眠る前に傍らの変わったイキモノを眺めるのは、既に日課になっていた。 ずっと戦場ばかりを生きてきた俺にとって、内勤の、それもアカデミー教師という存在は異質すぎるほど異質なモノだった。 初対面からしてそうだった。 普通忍が、それも自分より力がある相手と相対して、あんな風に自然に振舞えるものだろうか。 自分なら…たとえ相手が味方だろうと、無意識にその力を推し量り、当たり障りない態度で接するだろう。 だがこの男は、あけっぴろげな笑顔で歓声を上げて喜び、目に涙を浮かべて感謝の言葉を言いさえした。 おかしいだろう?俺は、俺たちは忍であるはずなのに。 大げさな態度で本心を上手く隠そうとする者もいる。この男もその類だろうかと疑ったのだが、その場で見る限りはそんな気配を感じなかった。 忍として長く生きてきた自分をも誤魔化すというのなら、それは相当に食わせ物であることは間違いない。 …それとも、見た通り感情を隠すことも出来ないほど無能で、中忍の階級を与えたのも何かで利用するためなのだろうか? 余りにも不可解すぎて、逆に興味を引かれた。 それから、密かに観察し続け、それでも判断が付かず、こうなったらと間近で様子伺うようになって、それから直接会話し、少しずつ距離をつめて…。 気付いたら、こんな関係になっていた。 切欠はなんだっただろう。 酒でも飲ませればこの男の本性を探るのに役立つだろうかと、浴びるほどの酒を強いて、酔わせたときのことだっただろうか? 正体をなくし歩くことも出来ない男を、だがそれすらも演技かもしれないと思いながら、已む無く自宅へ連れこんで、一つしかない寝床に横たえて。 そうして、うわ言のように自分の名を呼んだ男を、気が付けば服をはいで、奥の奥まで己を飲み込ませ、腰を掴んで激しく揺さぶっていた。 …その中を己の欲望で一杯に満たすまで。 それからずっとだ。 目覚めた後、互いに行為の言い訳をするでなく、ごまかしの言葉を交わすでもなく、ただ寄り添って暮らしている。 不可解極まりないこの関係。 それなのに、この男は笑うのだ。 「カカシさんは、また難しいことばっかり考えてますね?…ほらそんな顔してないで、もう寝ましょう?」 抱き寄せる腕に逆らえないのは何故だろう? 理由も分からないのに、このぬくもりを手放すことを考えると狂いそうなほど恐ろしい。 「イルカせんせ…」 「なんですか?」 「なんで、そんな風に…」 …その後、どう続けようと思ったかは覚えていない。 優しい口づけが降ってきて、その心地良さにゆるゆると忍び寄る眠りの波に飲まれてしまったから。 「変わった人だよなぁ…?でもまあ、そこが好きなんだけど」 ********************************************************************************* 適当でー!なにやってんだなバカップルを一つ…。 お互いの事はさっぱりですが、きっちりラブラブという不思議。 ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー! |