「だれにでも尻尾振るような犬は嫌いなんだよね?」 不満げな顔でそうつげた男は、そのくせ迷子の子どもみたいな顔でこっちをみている。 「で?だからなんですか?」 苛立ちを視線に込めて睨み返しただけで、ふいっと視線をそらすところがこの男らしい。 たかが元生徒に酒の席に誘われたくらいで毎回殺気立つなんて、迷惑な話だ。 それも、こっちはこの馬鹿が帰ってくるからとわざわざ断ってやったのに。 どこかでそれを見ていたらしい。 幸い仕事は終わっているが、一方的にこの男の部屋に連れ込まれたコトを正当化する理由には当然ならない。 「アンタ、何様?」 俺の怒りを察知してか今度は拗ねるのを止めたらしい。 有利にコトを進めようとするのは上忍の習い性だ。 人を威圧し、時に丸め込み、場合によっては詐術を用いてでも目的を達成する。 そんなことばっかり考えて育ったのに、こんなにでっかくなってから普通に付き合えってのが無理があるんだろう。それは分かってる。 …だからってそれを許すつもりはないだけだ。 疑り深いこの馬鹿がこうして拗ねるたびに振り回されていたら、俺は忍どころか人間もやめなければならなくなる。 今は…力任せに押し倒されているだけだが、最初の頃に比べれば随分ましだ。 いきなりひん剥かれて突っ込まれた挙句に、足をもぐだの閉じ込めるだの騒ぐ馬鹿に、流石に最初は呆然とするしかなかった。 腹が立って、でも隙がなかったから突っ込んで出す瞬間に思いっきり殴ったら、みーみー泣くし、何で拒むとかなんとか…。 なんだろうこの頭の悪いイキモノと思って、ついでに俺の中の教師魂と…余計なものまで疼いたのがいけない。 まあようするに…俺はこういうひねくれたイキモノが一生懸命になってるのが好きだ。 懐いた瞬間の豹変振りが強烈だからかもしれない。 …我ながら曲がった趣味だと思うけど。 「俺は俺だ。不満ばっかいうな」 頬をひっぱって、ついでに鼻もつまんで、むっとした顔で殺気を飛ばしてきたところで、強引に唇を奪ってやった。 やさぐれている割に簡単に快感に流される所も上忍らしい。 刹那でものを考えるから、直情的というか…得られるものは全てむしりとってから後のことを考えようとする傾向がある気がする。 特に、この男には。 「アンタ、あとで覚えてなさいよ」 毒づきながらも足の間にこすり付けられる熱はとっくに後戻りできない状態になっている。 こういうとき、他所でも同じようなことしてるじゃないかと思うこともあるのだ。 興奮した状態で誘われたら誰にでも腰を振るんじゃないかって。 …こっちこそそんな駄犬は嫌いなんだよ。 ふと思い立つとどうにも黙っていられなくなって、この男のマネをしてみることにした。 「俺も、どこででも腰を振る馬鹿は嫌いだけど、あんた他所でやってねぇだろうな?」 殺気立つ俺に向けられたのは、まさに尻尾を振っているとしか思えない程、笑み崩れた男の顔だった。 「ねぇ。もしかして俺のこと好きなの?」 舞い上がっているってのがよくわかる。 犬との違いは振るのがしっぽか腰かってとこだろうか。 今もぐいぐいおしつけられているものが、さっきよりずっと硬くて…熱い。 コレだけ喜ぶってコトは、普段あれだけでかい態度を取っておきながら、未だに俺の気持ちに気付けていなかったのか。さすがいきなり人を強姦するような馬鹿なだけある。 だれが大嫌いなヤツのために飯の支度だの怪我の手当てだの…ついでに休みなんてとってやるものか。 「さぁ…?どこででも尻尾振るような馬鹿な犬は、俺も大嫌いなんでね?」 暗に答えろと言ったつもりが、煮えきった男の頭には欠片も届かなかったらしい。 「俺の。ねぇ。全部俺のだから」 すがりつくというか貪りつくと言うか…とにかく勢い良く襲い掛かってきた男に、俺は散々な目に合わされたのだった。 ***** 「で、どうなんだ」 目が覚めてだるいし痛いしまだ疼く体に鞭打って言ってやったというのに。 「アンタ以外に勃たないんだけど。責任取りなさいよ」 …この馬鹿がそんなことを言いながらもう何ラウンドか分からない行為に縺れ込んで、結論としてこの馬鹿は、やっぱり俺のモノだってコトが分かったから、とりあえず日々調教にいそしむことにした。 俺のものなんだから責任とらないといけないしな? ********************************************************************************* 適当。 ね、ねおちしまくりました((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |