「はい!こっちがイルカ君の部屋」 「へー?」 広い。それにベッドもある!すっげぇ!俺ベッドってはじめてみた! 母ちゃんと父ちゃんに言われて一人で布団に寝るようになってたけど、カカシといろいろあってから川の字で寝るのに戻っちゃってたから、余計嬉しい。 しかもでっかい。これならカカシも一緒に眠れそうだ。 「あ、もちろんカカシ君も一緒にね!」 「はぁ」 カカシがぼけーっとしてるの珍しいな?なんだろ?さっきのぴゅーんって移動する術のせいか? ぐにゃぐにゃしてしばらくふらふらしたけど、秘密基地って言われたところに移動してからは、おもしろいもんがいっぱいあったから忘れてた。 カカシは…なんていうかさ、せんさい?だもんな。よわっちくはないんだけど、いろんなことにダメージ受けやすそうだよな。 それに環境が悪い。カカシの父ちゃんちょっと変だし、先生もちょっと変だし、母ちゃんとか父ちゃんとかが攻撃的なのは、そのせいもあると思う。 つまり俺がさっさと強くならなきゃってことだ。 強くなったらきっとカカシをいじめる連中もうるさくなくなるし、母ちゃんとかもこんなに色々言わなくなるし、おやつも増やしてもらえるかもしれない。 そしたらカカシとずっと一緒にいられる。 「じゃ…がんばってね…!」 顔を半分だけ見せてニヤニヤ笑った後、カカシの先生が消えた。 うわうっさんくせぇ!って思ったけど、俺はもう大人だからそういうことは言わない。 その前に…探検だ! 「カカシ!すっごいなベッド!ふっかふかだ!お前も来いよ!」 「う、うん!」 んーっと。なんか凹んでたみたいだけど今は楽しそうだからいっか? ふかふかでここで寝ていいんだなって思うと、わくわくした。本棚にもいっぱいみたことない本がつまってて、ちょっとカカシの家にも似てるけど、なんか家のつくりが違う。 外国っぽいんだよな。色々。カカシの先生は変なヤツだけど、そういうのが得意みたいで色々教えてくれる。 なんか変な事も教えようとしてくるけど、カカシが凄まじい速さでクナイとか投げつけて止めてくれるから今のところ変な事考えてるんだろうなぁってことしかわかんないんだけどな。 「へへー!ふっかふか!カカシんちも布団だろ?」 「あ、うん。任務ではこういうので寝たことあるけど。あと入院してるときとか」 「にゅういん!?」 入院ってあれだろ?時々父ちゃんとかがするやつだ。 酷い怪我とか、毒とか、とにかくすっげぇ具合が悪いときだけ、あの真っ白で嫌なにおいがする空間に閉じ込められる。 …ってことはさ、カカシも? どっか痛かったりしたらどうしたらいいんだ。兵糧丸は最近毎日渡されるから持ってるけど、後は簡単な傷薬と、母ちゃん口寄せ用の札とかしかない。父ちゃん口寄せ用のもあるけど、父ちゃんは薬には詳しいけど、カカシを治してくれない気がする。母ちゃんなんてもっとだ。なにかあったら使えって色々恐い札も渡されたし、恐い薬も渡されたし、先生の飯食うなって兵糧丸とお弁当とかも渡されるし、父ちゃんが言ってたてーそーの危機って良くわかんないし…。 …母ちゃんにカカシの父ちゃんがなんかしたのは確実っぽいんだけど、それがなんだかわかんないからなぁ…。父ちゃんは基本母ちゃんの言うことには絶対服従だから宛てになんないし。 呼んでも治してくれないってなると、俺に出来ることって殆どない気がする。包帯とか止血帯とか、一応分かるけど怪我じゃなかったら俺にはまだわかんない毒の方が多い。 「大丈夫。ほら、もう元気だから!」 「ホントか?嘘ついちゃだめなんだかんな!無理も駄目だ!カカシはほそっこいんだから怪我とかしたらどうすんだよ!」 「ん。大丈夫。でも、ありがとね。イルカ」 「絶対ぜーったい無理しちゃだめだ!」 「うん」 ぎゅーってしてみたら少しだけ安心できた。こないだ水浴びしたときも怪我なんかわかんなかったから、毒とかに当たったのかもしれない。 「修行がんばるから。入院とかカカシがしなくてもいいようにがんばる…!」 「俺も、がんばる。イルカとずっと一緒にいたいもん」 俺もだ。ずっとカカシと一緒にいたい。楽しいとか、色々あるけど、そうじゃなくて、なんだかわかんないけど、離れちゃいけない気がする。 「で、先生。いつまで見てるんですか?」 いきなり冷たい声になったから驚いたけど、ちらっとドアのところをみたらクナイが突き刺さっていた。 いつ投げたかわかんなかった…。俺もこれくらいできるようにならなきゃな。早く。 「えー?すごいなぁカカシ君!わかっちゃうなんて!」 「そうだ!修行!修行しようぜ!」 「うん。…先生」 「うん!そうだね!さ!まずは秘密基地の探検から!」 おおおおお!楽しそうだ!やっぱり隠し部屋とかあんのかなぁ! 「カカシ!行こうぜ!」 「うん!」 秘密基地で一杯修行したら、きっとカカシにも追いつける。 それが嬉しくて楽しくて。 …うっかり母ちゃんにお泊りしますって言い忘れたのに気付いたのは、探検してちょっと組み手して一緒に風呂入って飯食って寝ちゃって…翌日になってからのことだった。 ******************************************************************************** 適当。 ちびっこの志はむやみやたらと高く、行動は悲しいほどに近視眼的です。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |