さいごのひとり(適当)


 殺して殺して殺して、死体の山の上に立っている俺が、最後の俺だったから今もここにいます。

「あのね?」
 唐突に話し出した恋人…になるんだろうな。一応。ちょっと変わっているというか、同性の格下で女性らしいところも美しいわけでもない俺なんかに惚れて、俺がうっかり恋に落とされるまで静かにだが執拗に口説き続けた時点でとても変わっているのかもしれない。
 まあいつものことといえばいつものことだった。頭が良すぎるとこうなるんだろうと思うほどに出し抜けに話し始めることが多くて、三代目にも似たところがあったからそこは平気だったんだが、ある日突然好きだとかシたいとか言い出して、驚いたの何の。
 しつこいっちゃしつこかったんだけどなぁ。なんていうか、静かなんだよな。暴力や暴言もなく、常に敬語で、それでいてのべつまくなしにそっとついてきて、愛してるとか好きだとか、そんな言葉を囁いていく。限りなく無害だが、精神を削るその行為に戸惑うばかりで、それでうっかり周りも俺も止めにくかったというか。
 気づいたらなるようになってたんだから、さすが上忍だ。
 この人の声もいけない。耳に甘い良く通る声は、ついつい意識をもっていかれてしまう。さて今日は何を言い出すのかと耳を傾けてみれば、袖を引くその姿は幼子のようで、ほんの少しだけ戸惑った。普段は飄々としていて、言ってみれば忍らしい人なのに。
「いろんな俺がいたんです」
「いろんな、俺?夢かなんかですかそりゃ?」
 いろんなカカシさんか…。ちょっと前、子供の姿に変化したのをみせてくれたことがあるが、かわいかったよなぁ。俺の知ってる姿は今の姿だけだから、昔はどうだったのかとか、年をくったらどうなるのかとか、気になるかもしれない。
 とびっきりの器量よしだったんだろうなってことは、今の姿からも想像できるけどな。
「…おれ、ね?何人目なんだろうって、ちょっと困ってしまって。ま、どの俺もあなたが好きなことは変わらなかったからいいんだろうけど」
「…はぁ…?」
 何人目って、どういうことだ?話がさっぱり見えない。どの俺も好きってあたりではかなげに微笑むから、うっかり心臓が止まりかけたじゃないか。ここまで支離滅裂な話をするのは珍しい。もしかして具合でも悪いんだろうか。怪我したってチャクラが切れかけたって、必死になって隠そうとするから油断ならないんだよな。ったく。
「…そのときに必要だと思うのを状況に合わせて作って、たくさんになってきたら元からいたのとどっちが残るかを殺しあって決めるから、気づいたときには俺だけになってた気がするんだけど、それっていつからなんでしょう?」
「ええと、どういうことなんでしょう?」
「イルカ先生は最初から一人みたいだもんね。っていうか、俺以外は大抵そうみたいだし、わかんないかなぁ?」
 触れる指先が小刻みに震えていて、会話の内容はともかくとして、この人が不安がっていることはわかってしまった。
 思わず抱きしめたのは、壊れそうな笑みを浮かべる恋人が心配だったからだ。
「…なんだっていいんですよ。あんたは、あんただ。俺の大事な人でしょう?」
「ん。そうね。…ありがと」
 次の俺もその次の俺も、きっとずっとイルカ先生のことが好きだよ。
 囁くような言葉に残る痛みの匂いに、こっちまで息が止まりそうに苦しい。なんだよ。そんなの俺だって。
「極力死なないようにあがくし、絶対にあんたを守る気でいますけどね。あんたが誰を殺したって、たとえば俺が死んだって、俺はあんたのことが好きですよ」
 かき回した頭が胸元に預けられて、すぅっと陽だまりの猫の様に細められた瞳には、俺が映っている。眉根をきつく寄せて、死にそうな面の俺が。
「だからかなぁ。俺、もう新しいのが作れないみたいなんですよ。だからもし俺が消えたらどうしようかとおもったんだけどなぁ。大丈夫なのかも」
 相変わらず言っていることの半分以上は理解できなかったけど、好きってすごいとか、きゃわきゃわとはしゃぎ始めた恋人がもう苦しそうじゃなかったから、とりあえず、今度じっくり聞き出してやろうと決めた。

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適当。秋のしめっぽフェア。
境界性人格障害風カカシ。殺すことで罪悪感から逃れようとしたりとかいろいろ。
あになるのアレをみてなんかもう泣けてしまってがーって書いたやつがこれって時点でどうなってるんだってばよ。

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