失われた記憶7(変態さん)


「お、おい!本気なのか!?」
「だいじょぶなのかよーイルカー…!アレだぞ?だってアレなんだぞ!?記憶とか以外になんかあったら…!」
同僚たちが不安がるのも最もだ。
アレならやりかねないと自分でも思ったからこそ血判状を押させ、なおかつしっかり朗読させ、踏んでやりながら復唱を何回もさせた。
しかも無理やり持ち込まれたことにも腹が立っていたので三代目も引っ張り込んできっちり誓約させたんだから、これ以上の証人はいないだろう。
一から十まできっちり説明して、切々と駄犬の被害を訴えてみたにもかかわらず、どうにも反応が明後日だったのは不安だが、洗脳だのなんだのされたら流石にとめてくれる…はずだ。
「そうかそうか!まあ、の。私情で、しかも色恋沙汰に術というのは本来であれば言語道断じゃが…二人の絆を確かめたいというのなら、特別に許そう!」
なんて言い出したから、まあちょっと諸刃の剣でもありそうな手段だが、今後も里長を巻き込んだ方がマシってことはあるかもしれん。
「安心…はできねぇと思うけど、暴走されるよりは危険性は少ないはずなんだよ。三代目にも一応話を通してあるから…俺が元に戻るまですまん」
涙ぐんで心配してくれる仲間を持てたってのは幸せだな。
一斉にさめざめと泣かれると、こっちの覚悟が鈍りそうなのは玉に瑕だが。
「三代目にもちゃああんと分かっていただけてます!あ、安心して記憶がなくても身をゆだねて…!」
「五月蝿い黙れ!」
「んぁ…っ!ほんのちょっとの間ですけど…ふまれ納めですね…!再び二人が出会い結ばれるまでの序曲が今まさに…あぁん!」
…まあコレがもれなくくっついてくる人生だからどっこいどっこい…いやむしろ大幅にマイナスか…。
とにかく何でも言うことを聞かせることができたら、ありとあらゆることが思いのままになるはず。
駄犬は元々俺に命令されるのが好きらしいから、上手くことを運べばかなりの生活環境改善が見込めるだろう。
こんなむちゃくちゃな賭けだってのに抵抗も意義もないのは、俺に命令されてるってのも大きい。
またなんかのプレイだかなんだかしらないが、勝手な妄想で盛り上がって…まあそのおかげで色々とこっちもやりやすいんだけどな。
踏まれて喜ぶ上忍に一目ぼれなんざありえないだろうに…。ちょっと考えてもわからないもんだろうか。
できるだけ普通に振舞えと命じたのは、周囲への迷惑を減らすためなんだが、自然な出会いを演出ですねとかなんとか…本当にあんなのが上忍やってていいのか?このの里は。
ああでも…実際普通の上忍として出会ってたらどうなったんだろうな…。
手のかかる生徒を引き受けてくれた上忍師として出会っていたら。
顔もいいがそれは多分気にも留めないだろう。だがめっぽう腕が立ち、しかも頭もよくて料理も上手いとか…女性だったら良かったのに位は思っただろうか。
…変態行為をしない駄犬など想像もできんが。
「ささ!今すぐ安心して全てを俺にゆだねてくださいね…!」
密室での術を拒否した俺に対し、公開プレイだなんだときゃあきゃあ喜んだ上忍は、無防備な姿を幻術で隠すことを条件に、三代目の立会いの下での記憶封印に同意した。
不安がる同僚が相手なだけに時間がかかったが、なんとか事情を説明してシフトも調整し終えた。
同僚たちに不安一杯の顔…一部は今生の別れみたいな状態で見送られつつ、執務室へ急いだ。
「…賭けは忘れるなよ?」
そう言い聞かせることを忘れずに。


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変態さん。
すんませんおわらない。ねむけにまけまs…。
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