愛ある関係(適当)



「う、あー…まだこんな時間か。ねみぃ」
だらりとベッドに横になって、ついでに尻なんかぼりぼりかいてるし、全裸だし、薄っすらひげが生えてるっていうのに。
…どうしよう。どうしてこの生き物がこんなにも愛らしく見えるんだろう。
「イルカせんせ。起きたの?」
ドキドキして声がちょっと上ずっている気がする。
…まだ出勤するまで時間がある。
ってことはだ、あともう一回くらいはできるんじゃないかなーなんてことも、考えるでしょ?当然。
気だるげにしてるのがまた劣情を煽る。
元々恥じらいとか隠そうとかっていう意識は薄い。
そりゃ俺もこの人も男だしね?しょうがないっちゃしょうがないんだろうけど、こっちの身にもなって欲しい。
隙を見せれば押し倒されてるんだから、自分が欲情されてるのなんて身を以て思い知ってるだろうに、どうしてこうも無防備なのか。
今だってやりたくてやりたくて仕方がない。
目覚まし時計を乱暴にサイドテーブルに戻して、それからモソモソ布団に潜り込んでいくのなんてみたらもう…!
もうその布団引っぺがして、驚いてるところを捕まえて足を開かせて突っ込んでやりたくなるに決まってる。
「うー…起きたけどもうちょっと寝ましょう?アンタも今日任務…でした…っけ…」
あ、寝ちゃう。いや寝ちゃっててもいいんだけど。我慢できないから。
できれば起きてて欲しいじゃない?多分はじめたら起きちゃうから一緒かもしれないけど。
「イルカせんせ…!」
たまらなくなって布団に包まっていたのを引っぺがして抱きついた。
寝起きで暖かくて…あ、残念。あんまり勃ってない。そりゃそうか。あれだけたっぷり搾り取ったもんね。
もう駄目です…なんて目じりを真っ赤に染めて、はふはふ息上がっちゃった状態で言われてもそりゃ無理ってもんでしょ?むしろ朝まで延々と喘がせて縋らせて啼かせたくなるって。
そして、当然それを実行した。
流石にそろそろまずいと思ったときには、意識を半分以上手放した状態になっていて、それでも無意識にくっついてこようとするもんだから歯止めが利かなくなるところだったし。
でも、起きるとアレ。
眠いとかいいながらホント普通の反応されちゃう。
やりすぎだとか言ってくることもあるから、ただ単にひたすら眠かっただけかもしれないけど。
でも…それってさ、もしかしなくても俺がこの人の当たり前になれたってことじゃないの?
そのとき全身に走った感覚は、とても言葉で言い表せない。
食い尽くして奪いつくしたい。愛したい。凶暴である意味純粋すぎるこの思いは、この人以外受け止められない。
「うわ!なんですか!そんなに寒かったんですか?ホラお布団肩まで…んぐ!」
口付け一つでふにゃりと蕩ける体が愛おしい。
最初はがっちがちに緊張してたし、多分恐がってもいた。
それを全部隠して笑って、ドンと来いなんていっちゃって、それから本当に全部を受け入れてくれた。
俺の最愛にして唯一の人。
…ごめんね?ちょっともう止められないみたいです。
「もう一回だけ…!」
「わー!アンタ何こんな朝っぱらから盛ってんだ!落ち着け!うあ…!」
いまいち勃ちが悪かったソコは、どうやらすっかりやる気を取り戻したようだ。
これならできるよね?イルカ先生も男だから、ここまでいったらもう出すまで戻れないのは分かってる。
そこは同性でよかったかも。ま、女だったら孕ませて縛り付けるって方法もあるけど。っていうか多分もうとっくに大家族のパパだろう。
…この人から奪った幸せを思うと、多少の良心の呵責はある。それをはるかに凌駕する嫉妬が全てを多い尽くして、この人を手に入れた喜びに変えてしまうだけで。
どこまでも我侭な俺を、時に拳で、時に言葉で、その腕で体で、いつだって全力で受け止めてくれる。
もう大好きすぎておかしくなってるかもしれない。
「も、はいったよ?」
「ん、いうなぁ…!」
寄せた眉根に口付けて、抵抗なのか縋っているのか分からないけど俺の肩をつかんだ腕に頬摺りした。
「すき。すき。ねぇ」
「ああもう!うるせぇ!いいから!さっさと!やるならやれ!」
真っ赤になって照れる姿に、全身に火がついた気がした。
「ん。ごめんね?」
それはたった今止まれないせいでもあったし、それから多分…これからもたぶんこの人から奪い続けることでもあったんだけど。
「謝るな。…うだうだ言わずに、アンタは俺だけ見てなさい」
淫らな行為の最中、こんなに晴れやかな笑顔を見せられるのは、五大国広しといえどもこの人だけだと思う。
本当なら誰にでも癒しを注げる、慈愛の人。でも独り占めにして誰にも渡したくない。
「ずっと、アンタだけです」
「あぁ…!」
そういいながら腰を進めて、喘ぎながら抱きしめてくれた人と気持ちよくなることだけ考えることにした。
あとで拳骨食らって、きっとそれから抱きしめてもらえるだろう。
それが幸せで幸せで。

…仕事があるってことを忘れてやり倒しすぎた結果、休みをとらせて、そのせいで拳骨だけじゃなくてお預けまで食らうってことまで、俺は想像できなかったのだった。


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適当。
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