独占欲8(適当)




これの続き。 



ぼんやりしている間に風呂に連れ込まれていた。
どうもこの人に見つめられると理性のタガが緩む。
それがどんなに危険なことか理解しているつもりだ。それなのに…。
「お湯、きもちいいでしょ?」
「はい…」
丁寧に全身を洗われて、あらぬ所まで指を突っ込まれたときはどうしようかと思ったが、注ぎ込まれたものを掻き出した後は、こうして湯船に浸けてくれた。
近すぎる。このひとが触れるだけで落ち着かないのに。
惜しげもなく晒された肌は傷など殆どなくて、この人の強さを今更ながら思い知らされる。傷だらけの自分の体をいとおしげに撫でる手が心地良すぎて、このまま眠ってしまいそうだ。
意識を繋ぎとめているのは、眠っている間にこの人がどこかに行ってしまうかもしれないという恐怖と、正気を手放した途端、強硬手段をとってしまいそうな己の理性が恐ろしいからだ。
繰り返し覚えさせられた術の数々は実戦用が殆どだけど、俺にだけ教えてくれた術はあの部屋にこの人を閉じ込めるには十分すぎるほどそろっている。
元々は違う目的で、今思えば執拗と思えるほどに繰り返し繰り返し修行させられたものだ。
…いざというときに先生の大切なモノを守れるように。
先生は上忍で、多分腕も良かった。
そのせいか融通が利いて、あまり時間が掛かりそうな任務は断っていたけれど、凄まじく複雑なトラップや傀儡だけで安心できなかったのかもしれない。
それとも、俺への同情か。
仕込まれた技術は任務にも役に立った。
あの全てが燃え尽きた日に、俺も一緒に消えてしまえばよかったんだ。
手に入れる日がきたら迷うな。
そういい残した先生は、確かに幸せそうだった。
つながれた先にいた、はかなげに笑うあの人も。
「寝ちゃう?」
「あ…だめ!」
抱き上げてくれようとしたのかもしれない。
ほんの少しだけ離れただけなのに、俺はそれに耐えられなかった。
みっともなくしがみついて半泣きになった俺が普通じゃないことなんて、この人にはすっかりばれているだろう。
気が変わったらどうしたらいい?
いらないって言われたら。
それにこんなに綺麗で優しくてあたたかい人だから、誰かに盗られてしまうかもしれない。
はやく、はやく。
あの部屋に閉じ込めなきゃ。
「くっついてたいの?いいよ。んー?でもそろそろ我慢も限界かなー?」
「え?」
尻に触れるモノ。それが昨夜から延々と俺の中を漁っていたのと同じものだと気がついて、安堵した。
これで、もっとくっついていられる。もう体は壊れそうにガタガタだけど、いっそ壊してもらえたら…。
そうすれば、この人を解放してあげられる。
…この人が他の誰かのものになるなんて耐えられないから、狂う前にこの思いごと俺を…。
「ま、元々するつもりだったしいっか」
「ん、あ、あ…!」
満たされる。誰よりも深く繋がって、それが溶けそうなほど気持ちイイ。
これは俺のモノ。
…少なくともこうしている間は。
「…ッは、…もうどうしようね?おかしくなりそ」
気持ち良さそうに目を細めて短く息を吐く人に、口付けを強請った。すぐに与えられた唇を、夢中になってむさぼった。
つながれるところを全部つなげて…いっそ食ってくれたらいいのに。
「カカシさん。俺を…ッあ!」
「終わってからごはんたべながらで」
切羽詰った表情に胸が締め付けられるように痛んだ。
幸せすぎて、死にそうだ。
その呟きが言葉になっていたのかどうか理解する前に、与えられる快感に意識は飲み込まれて、そして。
結局いつその行為が終わったのか、ちゃんと覚えていることすら出来なかった。

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適当。
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