失われた記憶19(変態さん)


「一回だけ…一回だけ…でも、も…く…っ!」
「ぅ、あ…あ…!」
意識すら朧になった頃になってやっとだ。やっと駄犬の我慢も限界に来たらしい。
もういいだけ達して腰が立たないってのに、中を満たす熱液のおかげでもう一度ダメ押しのように快感の波が襲ってくる。
びくびく脈打つものを締め付け、熱いモノを孕んだまま、少しずつ意識が薄れていく。
とにかくなんだかんだと一応約束は守った…らしい。
それと同時に自分も力尽きたからよくは覚えていないんだが。
…で、だ。目覚めるなり駄犬がめっとりと全裸で俺に張り付いていたのはまあいつも通りとしても、なんだってめそめそ泣いてるんだ?
いっそ思いっきり問い詰めてやりたいくらいだが、残念ながらそこら中がぎしぎしときしむ体は、どうがんばっても使い物になりそうにない。
予想通り過ぎて涙がでるが、腰が外れてるんじゃないかってくらい下肢の感覚が鈍い。
腹も減ったしなにより風呂に入りたいんだが、駄犬を何とかしない限りどうにもならない。
「おい。駄犬とりあえず例の…」
「イルカせんせ…!」
なんだ?なんでこんな反応が返ってくるんだ?
駄犬が喜びそうなことならしたが、こんな顔で泣かれるようなことなんてした覚えがない。
「駄犬。五月蝿いぞ。降りろ。風呂だ風呂。その前に例の丸薬よこ…んぐ!」
「イルカせんせ…!よかった…!ものすごく顔色が悪かったから…!ホントによかった…!」
確かに最近眠れていなかった。
記憶が消えていたおかげで随分と駄犬に振り回されたし、駄犬もなんだかしらんが一方的になにかしらのプレイを楽しんでいたらしく、理解不能な行動をたっぷりとってくれたからな。
気の休まる暇もないし、記憶のある俺のように吹っ切れるほどの時間もなかった。
そんな状態で好き放題にされたら、いくら頑丈な俺だって力尽きるに決まってる。
よく考えれば今まではある程度消耗したら駄犬に命じて例の丸薬を使っていたってのもあるか。
駄犬は比較的俺の状態に敏感だが、今回ばかりは完全に理性をすっとばしたのかもしれない。
…その割にはえらく執拗に人を…いや!考えるな俺…!
とにかく、それでなんで全裸で抱きつくのか問いただしてやりたい位だ。
それもどうもこう…この感触からして駄犬の体液が…くそっ!抵抗できないからってなんかしらされたに違いない。
何をされたか予想がつくのが悲しい。
まあ無駄だってわかってるけどな…。
第一駄犬の思考回路を理解なんぞできるようになったら人として終わりだ。
…一応心配してくれてるみたいではあるし、とっとと身体の調子を整えて駄犬をなんとかしなくては。
「いいからいつものよこせ。それから風呂だ。賭けについてはこれから…」
「はぁい!いっぱいいーっぱい!飲んでください…!」
「んぐっ!んー!?」
口移しで放り込まれたのは確かにいつもの丸薬のようだが…ついでになんかこうほんのり甘い水分まで流し込まれた。
…まさか媚薬の類なんじゃ…!?
「イルカせんせ…!早く元気になってくださいね…!」
「お、おい今の…!?」
確かに四肢は驚くほど軽くなった。…だがコイツは前にも具合が悪くなった途端訳の分からん薬物をたっぷり盛ってくれて…!
吐き出そうにも全部すっかり胃の中だ。駄犬のよこす薬物ならもうとっくに回っていることだろう。
「甘い麦茶でぇす!イルカせんせのお母さんが作ってたやつをちょっとまねして…」
「何で知ってるんだ!?」
駄犬に言ったことはない。駄犬がきてからこっち、ふんぞり返って茶をよこせというだけですんでいたから、わざわざ自分用に作ったこともなかった。
それに…中忍になってから飲んでないしな。
暑い日にかあちゃんが時々特別よって作ってくれた麦茶が、俺は大好きだった。
でもいつまでも母ちゃんの思い出に甘えているのも子どもっぽいような気がして、中忍になった日からやめちまったんだよな。懐かしい。
…駄犬にはプライベートなどという概念がないのは思い知らされているとはいえ、こんなことまで書きのこした覚えは…!
「えっと!記憶を消すときに暑いってイルカせんせが思ってたみたいなんですよね?そのときにちょこーっとだけ見えちゃったんです。鏡に映ったおいしそうに…あ、甘い液体を飲み下すかわいいかわいいちびっちゃいイルカせんせが…!もう一杯飲んで欲しくて溜まりませんでした!ついでに俺の特濃ミルクも…!」
「まてまてまて。色々つっこみたいことが多すぎるが、子ども相手に欲情するのかお前は!?」
記憶まで…!?その辺の警戒はしていたが、まさか今後の計画まで漏れちゃいないだろうな…!?
そういや居間の鏡台の前には色々母ちゃんの道具とか置いてあったし風通しが良くてよくそこで飲んでたような気がするが、まさかそんなことまで…!
なんとなく駄犬のことだから俺の幼少期の姿に夢中になって終わった気がするけどな…。
不安すぎるがとにかくそれよりも、下忍たちに危険な行為をしでかしかねない要素は徹底的につぶさなくては。
「子どもっていうかぁ…!イルカせんせなら生まれたての赤ちゃんでも下の世話が必要な老人でももうめろめろです!も、もっとしたいなぁ…!」
…一応、大丈夫そう、か…?ターゲットは俺だけってことみたいだな。
全くもってうれしくはないが。
「さりげなく強請るんじゃねぇ!…ま、まあいい。で、賭けの話だが…」
「はぁい!」
さっさと犬すわりで俺を見上げる駄犬に、こっちの要求を突きつけてやることにした。
絶対に駄犬相手に油断しないと決めて。


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変態さん。
PC熱暴走しかけにつきおそなりました(;´Д`)
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