、座って!一応飯作ってありますから!」
温かい食事は大雑把なできでも美味い。
俺にはこの人が必要で、この人も今は俺が大切だと言ってくれている。
「決めた」
いらないって言われたら消えてしまおう。
あのひのとうさんみたいに
…そうすればきっと誰かが俺を処分してくれる。
綺麗さっぱりチリ一つ残さず。
「なにがですか?風呂が先のがよかったですか?」
急に笑い出した俺を怪訝そうな顔で見ている。
「んーん。…ねぇ。いらなくなったらさ、ちゃあんと教えてもらわないとって思っただけ」
「今月のゴミ捨て当番は俺ですよ?いいからほら、さっさと食べる!青い顔しちゃって…!」
握り締められた手が温かい。このままずっと触れていたい。…もっとずっと深くまで。
でもその前に。
「ご飯、冷める前に食べちゃいますね?」
「あ!そうだった!ほらどんどん食べる!」
いそいそと料理を差し出してくれる人が、いつまでも俺を大事だって思ってくれるといい。
この人の大好きな笑顔で微笑んで、それに照れるのを見つめながらそう思った。


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適当ー!
暴走しすぎてうすっ暗い話を書いてみた。
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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