二度寝(適当)


 お布団が恋しい季節だよねぇ。それもたとえば隣に恋人が眠っていたら、出たくなんかなくなるに決まってる。
 普段なら時間になったらさっさと目を覚まして身支度して、俺がいくら引き止めても出勤しちゃうけど、今日は二人とも休みだったから、つい、ね?
「うぅ…おあ!こんな時間ッげほっげほっ!」
「はいお水ー」
 寝起きはいっぱいの牛乳と決めてる人だけど、またむせたらすぐ洗わないと都会って逃げられちゃうもんね。
 口移しって辺りも実のところ長いこと野望だった。
 そのために一晩中やり倒しちゃうくらいには。
「うぅうぅ…立て、ねぇ?おお?なんでだ?」
「なんででしょうねー?」
 寝ぼけてるの?それとも素かな。この人に限ってはどっちもありうるから困る。
 何せ色事関係のことはさっぱりだから。
 教本に載ってることくらいは一通り学んでたみたいだし、俺と付き合い始めてから即効実地でも叩き込んだつもりなんだけど。
 やりすぎで動けなくなるってことまでは頭が回らない可能性が高い。
 俺がせっせと励んだおかげで感じやすくて飛んじゃうまでやったのは初めてだけど、盛り上がったのはあっちもだし、オネダリもしてくれたし、途中から言葉にならない喘ぎとも悲鳴ともつかないものばかりあげていて、それでも止まれないままやり続けたら、意識すら怪しい状態になってた、かも?
 その無防備さがたまらなくてさらにやる気になっちゃった俺は、確かに鬼畜とののしられても仕方がないのかもしれない。
 この計画のために治療のための薬とか色々と用立てていたのを知っていたかつての後輩は、えらくイルカ先生に同情的だった。
 ちゃーんと惚れるなよって警告するのは忘れなかったけど、どうかねぇ?やっぱり一回くらい徹底的に締めとくべき?
「…カカシさん?」
 不思議そうな瞳はアレだけ淫らに乱れた後だって言うのに、未だに少しの淀みもない。穢れなんて知りませんって顔だ。それが却って色々こっちを煽るなんて知らないんだろう。
「ね、お布団でちょっとだけいちゃいちゃしようよ。ご飯はちゃんと用意するから」
 決死のオネダリは多少は届いた、らしい。
「カカシさんもですか?風邪?くそ…!水分、せめ、て…!」
 心配されちゃった。風邪じゃないし、何なら今からでもやり倒せるくらい体力も性欲も残ってるんですけどね。ま、ちょこっとドーピングもしたけど。
「風邪じゃないよ。いっぱいしちゃったから、ごめんね?…イルカ先生が欲しくて止まれなかったの」
 こういうときはさっさと白状するに限る。
 ついでに拳骨も覚悟しつつ、ぎゅっと抱きしめてうなじに顔をうずめることも忘れない。
 気合だけで立ち上がりかねないけど、こうすればいきなり立ち上がって激痛ってことはないはずだ。
「…え、う、あ、その」
 あら真っ赤。
 どうしよう。身体は綺麗にしたけどお風呂には入れてないし、素肌ってのがポイントだったから服も着せちゃいない。
 どうしよう。ねぇ。ホントに。…止まれる自信なんて少しもない。
「したい」
「も、もうだめです!腰が!そ、そういや尻はそれほどでも…?いやその!」
 身体に優しいお薬使ったからですよーとは言わない。言えない。でもそうか。ダメージがきたのが関節の方なら、入浴剤も用意してあるし、とりあえずそっちでくつろいでもらってから持ち込むって手もあるな。
 もうちょっとお布団で一眠りしてからだけどね。
「…お布団、でたくない。いっしょにいてよ」
 頬を摺り寄せて足を絡ませて、きわどいところに触れつつ、それでも縋る声を忘れない。
 さあ、どっちを取るの?このまま一緒にいてくれる?逃げるなら今すぐ休日を爛れた桃色に染め上げる自信があるんだけど。
「…しょ、しょうがねえなあ!カカシさんは!…ちょっとだけですよ?もうちょっと寝たら治るかもしれないし」
「うん!」
 二度寝は最高だ。恋人と一緒なら特に。
 寝ると決めたら割り切るのが早いイルカ先生が、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 幸せ。
 起きたらお風呂とご飯とイルカ先生のフルコースが待っている。
 瞳を閉じてニヤつく俺に、イルカ先生のため息と、それから優しい笑い声が聞こえた。

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適当。
いちゃぱらばかっぷるばんざい。

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