「ふー…この辺で飯でも食うか」 「おいしそうねー」 「え?」 「え?」 「いや、その。ええと。…あの、食います?っていっても握り飯なんですが」 「あ、どーも。いただきます」 「…あのー…その、この演習場の仕様許可は取ってたと思うんですけど、もしかしてダブルブッキングとか…?」 「えー?どうだろ。俺はただ通りがかっただけだし?」 「そうですか!あの、これからここで明日の演習の準備をするので、申し訳ないんですが…」 「えんしゅーって?ナニ?」 「え?あ、あの、アカデミー生の授業の一環です。演習場で模擬戦と、コースを設定して回収した巻物を最後まで守りきるっていうのを」 「ふぅん。今の子ってそういうのやってるんだ」 「あーそうですね。昔はほら、いきなり戦場放り込まれて戦って来いとか無茶苦茶いわれましたけど、今は生存率の向上と里への帰属意識を高めてって、まあ建前ですけどね」 「俺もひどかったからなあ。父親は何にも考えてないだけだったけど、先生だった人がねぇ…考え抜いた上でとんでもないことする人だったから」 「それは…お疲れ様です。俺のスリーマンセルの先生も割りととんでもないことする人だったなぁ…。時代なんでしょうけど」 「いえいえ。この握り飯美味いねぇ」 「適当に炊いた飯ですけど、米がいいんですよ!貰い物ですが」 「へー。…じゃあさ、これからなにするの?」 「危険物が残ってないかの点検は済んだので、コースを示す目印と、巻物隠すのと、敵忍想定の教員用の簡単なトラップとかの準備です。今年は解除が難しいのも混ぜようかと」 「手伝おっか?ほらご飯ご馳走になっちゃったし」 「え!いや大丈夫ですよ?任務帰りにここ通ったんですよね?近道ですし」 「うん。いつもは人がいてもさっさと通り抜けちゃうんだけど、おいしそうな匂いがしたから。ゴメンなさい」 「いえその、生徒たちがいないときであればどうぞ。ここは殆どアカデミー生しかつかいませんし」 「へーそうなの?ありがと」 「饅頭もあるんですけど、食いませんか?もらいもんですけど」 「…貰い物多いんですね」 「あーその、ええ何故か。ちゃんと食べてるかい?って言われる事が多いんです。痩せてるわけでもないんですけど何故か。お礼に時々手伝ってはいるんですが…」 「なんか分かるかも。何かしてあげたくなっちゃうタイプだよね」 「へ?そ、そうですか…。一体どこが…?」 「そういうとこが。付け込む隙だらけっていうかねぇ。いろんな意味でどうこうしたくなっちゃう」 「いろんないみで?」 「うん。気をつけた方がいいよー?ま、もう手遅れかもしれないけど」 「そ、そうですか…。気をつけ…いやどうやって…!?」 「えっと。この地図どおりでいいの?」 「あ、はい。いやでもどうぞ無理しないで…!」 「ま、いーからいーから。そんなに気にするなら、これ終わったら一緒に飯でも食ってくださいよ。任務帰りに一人飯って寂しいんですよねー?」 「え…!そういうことならぜひ!なんなら俺んちで!貰いモノの朝取れたばっかりっていう野菜が…!」 「…ホントに良くもらってるのね」 「ええ。その、何故か」 「ま、頑張りましょ?」 「はい!」 「…家、ね。ふふ」 「まずは高台のゴールの設営からで」 「りょーかい」 ******************************************************************************** 適当。 親切で抜け作な中忍が美味しくいただかれるまで。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |