ひろいもの、ひとつ(適当)


隙だらけだった。
…多分動機はそれだけ。
「ふぇ?え?あ、なん…あ、あんた誰だ!?」
敵襲なんてもの欠片も警戒しちゃいなかったんだろう。
驚いて身を引いても、背にした木に邪魔をされあっという間に捕らえることができた。
「ま、ちょっとね。おいしそうだったから」
ちょーっと気分の悪い任務だっただけだ。
血にまみれるのを厭うほど、戦いに不慣れじゃない。
だが、胸糞悪い連中を叩き潰すだけならよかったんだが、今回はそれを依頼した人間の方もクズだった。
ようは泥仕合の後始末だ。
放って置けばつぶしあっていたクズが一つだけになって、増長するだけ。
こんな任務ならただひたすら殺すだけの方がまだずっとましだ。
ま、この後そのクズたちも掃除する任務が入ってるからいいんだけど。
それでもわざとらしく血にまみれてきた俺を見て、子どものように喜んで死に様を報告させるようなヤツと会話もしたくないに決まってる。
コイツはどうやって殺してやろうかな。
そればかり考えていた気がする。
で、だ。すぐに殺せばそれはそれで面倒…というか要するに支払いが終わったら即処分するんだけど。
くさくさした気分はなかなか抜けなくて、まっすぐ報告にいくことを俺は放棄した。
つまり、通りがかりにその男を見かけたのは全くの偶然だったってわけだ。
森の木の根元に転がるイキモノは、すやすやと良く眠っていた。
結界も張らず、警戒している気配などまるでない。
そりゃそうか。ここは演習場とはいえ下忍かアカデミー生くらいしか利用しない。
ヌルイ結界や分かりや過ぎるトラップの散らばったここにいるってことは…多分アカデミー教師だろう。
握り締めていた紙切れを見る限りじゃ、トラップの改修に来たんだろうが、いかんせん忍だと思えないほどの無防備さだった。
…思わず欲情するくらいには。
「ね、気持ちいい…っ?俺は、すごく…イイけど…っ」
「あ、や…なんで…で、る…っ!」
不慣れというかひょっとすると初めてかもしれない。
同性相手というのもあるが、戸惑うばかりで何をされているかつっこまれた今になっても理解していそうにない。
その分泣きそうな顔をして素直に反応しているのがたまらなく俺を煽った。
戸惑いながら喘ぐ声なんて最高。
「ふ、ぅ…ごちそうさま」
「う…」
存分に中に吐き出して、まだ疼く体を叱咤して己の分身を抜き出した。これ以上ここでシたら流石にまずいだろう。
もう服は男の吐き出したものでどろどろだから今更といえば今更なんだが。
「んー?だいじょぶ?」
「…っなわけないだろ…!」
毒づく姿さえ欲を煽る。…ああ、どうしよう。はまりそう。
間違いなく同じ男なのに、なんて扇情的。
こんなことされて怒鳴っちゃうし、かわいい顔でさっきまで喘いでたくせに、強い瞳で俺を睨みつけてくる。
いいな。この人。…いいよね?もらっちゃっても。相手いなそうだし。
「そ?…じゃ、これから末永く宜しくね?」
とりあえずは…足りない分をしっかりやり倒そう。俺の家で。
「わっなにすんだ!降ろせ馬鹿野郎!」
「んー?ま、いいからいいから」
「よくねぇよ!どこ連れてく気だ!?」
「んー…愛の巣?」
「なんだそれ!?」
喚く声がかすれているのもいいなぁなんて思いつつ、家路を急いだ。
ああ俺、なんていいもの拾っちゃったんだろう。
家なんて普段なら寝に帰るだけだし、俺と忍犬以外入れないけど…その日の足取りは羽よりも軽かった気がする。

ちなみに…ヤリ倒した後へろへろの拳で殴られて説教されて、好きだから頂戴って言ってみたんだけど、未だにうんっていってくれないのよね…。
ま、側にいてくれるからいいんだけど。


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適当。
拾い物…?
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