「どこ行ってたんですか?」 浮気をとがめる妻ってこんな感じ? ってイルカ先生は浮気とかじゃなくて、単に心配してるんだろうけど。 任務じゃないってのは感づかれてると思う。 色々鈍くて口説き落とすのにも相当苦労したけど、この人も忍なんだなぁと思うのはこういうときだ。 嘘や誤魔化しにそう簡単にひっかかってはくれないのだ。 受付やアカデミーでは裏表も影もない好青年って顔してるけど、それが全部って訳じゃない。任務中に口説き落としたんだからそれは分かってたつもりだけど、時々憎らしく思うこともあるほど、この人は忍としても優秀な部類に入る。 ま、色事関係は別だけど。 あの爺さん警防術の修行させなかったんじゃないの?もしかして。筆卸は済んでたみたいだけど、未だになんていうかこう…ういういしいっていうかね! …ヤバイ。勃ちそう。今はそれ所じゃないんだった。 「ひみつ」 話せないし話したくないし、誤魔化せもしない。 …だったら正直に話したくないと言えばいい。 前にやらかしたときはそう言われた。 言いたくないなら聞きませんよなんていわれて、自分が悪いんだけど突き放されたような気がして動揺してたら、ため息まで吐かれた。 …のに、でも心配はするんだよこの馬鹿って言われてキスされた。 だからこれは苦肉の策だ。 だっていえないんだもん。まだ。…まだ終わっていないから。 「まあいえないならそれでいいんですが。それならせめて怪我はするなと何度言えば分かるんだあんたは」 ため息とともに差し出されたのは包帯だ。もうなんでばれちゃうかなぁ。 「ごめんなさい」 なんでかしらないが、イルカ先生はこうやって素直に謝る俺に弱い。 かわいいって言い出したこともあって、それは流石にどうしてそうなったのって思ったんだけど、この際使わない手はない。 案の定すっかり剣の取れた顔で頭を撫でてくれた。 「手当てするからこっちきなさい」 「はーい!」 手当てなんて必要なほどの深手じゃないんだけどね。でもイルカ先生に手当てしてもらえるならそれはおいしいから素直に後ろをついていった。 きっとまた無茶するなって怒りながら心配してくれるだろう。 …ちょっと楽しみだなんて、絶対本人には言えないけど。 まあとにかく、これで誤魔化せた…気がする。多分イルカ先生は話せるまで待っててくれるだけだろうけど、そのおかげで綺麗に片付ける時間は作れそうだ。 後で怒るだろうけどねぇ…? 怒りながら準備をしてくれているイルカ先生にムラムラしながら、何をしたかバレて止められないように急いで片付けないとなぁなんて思った。 ***** 翌日、最後の仕上げにイルカ先生に嫌がらせしてた連中の残りを全員さくっと片付けたら、三代目にはお説教という建前の褒め言葉と御褒美としての休暇を、イルカ先生には拳骨と涙とお説教と、それからキスとお預けを食らった。 …折角の休暇がと思わなくもなかったけど、落ち込んでるイルカ先生を慰めると称してぴったりくっついて過ごせたからそれはそれでよかったと思うことにしている。 次の休日には覚悟しといてもらうしね! ********************************************************************************* 適当。 アホの子。暑いので! ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |