「うみのさーん。どうぞー?」 「…なんか緊急の式だった割には暢気な呼ばれ方だな…。まあとにかく早く済ませないと…!」 「うみのさーん?」 「あ。はい!…って!?わー!?なんでだー!?」 「はい。そこ座って。逃げても無駄ですよー?」 「ひっ!近寄るな!」 「まあまあ。じっとしてれば怖いことなんかないですよー?」 「ウ、ウソだ…!足首はなせ!アンタあからさまに怪しいし!」 「ひっどいなぁ?一応これでも里の精鋭…」 「だ、だから!暗部がなんでアカデミーの医務室なんかにいるんだ!?俺は緊急の予防接種に…!」 「んー?ま。その辺は色々事情が」 「…人手が足りないとは聞いてたけど…?だからって何で暗部が!」 「そうね。驚くよねぇ?んー…俺たち耐性つけすぎてるから、流行り病も感染しにくいのよ」 「え!あ、そうですか!なるほど!それで…!ああ、びっくりした!今さっき急な連絡で予防接種の連絡が来たのでそこまで確認していなかったんです!知らなかったなぁ!大体順番はもっと後だと…」 「…騙されやすいよねぇ。やっぱり…」 「へ?今何か?」 「いえいえ。じゃ、早速」 「あ、はい。えーっと?肩ですか?腕ですか?」 「んーん。脱いで」 「え?あれ?どこに打つんですか?」 「お尻かなー?」 「…筋肉注射って痛いんですよね…」 「痛くないよー?」 「うぅ…ホントですか…?」 「ホントホント」 「…そ、そうだよな…!切られた事に気付かないうちに暗殺できちゃう暗部の人が言うんだから…!」 「痛くないように…ちゃーんと色々用意してありますからねぇ…?」 「え?あ、なんか冷たい…!」 「準備しますからねー?お注射の」 「うぅ…でもなんか消毒にしちゃぬるぬる…?」 「さてと。…お注射しますよー?」 「あの、できればさっさとやっちゃってください…!俺、そのう…あんまり注射は…!」 「ま、その辺は俺に任せて?」 「は、はい!すみません!」 「…可愛いなぁ…!じゃ。早速」 「んぎゃあ!?な、ななななっ!?どこになに突っ込んでやがる!」 「んー?指を…おし」 「わー!?ちょっと待て!言うなー!?」 「すぐに気持ちよくなりますからねぇー…?ふふふ…!」 「ぎゃあ!止めろー!」 「無・理!」 「うわぁあああぁああ!!!」 ***** 「ううううう…ウソツキ…!やっぱり痛かったじゃないか…!」 「まあまあ。気持ちよかったでしょ?それにほら、予防のためには必要だから」 「予防接種…これが!?いやそんなまさか…!?」 「…この時期って、恋人募集中っていうか、もう狩人みたいになってる人増えるじゃない?」 「え?あ、まあ、そりゃ、年末だのクリスマスだの一人で過ごすよりは…。俺だって…!」 「でもすぐ別れちゃうでしょ?残るのは無駄に過ごした時間と、後悔だけ。たちの悪い流行り病みたいにね?」 「…それは人によるんじゃないかと思うんですが…」 「んー?でもねぇ?狙われてるの黙って見てるのは無理だったから」 「え!そんなチャンスが俺にも!誰ですか!」 「喜ばないの。アンタが三代目と親しいからなんて理由で利用されたかったなら別だけど」 「うっ!それは…!」 「そーんなアナタを一番簡単に守るには…俺のモノになってもらうのが一番かなぁって」 「それは納得できん!なんでこんなことしでかしちゃったんですか!?」 「えー?だって、俺は本当にアナタのことが好きだから」 「…は?」 「だからね?もらっちゃうことにしてみたの」 「くっそう!一瞬ときめいた俺のアホー!もらっちゃうって何だ!勝手に決めんな!そんなのおかしいだろ!俺の意思とかそういうのはどうなってるんだ!?人権は…!?」 「ま、その辺は諦めて?」 「諦められるかー!!!」 「ちゃーんと幸せにするから。ね?」 「あっ!こら!さわんな!」 「騙されやすいのも俺が守ってあげるから大丈夫だし。これから一緒に…ずーっと幸せになろうねー?」 「わ、訳が分からん…!」 「その内慣れるよー?」 「…爽やかにウソつくんじゃねぇ…!」 「それにもう、俺の顔見ちゃったでしょ?」 「そ、そういやさっき…!」 「じゃ、逃げられないってことで」 「そんな…!?」 「まあまあ。俺の予防接種は強力だよー?もう一生他のは寄せ付けないから!」 「誰か…ウソだと言ってくれ…!」 ********************************************************************************* 予防接種…の順番が来る前に掛かっちゃったらいやだなぁと思いつつこんなもん上げてみる。 注射といえばお約束!な適当小話にしてみたり。 …何だか罹患者がじわじわ増えていて恐ろしい…。 掛かった人が早く治りますように…。そんで、できれば掛からずにすみますように…。 皆様!寒くて寒くて寒いので、よーくよくお気をつけ下さいませー! ではではー!一応!ご意見ご感想など、お気軽にどうぞー! |