昼寝には持ってこいの一日(適当)


「おーもーい」
「良いじゃないちょっとくらい」
枕にした恋人不満そうだけど、こんなにゆっくりできるのは久し振り何だから、ちょっとくらい甘えさせてくれてもいいはずだ。
この間なんて会いたくて会いたくて急いで帰って来たのに大の字になって寝こけてたし。
…まあちょっとだけ八つ当たりしようと思ってたはずが、ついついその無防備さに欲情して寝ぼけ眼この人を頂いちゃったのはやりすぎだったかしれないけど。
それでも頭を押しのけられたのにむっとして、意地になって頭を擦り付けたら、今度はため息を吐かれた。
「朝っぱらダメですねぇ。俺も、あんたも」
くすくす笑いが枕にした体に響く。
なんて顔で笑うんだろう。この人は。
切なげで、でも誰よりもやさしい瞳。
その笑顔だけで包まれているように思えて。
…こういうときのこの人に感じるのが、愛おしさとそれからもっと生々しい欲情だっていうのが自分でも笑える。
「だめでも、いいでしょ?」
甘えてみせると、この人がそれはもう嬉しそうに笑うから、何とか己を押さえ込むことができた。
本当はこんな風に穏やかな時間を、この人は求めているんだろう。
組み敷かれてあえいで達しはしても、きっとそれを望んでいるわけじゃない。
強引な俺に流されてくれているのは…それこそ愛ってやつのおかげだろう。
自分でも最低だと自覚しながら、手放す気も交じり合うための行為をやめる気にもなれない。
そんなことをしたら、きっと俺は死ぬ。それくらい依存している自覚がある。
この人は情がとんでもなく深いから、俺にむしりとられ続ける愛情をとめどなく生み出し続けてくれている。
それが嬉しくて、切ない。
俺が求めるから、この人は俺に与えてくれている。
求められることに弱い人だから、望まれればそれを与えようとするだろう。
体を合わせることはないにしろ俺以外にも、きっと。
暖かい体に己をうずめる行為が、何があっても変わらないまっすぐなこの人を俺だけを見ないようにするためのものだと言ったら、この人はどうするだろう?
きっと怒る。馬鹿にするなとか、ふざけるなとか。
それからきっと俺を抱きしめてくれる。
何せ一度経験済みだ。次があったら殴られるくらいはするかもしれない。
そんな風に思いを確かめるのは間違っているのに。
…だがこの人でなしの喜びの甘さに抗えるわけもないのだ。
今もこうして俺を受け入れてくれることを確認したいとざわめく体を押さえつけている。
「お休みですしね、もうしばらくごろごろしてましょうか?」
ふわりと頭をなでる手に、もう少しだけ身の内に潜ませた欲望をおとなしくさせておこうと決めた。
…多分、あと少しでその頚木を引きちぎってしまうだろうけど、この穏やかな時間も嫌いじゃない。
「ん。そうね。…気持ちいい」
心地よさに瞳を細めると、行き成り顔を真っ赤にされた。
「…あー…いいから。寝ろ!」
怪訝そうな瞳に気づかれたのか、乱暴に頭をかき混ぜられた。
鼓動が早い。…相変わらずわかりやすい人だ。
「ん。寝る」
「そうしなさい」
教師然とした言葉に思わずくすくす笑いながら、きっとそれは思ったより短くなるだろうと思った。
この人から求められる喜びに俺の理性が折れるのが先か、それともあんなに単純な一言で敏感に反応したこの人が耐え切れなくなるのが先か。
どっちにしろ今日はすばらしい休日になるだろうと思った。


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適当。
ねむすぎる
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