銀色お化け4(適当)



「いた」
「あ」
「ちょうだい?」
来た。来たよ!やった!
なんだかわからないが湧き上がる感動のままに、今度こそはと別にしておいたイチゴ飴をその手のひらの上に乗せた。
「どうぞ!」
やけにきびきびとした動作は、流石に気になったらしい。
いつもこっちの事情になど興味がなさそうな人なのに、飴玉を上げたのにいなくならなかったのだ。
「ありがと。…ねぇ。どうしたの?」
くりんと首をかしげられた。
この人、他人に興味あったんだなぁ。
それにこの反応は…もしかしてまだ食べてなかったのかもしれない。
「あ、あの!この間の飴なんですが!」
「ああ、こないだの?変わった味だけどうまかったよ」
食ってたのかよ!美味かったって…どんな味なんだ。ラーメン飴。
「そ、そうですか…!」
よろこんでいいとこなのか?これは。
…謝ろうと思っていたのに、今は謝ってもいいかどうかで迷い始めている。
それにしても変わった人だ。普通確かめてから食うだろ?うっかり適当に渡した俺のいうことじゃないけど。
そう思ったのに、なぜか面の奥でくすくす笑う声がした。
「ふふ。あんた変わってるね」
「そ、うです、か?」
通りすがりの中忍に、頻繁に飴玉ねだる方が変わってんじゃねーか!
多分、他のやつならそう言っていたと思う。
楽しそうだからいいかと思えてしまうのが、我ながら不思議だ。
こなくなるかもしれないと思ったのに、こうして会えたんだから細かいことは考えないでイイか。
じわじわと喜びがこみ上げてきて、またこの人がくるならこの人専用の飴玉袋でも作るかと考え始めたとき。
「ん?んぐ!」
「ん。…ごちそうさま」
ごちそうさまってのはいつも聞いてる台詞だ。
でもだな。
…面がない、つまりは素顔が見えている。ついでにその一部が、唇が触れて…。
「うえあ!?」
驚きのあまり突き話すことも出来ずに、ただ奇声を上げて戸惑っていると、耳元でくぐもっていない声が囁いた。
「あんたいつもガキ共に飴玉やってるでしょ?」
「へ?ええ」
優しく背を撫でられて、その体温が心地よい。
甘い声ってこういうのを言うんだろうな。聞いているだけで言うことを聞かされてしまいそうな、そんな声。
「それがさ、アンタのくれるものが美味そうに見えたんだけどさ、アンタがおいしそうだっただけみたい」
衝撃の告白に、一瞬で頭が真っ白になる。
おいしそうって俺は食いもんじゃないし、飴玉は一杯持ってるけどうわー顔、すっげぇ綺麗。
じゃなくてだな。おいしそう=俺って、それって。
「えええええ!?」
「ねぇ。いいの?」
「はっ!なにがですか!?」
「ちゅーはいいってことはさ、そこから先は?」
そこから先ってのは、アレか。えーとかびーとかし、しー…!?
「いえその!それはその!えーっと!次回の検討事項にさせていただきます!」
我ながら意味のわからないことを叫びながら、湧き上がってきた闘争本能に引きずられるままに駆け出した。

こうして、俺は初めて、俺のほうが先に姿を消すという偉業?を成し遂げたのだった。
…思わず逃げて家の玄関にへたり込んでから、襲ってきた驚きと自分の行動のわけのわからなさに自己嫌悪に陥り、最終的に世話になった同僚のことを考える隙間さえなくしたのは…俺のせいだけじゃないと思う。


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適当。
はろうぃんなのでちっとれんさい?
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