一人静かに茶をすすり、それからせんべいでもつまもうと手を伸ばした先に、キラキラと瞳を輝かせた上忍が座り込んでいた。 …良くあることなのが恐ろしい。 とりあえずせんべいを放ったら、あっという間に口布を下げて見事にキャッチしてみせた。 告白はあっさり断った。が、犬ならうちにおいてくれますかなどとと言い出して、そんなことできるわけないだろうとどなったらこれだ。 …犬になれるならおいてくれるんですよね?とそれはもういい笑顔で言われたのも記憶に新しい。 そうして、俺の家には自称犬が勝手に帰ってくるようになってしまったのだ。 望んでもいないこの現状。…どうして楽しいと思わなくちゃいけないんだか。 この自称犬が健気で馬鹿で必死だからいけない。 頭をなでてやるたびに怪しげな光を瞳に宿すのが気になるが、完全においだすタイミングは逸してしまった。 「飼っちゃったんだから、諦めるしかないよなぁ…」 無害な犬の顔をして尻尾を振り回す男が、偉く楽しげに笑うのをなでてやりながら、これも流されたコトになるだろうかと思った、ある日の午後の話。 ********************************************************************************* 飼い主視点! そっとついでにブログからひっぱりだしてアップしておく。 |