しあわせのかたち(適当)


カカシさんがあまりにも幸せそうに無防備に惰眠を貪っているからつい。
つい、ちょっと、その、ホンの出来心でその鼻筋の通った顔にちょっと彩を添えてみたくなったというかだな。
ちょうど洗濯ばさみの交換時だったから、新品の真っ青なそれを通った鼻筋にとめてみた。
多少寝ぼけていたのは認める。原因は横で満足しましたって顔でぐーすか寝ていやがる男のせいだったというのも間違っちゃいないはずだ。
このクソ忙しい時期になにしてくれやがんだと叫ぶ暇も有らばこそ、ただいまを聞いたのがベッドの中でつっこまれながらだっていうんだから俺にこれくらいのことをする権利はあるはずだ。
ちょっと開き直ってみたものの、やっぱりこの人一応上忍だし、肌白くて結構簡単に赤くなるからかわいそうだったかなーと思ったのでそろそろ外すべきだろうか。
真っ青な飾りは顔がいいせいか思いのほか似合っている。
それよりなにより、なんでこの人これだけのことをされて少しも目覚める気配がないんだ?
「あ。もしかして…!?」
恐ろしい可能性に思い至り、大慌てで洗濯ばさみを外そうとして、思わずひっぱってちょっとこうパチンって音と共に鼻を思いっきり潰しつつ擦ってしまったせいで真っ赤になってしまったのはおいといて。
「イルカせんせぇ…?」
俺が慌て始めた今頃目覚めるってことはやっぱり…!
「アンタもしかしてチャクラ切れですか!?」
「えー?いやーん。ないしょです」
オカマ口調のくせに、きっちりキメ顔作ってやがるのが癪に障る。
そのくせ身動きも碌にできないようなのが、俺の推理の裏打ちをしてくれた。
大変なことになってるっていうのにヘラヘラすんなってのに!
真っ赤になった鼻でも顔の造作のせいかそれほどみっともなくないのがまたイライラする。俺が同じことやったら、十中八九腹を抱えて笑われるだけだろう。
まあ、それやったの俺なんだけどな。はは!…まあぶっ倒れてる間は、どっかに顔さらすわけじゃねぇからいいだろう。多分。
「キリッとした顔しても様にならねぇんだよ!ナニやってんだアンタは!」
自分のやったことには気付かれていないようなので、さりげなくごまかしつつ苛立ちをぶつけると、ぐったりとベッドに転がっている上忍が、さもイイコト言ったみたいな顔でえばって見せた。
「だって入院したら出来ないじゃない?しちゃってからならイルカ先生に構ってもらえるし、治ったらすぐいちゃいちゃできるし一石二鳥!」
「そんなもん力強く主張するとこかー!」
ああ。またか。
どうしてコイツはホイホイ怪我して帰ってきては俺に甘えるついでにヤり過ぎてぶっ倒れるんだろう。任務で疲れてる上にチャクラ量だってギリギリなんだから無茶しなきゃいいものを。
そもそも房事で戦闘不能に陥るってのはおかしいだろうが。
「寂しかったんで。ね」
弱ったフリだと分かっていても、眉を下げられつつ微笑まれるとなんつーか。弱い。
ああくそ!顔がいいやつはこれだから!まあ鼻の天辺は真っ赤だけどな!
「言い訳はききません。風呂に運ぶ体力はないんで、アンタがぶっ倒れたこと伝えて、看護任務もぎ取れるように交渉してきます…」
「はーい!」
返事だけはいいんだよな。返事だけは。うきうきしてますって顔で布団におさまって、さっさと寝る体制に入っているこの男は、体が動くようになればまたすぐにちょっかいを掛けてくるだろう。
「そのときはてんぷら食わせてやる…!」
ひっそり毒づいて連絡用の式をしたためる俺に、男が囁く。
「ふふ。しあわせ」
ベッドで寝込むののどこが幸せだ?こんなことで幸せだとか言わせたくなくなるだろうが!
「アンタ、覚悟しておけ」
「やーん。怒ったイルカせんせーかわいー」
おどけているコイツが度肝を抜くくらい幸せな目にあわせてやる…!具体的にはなにもおもいつかんが!
そう決意した俺が、のちに火影にまで上り詰めたアホと法を変えてまで結婚する羽目になるとは、想像もしなかったのだった。
余談だが、洗濯ばさみはその後も気づかれることはなかったので、色とりどりの鼻専用洗濯ばさみコレクションが順調に増えていったことも…まああの人には秘密だ。

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適当。
イルカ先生が何か集めてる⇒買って来ましたよ?好きなんでしょ?の流れで中忍ピンチがあったりなかったり。
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