気まぐれ上忍の気まぐれ被害(適当)

「ねぇ。どうしよっか?」
「うーん?どうしよっかっていうかさ。…お前誰だよ?」
道に迷って困ってはいる。
だがもっと困ったことには、見知らぬ子供…っていっても、多分ちょっと年上っぽいけど。
そいつがいつの間にか俺についてきていることの方が問題だ。
「誰って、ねぇ?俺忍だし?」
「俺も忍なんだ。ってことで、あんたも任務優先してくれ。じゃあな!」
厄介ごとにはかかわらないに限る。
今だってこんなことになってるのは…任務が終わってから、帰還中に知らないばあちゃん助けて、そのせいで訳のわからない連中に襲われて、一心不乱に逃げ回ったからなんだし。
…まあ、ばあちゃんは先生が連れてってくれたから大丈夫だろう。
霍乱するには丁度良かったはずだ。多分。
みんな無事だとは思うんだけどなー…。
合流ができるまでうかつなこともできない。いっそ里を目指すべきなんだろうけど、残念ながら、今の俺にはここがどこかが良くわからない。
辺りを見渡しても、見えるのはうっそうと茂った木々ばかりだ。
幸せそうに花をついばむ小鳥たちの声に癒されている余裕は、残念ながら今の俺にはない。
「ね。どうする?」
…それにコイツだ。
太陽の位置から方角だけはなんとなくわかるから、木の上に登れば山の形でここがどこか判断しようと思ったのに、ぴったりとくっついてきている。
木の葉の額宛を斜めにつけたコイツが、味方だっていう保証もない。
まあ、いくら下忍の俺相手だからって、あからさまに胡散臭い行動をとるってことは、コイツが味方である可能性の方が高そうだけど。
普通、敵を、つまりこの場合は俺だけど。騙そうとするなら、もっと上手いやり方があるはずだもんな?
稜線の辺りの霧が深いおかげでうっすらとしか見えないのがつらいけど、多分うっすらとだが目星はついた。
「…帰らないと」
とりあえず、先生と合流するより里へ帰る方が確実だろう。
俺がいた方が足手まといだってコトくらいわかる。…認めたくなんてないけど、俺は弱い。
先生が簡単に蹴散らしていた連中に、追い回されてしまうくらいには。
「じゃ、一緒に行く」
「…だから、お前何なんだよ」
当然のようについてくるのが正直言って薄気味悪い。
一人でいるのは不安でも、えたいの知れないヤツが側にいる方がもっと怖い。
「あーえっと。ま、俺のせいでもあるのよね」
「は?」
意味がわからない。
コイツが着いてきたときなんて、敵だと思っていろんな意味で覚悟を決めたけど、味方っぽいことだけは喜んでおくべきだろうか。
「俺の追ってたのがそっちいっちゃったの。片付けたけど」
「お前のせいだったのかよ!」
「そうね」
…悪びれない態度にこれ以上怒っても無駄だと理解した。
まあ、いいや。片付けたっていうなら、仲間は無事だろう。
「里へ帰る。あんたも任務にもどれよ」
「んー?そうね。でももう終わったのよ」
「だからなんだよ!」
任務が終わったから一緒に帰りましょうってことなのか?これは。
コイツの方が強そうだけど、それならそういえばいいのに訳がわからない。
「一目ぼれ?」
「は?」
なんでもっと訳がわからないことを言われてるんだろう。俺は。
「だって、すっごく一生懸命に走ってたんだもん」
「そりゃそうだろ…。先生が戦ってるんだぞ」
「んー?そうだけど。かわいいなぁって」
「うっさい!お前のがでかいからって!」
「あら怒らせちゃった?」
こいつと話すと調子が狂う。
とりあえず、振り切ることはできなさそうだし、諦めるしかないだろう。
「里へ帰る。お前もついてくるなら方角教えろ」
「ん。あってるよー」
「…なら、いい。行くぞ!」
「ん」
疲れた。…だがこれも里へ帰るまでの辛抱だもんな。
ぴったりと気配もなくついてくる得体の知れない子供に、俺は深い深いため息をついたのだった。

…ちなみに、里へ帰ってからもやたらとついて回るようになったコイツに色々と苦労する羽目になったんだけど。
いまだに勝手に俺の家にいるっていうのが、一番怖いところかもしれない。


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子カカイル祭り継続中。
居つく子供が実は上忍暗部だったりすることを、子イルカちゃんはしらない…。
子かかいるかわいいれす*。(*´Д`)。*°
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