あったまるもの(適当)

今日もイルカ先生は元気一杯だ。
「いつまで寝てんですか!さっさと起きる!」
勢い良く引き剥がされた布団が宙を舞い、床に落ちたその上に俺まで投げ落とされた。
正直言うと、昨日散々いちゃいちゃしたんだから、目覚めももうちょっとしっとりっていうか…余韻が欲しい所だ。
ま、これが照れ隠しだってのも知ってるけどね?
「イルカせんせ。眠いです…」
自分の下敷きになった羽毛布団を抱きしめるとふわふわと羽が飛び出していて、相当な勢いで投げられたってことが良く分かる。
飛び出したそれがちくちくと顔に当たるけどそれはそれだ。イルカ先生は俺がこうやって甘えると、目を吊り上げて叱る割には結構流されてくれる。
当然、上目遣いで見つめることも忘れない。
いつものイルカ先生なら、これで大分ぐらついてくれるはずだ。
案の定、ちょっと息を詰めた後、ちょっと所でなく顔を赤く染めて可愛い顔をしてくれた。
どうせシーツ洗うんなら思いっきり汚しちゃうのも手だよね?
そう思ってじりじりと近寄ってみたんだけど。
「て、天気いいし、折角休みなんだから今日は洗濯です!」
ふいっとそっぽを向いて乱暴にシーツを剥ぎ取ると、俺の抱えていた布団のカバーまで引っぺがして部屋を出て行ってしまった。
床に転がる俺には見向きもせずに。
…まあ、確かに昨日ちょっと色々しちゃったから相当汚れてるけど、替えがないわけじゃない。
洗わないと匂いとか染みが気になるのは分かってるけど、つれない態度は頂けない。
流石にちょっとムッとして、あてつけのように転がっていたら、洗濯機にシーツを押し込み終わったらしいイルカ先生がバタンと洗濯機を閉める音がした。
しかもだ。パタパタと足音を立てて、俺の方を一瞥すると、捨て台詞を残して家から飛び出そうとした。
「飯食って遅れないようにしてくださいよ!俺はもう出ますから!」
そのセリフを言い終わった直後、俺はイルカ先生の背後に回りこんで床に押し倒していた。
「なんで?どこいくの?今日はお休みなのに?」
また受付当番でも押し付けられたのか、それともアカデミーのクソガキがなにかやらかしたのか。
とにかくイライラしてもういいからこのままやっちゃおうとしたら、イルカ先生がものすごーく剣呑な瞳で俺を睨んできた。
「いい度胸ですね…!?そもそもアンタが言ったんじゃないか!」
額に衝撃。
赤く染まった顔が俺を睨んでるのに集中しすぎて避けそこなった。頭がくらくらする。石頭だってナルトがシミジミ言ってたのを今更思い出したが、すでに攻撃を食らった後だから余り意味はなかった。
「え?」
何か言っただろうか?俺が言うとしたらいちゃいちゃしたいとか、もっと一緒にいたいとか、そんなコトばっかりだと思うんだけど。
「…ほんっとーに忘れてるんですね…」
呆れたとばかりに溜息をつかれて、流石に焦った。
俺は一体何を言った?
「あの、いつ?なにを?俺は…」
「昨日、ああもう今日だったかもしれないか。…俺に突っ込みながらアンタ、言ったでしょうが!」
涙目で美味しそうだ。この人と知り合ってから、頭がすっかり煮えてるのは自覚しているが、触れるだけで暴走しそうなこの体は無駄に優秀で、しっかり手も足も出ないくらい愛しい人を床に押し倒したまま繋ぎとめておける。
例え、予想もしなかった答えにうろたえても。
「へ?」
このまま離れたくないとか、くっついたままでいたいとか、離れると寒いからとかなんとか言って、結局イルカ先生の意識が飛んじゃうまでいちゃいちゃしたのは確かだ。
ま、離れたくないのは今もだけど。
「腹巻か湯たんぽ、どっちがいいか俺が決めてイイんなら別ですが、とっとと買いに行きますよ!」
「ちょっとまって!なんで!?」
「寒いからって心配して待ってたのに飯もくわねぇでこんなコトばっかりしようとするからだ!」
流石に二度目は食らわなかったけど、結構本気だっていうのは分かった。
さて、どうした物か?
「でもイルカ先生が居てくれればそんなのいらないよ?」
忙しい時は諦めるけど、休みの日くらい一緒にいてくれればそれでいいのに。
「俺がずっと一緒にいられるかどうか分からないでしょうが…」
きっとなんでもないセリフだ。忙しいからとか、そういう意味だ。
でも、俺にはそんな風に聞こえなかった。
「だめ。イルカ先生はずっと一緒にいて。そんなこといったらだめ」
どこかに行ってしまうなんてそんなのダメだ。外に出したら危ないかもしれないとか、訳が分からないくらい不安になった。
どうしよう?優しく出来そうにない。どこにもいけないくらい、動けないくらいぐちゃぐちゃにして、どこかに繋いでしまいたい。
「馬鹿ですか!」
下に敷いてたイルカ先生に一括された。耳が痛くなる位の大声で。
「帰って来たばっかりの癖に風呂にも入らないし飯も食わないで温めろなんていい出す馬鹿を温めるもんが必要なんだよ!」
確かに言った。だって三日ぶりくらいにみたら、イルカ先生が恋しくて苦しくて狂いそうだったのを思い出したから。
「ごめんなさい。でもヤだ。いっしょにいて…?」
「反省してますか?」
しょぼくれた俺を慰めるように、ちょっと乱暴に俺の頭をなでるイルカ先生の胸に頭を預けたら、それだけですぅっと荒んでいた心が落ち着いた。
「してる。だから…」
「出かけるのは出かけますよ。飯の材料買ってこなきゃいけないですから」
今晩は鍋にしましょうね?
しょぼくれた俺を見てそういっていたずらっぽく笑うイルカ先生にほっぺたを引っ張られて、それからひょいっとどかされて手を引っ張られてマフラーを巻かれた。
暖かいのは、きっとイルカ先生が巻いてくれたからだ。
「お鍋、楽しみです」
「その前になんか食べましょうね?アンタ何にも食べないであんなことばっかりして…ああいうことは、その!夜にするもんです!」
途中で真っ赤になったイルカ先生が可愛くてキスしてじゃれあって、また怒られたけど嬉しくて。
今日の晩御飯まで我慢なんてできないんだろうなぁと思った。


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適当ー!
アホの子上忍をふやしたくなったので。

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