騒々しいある日の話(適当)


泣きながら川原を全力疾走する上忍の後ろを、殺気だった中忍が追いかけている。
「待ちやがれぇえええ!!!」
「い、嫌ですぅうううう!!!」
忍のくせに騒がしいことこの上ない。
現に涼みにきた里人が、目を見開いている。
小さな水晶球の中ですら、これだけ騒がしいのだ。
側で聞く人間にとっては溜まったもんじゃない。
「悪いね。あの馬鹿二人、取っ捕まえてここにつれてきておくれ」
里長でもある彼女は、側仕えの暗部に命じたが、そうあっさりと捕まってはくれないだろう。
特に上忍の方は。
「しょうがない連中だねぇ。まったく!」
執務室にため息を聞くものは誰もおらず、それが帰って彼女を苛立たせたのであった。
「はぁ…三代目のおもちゃなんかで遊ぶんじゃなかったよ」
*****
応援要請に数回許可を出し、渋い茶を飲みながら待つことしばし。
現れた二人組みは、やはり耳を塞ぎたくなるほど騒々しかった。
「何するんですか!イルカ先生に!」
「綱手さま!ご用件は?申し訳ありませんが、只今取り込み中です。手短におねがいします」
こういうときばかり息の合ったことに、羽交い絞めにされたまま二人そろって一気に騒ぎ出したものだから、決して広くはない執務室は騒音で満ち、当然、里長である彼女の苛立ちもうなぎ上りだ。
「この馬鹿者共が!」
怒鳴り声がびりびりと部屋を震わせ、積み上げられた書類が宙を舞った。
今は里を留守にしている彼女の側近が見ようものなら、めまいで倒れていたかもしれない。
「うわっ!」
「くっ!」
「あ!イルカ先生!イルカ先生になにするんですか!このたわわな果実!」
「黙れ!このすかたん!…お前たち、何があったんだい?言ってみな!」
捕らえられているくせに、怒鳴りつける声の激しさにも、呆れを隠さないその顔にも怯むことなく…今度は二人そろってそっぽを向いた。
「そうかい…?そんなに、痛い目に遭いたいんだねぇ?」
上忍は拷問するにも厄介だ。
そう思った彼女はまずは中忍に近づいた。
「触るな」
…一瞬で拘束を解いた上忍が彼女の前に立ちはだかり、床に転がる暗部たちに、彼女はどうやら暇つぶしが面倒なことに変わりかけていることに気付いた。
「なら、さっさと白状しな!」
恫喝といっていいその台詞に、中忍の方が折れた。
「…綱手様。俺がこの人を追いかけていたのは、そこの名前だけ有名な上忍が勝手に家に住み着くだけじゃ飽き足らず、俺が風呂からあがったら、脱衣所の洗濯機から俺の下着取り出してじっくり見つめてた挙句に、俺に気づいてそれを懐に突っ込んで、凄い速さで逃げやがったからです」
聞きたくなかった…!
それが彼女の本音だった。
「で、カカシ。申し開きをするつもりは?」
もう何もかも面倒だとばかりになげやりに聞いた彼女に、上忍は怯えた瞳を向けた。
「だめ!これはもう俺のです!拾ったんだからせめて1割!」
駄目だコイツ。
そう思ったのは彼女だけでなく、隣の中忍も同じだったようだ。
「勝手に俺んちに上がりこんで盗み働いた挙句その台詞かこのくそ上忍!」
上忍のあごに見事にめり込む拳。そういえば先ほども伝説の三忍とも呼ばれる自分の殺気に怯むことなく向かってきた。
…彼女はこの中忍を敵に回すのは止めようと決めた。
「イルカ。ソイツはあさってまで貸してやる。そのあとの任務で使い物にならないなんてことにしなけりゃ、あとは好きにしな」
「あ、うそ!なにする…っ!」
医療忍術を極めた彼女にとっては、経絡を弄るなんて朝飯前だ。
ぐったりと伸びた上忍に、中忍はにんまりと笑った。
「綱手様。ありがとうございます」
さわやかですらあるそれは、だがしかし、幾たびも修羅場を潜り抜けてきた彼女の背筋すら凍りつかせるほどぞっとする何かを含んでいて…。
「ま、まあコレが迷惑をかけたみたいだからな。…せいぜいおしおきしてやんな」
「はい!」
…その後、上忍はきっかり2日後まで里のどこにもその姿をみることができなかったという。
その全てを知っているのは、とあるまじめな中忍と凄腕の上忍と…それから全てを映し出す水晶球。
それを今度こそ彼女が覗かなかったかどうかは…神のみぞ知る。


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適当。
ねむいのでえええ…(´;ω;`)
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