ふつうのれんあい?(適当)


実はかわいい生き物が好きだ。外見じゃなくて懐いてくれるとか、ちょっとひねててくれてもいい。
要するに庇護欲ってものが多分俺は強いんだと思う。
女性ならまだしも自分は男だ。奇異な目を向けられる可能性は高い。
そういう意味では今の職業について正解だった。
甘やかすときもあれば、厳しく叱ることもあり…要するに小さくて元気のいいイキモノたちを思いっきり構い倒せるのだ。
成長していく姿を見るのも楽しい。
あっという間に育って巣立っていくのに寂しさを感じないでもなかったが、それはそれだ。
育ってからもなにかと報告に来てくれたり遊びに来てくれたりするこの環境を、気に入っている。
気がつけば天職だと思えるほどに。
「お前ってほんっと生徒が生徒がーだよなあ?そんなんじゃ結婚できねーぞ?」
「あーあー。そんなのわかってるよ!俺だってそりゃ人並みに…!」
「なら、ちったぁ子離れしろって!な?よめさんはいいぞー?晩飯が美味かったって褒めてくれるし、あなたがアイロンがけしたのじゃないと着たくないなんていってくれるんだ!」
「そ、そうか…」
そういやこの同僚の嫁さん上忍だもんなぁ…。
結婚式でも尻に敷かれてるっていうより、傅かせてるって感じだったっけ。
二人とも幸せそうだったから、そういう夫婦もありなんだろう。
だがなんかこう。違う気がするんだ。俺には。
構い倒したい。それに…なんていうんだ?ある意味俺に依存してほしいんだ。きっと。
「まああれだ。急になんて無理だろ?なんなら嫁さんの友達紹介してやるぞ!」
「あー…遠慮しとく。今はまだ色々、な」
「そうか?まあいいけど。いつでもいいから声かけろよ!」
そういってさわやかに一気飲みした同僚にはいえなかったが、俺にはずっと気になる人がいる。
もう三年だ。気がつけばあの人を目で追いかけていた。
凄腕上忍で、元暗部だとも聞いている。
でも俺にとってはそんなのはどうでもいいことだった。
かわいい教え子を導いてくれる人だ。心配もあったがどうやらうまくいっていると知って、できる限りそっとしておこうと思ったのに。
あの人が、時々どこへ行ったらいいかわからない子どもみたいな目をするから。
「でもなぁ。好きだって言っても、中忍だし男だもんなぁ…」
ちょっとぼんやりしたところがあるから、そこを狙えばイけるかもしれないなんて考え始めた自分が怖い。
飯を食わせてつやっつやになるまで大事に大事にして、ここにいていいんだと、むしろここが居場所だと刷り込んだら…きっとすごく幸せになれるのに。
これが恋愛感情だって気づいたのは、穏やかに微笑むあの人の夢を見た翌日、下肢を濡らしてしまってからだった。
要するに、俺はあの人にその手の欲求を抱いているわけだ。
男相手にやったことなどないが、やり方は知っている。
「まあでも、その前に飯一杯食わせて、あの不幸そうな顔なんとかしなきゃな!」
出会ってからずっと、時々かげりを帯びるその表情を綺麗さっぱり拭い取ってしまいたい。
それから俺のことを好きになってくれたら…最高じゃないか。
今の所、そんな妄想に浸ることしかできてないけどな。
****
告白された。
そりゃもう有頂天になるってもんだ。
アカデミー裏でなんていうから、一目のつかないところで打ち合わせしなきゃいけない任務でも入ったのかと思った。
でもちがった。
貰ったのは依頼書じゃなくて愛の言葉と口づけだった。
舞い上がりすぎて飯の話しかしなかったけど、本当は色々したい。
とにかく意気揚々と引きずって帰って、仕事もそっちのけで飯を食わせて、それから風呂にも入れた。
最初だし、いきなり一緒に入るのもなんだろうと遠慮したりもした。
…本当は鼻血吹いたらどうしようってのもあったんだけどな。
でだ、どうしてこんなことになったんだろう。
「あっ…!そ、そんなとこ舐めちゃだ…ぅあ!」
「おいし。イルカせんせかわいい」
ひとっことも人の話を聞く気はないらしい。
俺が突っ込まれる側だったのもショックだったが、胸だのなんだの触られて舐められて、気持ちよくなってしまう自分が恐ろしかった。
それでも。
「かわいいのは…アンタです…!」
ここだけは譲れない。なんていうか、このひとなんでこんなにかわいいんだろう。
「そ?まあどっちでもいいや。…いっぱいさせてね?」
そうして俺は、押し入ってきた熱に文字通りめちゃくちゃになるまで突き上げられた結果、意識を失ったのだった。
*****
後日、なぜか獲物のように縛り上げたアスマ先生を連れて歩いている紅先生に、声をかけられた。
「最近、どう?」
「あ、はい!あー…その」
「順調?」
「ええはい!そのう。なんだかめったやたらとかわいく見えるのが心配ですけど」
「ベタぼれなのねぇ?ならいいわ。じゃ、ありがと」
そうか。ベタぼれなのか。
アスマ先生も縛り上げられて幸せそうというか…まあ顔色は悪かったけど。
「まあいいや。帰ったらたっぷり甘やかしてやろうかな」
今日の晩飯はさんまだ。頬張る恋人が骨を上手くはずせたら、またちゅーしてやらないとな。
ふわふわした気分で家路をいそいだ。
俺を待ってくれている大切な人の下へ。


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適当。
まともなひとはけっきょくひとりもいませんでした
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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