銀色お化け3(適当)



「おお?なんだどうしたイルカ?今日もしかして一楽があいてなかってたのか?」
「ちがう、けど」
机の上は冷たい。そこにくっつけた頭も少しくらいは冷えてくれないもんだろうか。
「ならなにがあったんだよ?そんなにくらーい顔して」
「いや、そのだな…」
あれから諦め切れなかった俺は、家に帰ってから飴玉袋をひっくり返して一個一個チェックした。
…が、やっぱりなくなっていたのはラーメン味だった。
やっぱりかと思った瞬間に襲ってきたあの脱力感と絶望感は筆舌に尽くしがたい。
飴玉一個で喜んでくれた人に、俺はラーメン味なんて物を渡してしまったのだ。それが任務に明け暮れる暗部の、一時の癒しだったかもしれないのに。
何でラーメン味なんて買っちまったんだという後悔と、いやでもラーメン味とか確実に買うだろという葛藤が俺の中を一杯にして、底なしに落ち込んだわけだ。
いつもなら腹いっぱい食って一晩寝れば、悩みなんてすっとんじまうのに。
まあ落ち込むあまりぼんやりしすぎて、ふやけてぶよぶよになったカップラーメンしか食ってなかったせいかもしれないが。
まあ、ようするにだ。
色々考えてどうしてこんなに落ち込んでるのかというと、あの暗部がもう二度と俺のところにこないかもしれないというのがひっかかってるんだということに気がついた。
あんなに嬉しそうにしてたのに。顔はまあみえなかったけど、少なくとも嬉しくなかったらこないよな?
…もう、あの人はこないかもしれない。俺のそそっかしさのせいで。
それがどうしてこんなにも悲しいのかわからなかった。
「おーい?イルカ?
「うぅ…!なんで!俺は!こんなにも粗忽なんだ!」
「イルカだからだろ?わかった!洗濯機に洗剤入れ忘れてまわしただろ!」
それは以前一度やらかしたことだ。それもこの同僚に落ち込んでるのを気付かれて問い詰められて…俺は、もしかしてあの頃から成長してないんだろうか。
「違う!…が、似たようなもんなのか…」
フォローになってるんだかなってないんだかわからんが、要は俺は俺なんだよな。今更起こったことを変えることも出来ない。
「まあそんなに落ち込むなって!お前が時々びっくりするほどうっかりものなのは皆知ってる!」
「うるせー!…でも、ありがとな」
謝ろう。誠心誠意。もしもまた会えたらだけど。
たとえそれが怒りによるものだったとしても、会えるんならそれでいいや。謝れるもんな。
「まああれだ。イルカはさ、あんま考えない方がいいって。お前ならきっとなんとかなる!多分!ならなくてもしらんが!」
「はは!そうだな!なるようになる、よな」
「そうだそうだ!まあ当面はその書類とっとと何とかしといた方がいいぞー?」
そうだった。急ぎの仕事があるってのになにやってんだ俺は。
「うっし!がんばんぞ!」
「その意気だ!がんばれイルカ!」
「おう!」
適当なようでいて、本当のところは優しい同僚に少しばかりの感謝をしつつ、今度は言葉だけじゃなくてこいつの好物でも奢ってやろうと思った。

その日の夜、銀色の人影が舞い降りて衝撃的な言葉を吐くまでは。


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適当。
はろうぃんなのでちっとれんさい?
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