「行くなら行けよ」 「言われなくても行きますよーだ」 意地っ張りな恋人…っていうのかねぇ?これも。 中忍で、半ば無理矢理モノにして、泣いても喚いても聞かずに粘っても靡いてくれなかったくせに、ある日突然落ちてきた。 いっそ一緒に死んでくれっていってもアンタなんかと心中するのはごめんだとか言うし、やり殺したいっていっても情死なんざしたくないとか、つれない言葉をたくさん今まで言われてきた。 もしかして永遠にこのままなんじゃないかと思うほどに、この人はそりゃもう恐ろしく冷たかった。 …手に入れたら死んでもいいとさえ思っていると告げたのに、鼻で笑って流された。 そう長くはないだろう忍の生の中でも、いっそう短いであろう己のことを思えば耐え切れないほどの焦燥感に駆られ、気が狂いそうになりながらその心を強請った。体だけなんて我慢できないほど、この人が欲しかったから。 で、結局万策尽きて腹立ちまぎれに好き過ぎて狂いそうだから殺してっておねだりしたのが良かったらしい。 いや、良くはないんだろうけど。この人にとっては。 死ぬなって言ってくれたし、初めて上に乗ってくれてガンガン腰も使ってくれたし、あまりの気持ちよさに先にいった瞬間根性なし呼ばわりされたけど、それでも天にも昇る気持ちだった。 それ以降、この人はアンタのモノになるには条件があるなんていいだして、俺の所有者だと主張してはばからない。 ま、それはいいの。だって欲しかったんだもん。所有者なんて里だろうがこの人だろうが、やることは変わらない。 任務にいって殺して、任務から帰ってきたらこの人のところに張り付いて過ごす。 里長から緊急お呼び出しがあったら、お伺いを立てるかこの人が寝てたら担いで一緒に連れて行く。 いつも一緒ならいいんだけど、この人にだって仕事があるし、つれてったら狙われちゃうかもしれないし、家で寝てるのとかちゃんと録画しときたいし。 そうやって気を遣ってはいるんだけど、言うことをなんでも聞けって訳でもなさそうで、意外と無理矢理やってた頃の方が要望や文句は多かった。 死ぬなくらいしかいってくれないんだけどね…。 せめてそれが嫉妬だったらいいのに。 女に絡まれてても鼻で笑うだけで無視されてるからどっちかっていうと、亭主関白? 甘やかしたいのに、欲しいものなんてないって。 今だって任務に行けって。さっきまでいちゃいちゃしてたのに。今朝まで任務みっちりだったのに。もっといちゃいちゃしたいのに。酷い。 でも俺はこの人のものだから。命令には逆らわない。そうしないと別れるとか言われそうだし、そんなこと言われたら拉致監禁しちゃうし。っていうか既にやっちゃったことあるし、殴られたし蹴られたし勝手に出て行かれたけど! 「イルカ先生帰ったら風呂場で3回と駅弁を要求します」 仕方がないからおねだりをする。ブツブツ文句言っても怒っても、うるせぇの一言で黙らされるのが分かってるから、こうやって少しでも気を惹きたいんだもん。 「へっ!アンタみたいなへたれが何言ってんですか。チャクラ切れ起こしてへばってるやつにやらせたりしませんよ?」 へっって…いまへっって。酷い。 「覚えてなさいよ!絶対!絶対!ついでに台所でもやってやるんだから!」 「はっ!そんな体力残ってるってんなら望むところだ!」 男前め…!こうなったら玄関も追加! 初めてだったくせにあっという間に馴染んじゃって…!今じゃ持っていかれないようにするのに必死だ。 ま、俺が仕込んだんだけどね!一杯一杯泣かせてやる! 意趣返しも兼ねて窓から飛び出した背中に、忘れもんだと勢い良く特製兵糧丸入りの袋が投げつけられて、敵に塩か余裕だなとかプリプリしながら駆け出した。 おーぼーえーてーろー! ***** 「おお!イルカ!順調か?」 「何がですか…。あの人にばっか任務回すなら俺も抜けますよ?事務方」 「そりゃ困る!お前と付き合い始めてから、任務の効率あがりっぱなしなんだぞ!今お前に抜けられたら事務も滞っちまうじゃないか!却下だ却下!」 「そうですか」 「ほー?そんな顔するってことは満更でもないんだねぇ?惚気の一つも聞いてやろうじゃないか?」 「…ちょろいんですよ。あの人。それだけです」 「写輪眼の業師をちょろい呼ばわりか!お前も中々大した中忍だねぇ?猿飛先生が重用するわけだ」 「三代目は囲碁の相手が欲しかっただけでしょう。あとは晩酌ですかね。俺も飲める方でしたので」 「へーぇほーふーん?そうかねぇ?ま、お前が言いたくないなら聞かないでおいてやっても…」 「いた!イルカ先生!台所!トイレも!あとベランダ!追加!」 「だー!うるせぇ!報告書が先だろうが!」 「綱手様。はい。ほーら!もうだしたもーん!じゃ!」 「っの!ちったぁおちついて…」 「…なんだありゃ。報告書は…まあ問題なしだが。相変わらず几帳面だねぇ?あの子は」 「こっちは有給届けですね。これ。さすがです…!イルカさん…!」 ******************************************************************************** 適当。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |