怒り(適当)


「出ていけ」
まるで刃のようだ。
その視線に切り裂かれる。
愛も欲望も全部切り捨てて、突きつけられるのは怒りと、それから拒絶だ。
研ぎ澄ました切っ先は、どんなに平静を取り繕っても俺の内側の柔らかい部分をえぐり、ゾッとするほどの痛みとともに高揚感もつれてくる。
もしかしたら変態なのかもしれない。
いやどっちかというとこの人にとっては強姦魔か。
自分の家に湧いて出た上忍に、いきなりこんなことされるなんて、考えても見なかったんだろうにね。
触れたい。あれだけ好き放題にしたのに欲は後から後から湧いて出て、今もいつタガ外れるか自分でも分からない。
怒りに青ざめ、震える唇を奪った。
血の味がするのは、さっき噛み付かれたからか。
どっちにしろこの人はどこもかしこも美味そうで、俺がホンモノの獣だったら、骨の人欠片も残さずに平らげてしまうに違いない。
「…っふざけんな!くそ上忍…っつ…!」
泣き顔はとてつもなく胸をときめかせてくれる。
抱いて俺のでぐちゃぐちゃにして、それから睨み付けられてるなんて最高じゃない?
今、この人の中は俺で一杯だ。
中にも一杯だしたしねぇ?
下衆なことを考えながら笑った。
…それにおびえてくれるような人じゃないんだけど、ね。
「あー…おいしそう」
怒りのせいか瞳孔が開き、元々真っ黒な瞳がより一層色濃く輝いているように見える。
なんて綺麗。
「ちかよる、な…!」
身がまえようとして一瞬顔をしかめた。
痛いんでしょうに。だって相当強引に抱いたもの。
丁寧に舐めてほぐして突っ込んだけど、正直何回出したのかなんて覚えていない。
沢山沢山俺を注ぎ込んで、この人の中にしみこめばいいのになんて思いながらキスして痕も残して、それから囁き続けた。
「言ったでしょ?もうアンタ俺のモノですよ」
ほら、俺はさ、色が薄いでしょう?
うすっぺらいお化けみたいに。
俺を置いて随分と前に逝ってしまった人と生き写しらしいから、何度も化けてでたなんていわれたし?
そういうのはそっくりになるまで育つまで生き残ってたってことだから、強くて命汚いのが多くて、それが必死になって向かってくるのはおもしろかった。
化け物だって。…忍なんてみんな対して変わらないってのにね。
「そんなもん知るか!俺は誰のものでもない!俺は俺の…」
言うと思った。ある意味ホッとしちゃう。
そう。アンタはそれでいい。
「そうね?…ねぇ。だったら里のモノでもないでしょ?」
「は?」
本気でわからないと言った顔で、一瞬警戒すら放棄した。
疲れさせちゃったし、そろそろ眠ってもらおうかな。ま、起きたらまたスルけど。
「誰にも渡さないから、安心してね?」
「…っ!」
触れると強張る体は、何度も俺でイった。
どうしたらいいかわからなかったんだろうに、体まで素直な人らしい。だからこそたまらなくいやらしいなんて分からないんだろうけど。
「俺が死ぬときは、ちゃんと連れて行ってあげるから」
「え…」
ああ、真っ黒だ。
なんて綺麗。
大丈夫。俺は置いていかない。もったいなくてできないもの。そんなこと。
「おやすみ。イルカせんせ」
抱きしめると限界がきたのか、抗う手はあっさりと力をなくした。
シーツもベッドもどろどろだけど、今はいいよね?
だって大事なモノが腕の中にある。…誰にも盗られないくらい近くに。
「…うそ、つき」
怒りというには弱弱しく、責める言葉は酷く甘かった。
零した涙も、全部俺のものだから。
だから安心して閉じ込められてね?
幸せな時間はどろりとした闇のように濃厚で、俺は甘い甘いため息をついたのだった。


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適当。
どろどろした感じで一つ。
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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