チョコレートパニック(適当)
今日はバレンタイン。それはすなわち戦いの幕開けだ。
「連絡用の式はちゃんともったかー」
「おう!」
「しっかし毎年良くやるよなぁ…?」
「俺もそう思う」
「でも言うな」
男なんて単純なもんだ。女性から何かもらえるってだけでも舞い上がるやつがいるってのに、さらにはそれが愛の証なんてことになったら、そりゃもう舞い上がるってもんだ。
元々お祭り好き気質の人間も多いこの里で、それはもうあれよあれよという間に広まったらしい。
そしてここは忍の里だったのが恐らく一番の敗因かもしれない。
最初は普通にチョコレートを贈りあうだけだったんだって話だ。
俺がチビのときも、本当はお菓子持込禁止だったアカデミーでも授業中に渡さなければその日だけはお目こぼししてもらえたりな。
そうして異国の行事ではあったが、少しずつ馴染み、広がっていくうちに…どうしてかいつの間にか変質してしまったというわけだ。
誰が最初にやりはじめたのかは定かではない。
受付所におけるバレンタイン。
…それはチョコ、あるいはそれに順ずるものをあらゆる手を使って受付にいるターゲット押し付けるという行事に変わっていた。
俺が受付に配属されたときからすでにこの行事は存在していて、当時一番の古株の職員も知っていたからだから、随分昔からあるものなんだろう。
チョコはまだいいんだ。多少変なところに仕込まれても精々溶けて面倒なだけだから。
問題は…チョコに順ずる物ってヤツの方なんだよなぁ…。
「去年の香り玉は酷かった…」
「チョコレート爆弾もな…」
「あと突撃してきたやつあっただろ。チョコ人間が。アレは流石に禁止してもらいたいよな…」
チョコっぽければ何でもいい。いつの間にかそう言い出したヤツがいたらしく、このところの被害状況はしゃれにならないものになりつつある。もちろんターゲットも無差別だ。要するに受付にいれば誰でも被害者になりうる。
起爆札仕込まれてとっさに水遁で防御したら、爆発ついでにチョコまで撒き散らしたとか、水遁ならぬチョコ遁なんてものまで開発した馬鹿いる。
守られている決まりは一つだけ。
「受付所以外でチョコがらみで面倒ごとを起こすべからず。だからな。アレはダメだろ。外出てただろうが!」
「まあ他のはギリギリ守られてるよな?」
「一応はなー…」
ここまで広まってしまったら止めるよりは被害を限定した方がいいと、里長が判断したらしい。
逆を言えば大っぴらに受付所で暴れまわれるようになった上忍連中の酷さときたら…!
…まあいつの間にか今日出勤する職員には特別手当がでるようになったんだけどなー…。どうなんだそれはそれで。
「今年は平和に終わるといいな…」
「個人同士のやり取りで刃傷沙汰になったのなんて、はたけ上忍くらいだろ?」
「後アレだ。不知火特別上忍とかもすごかったじゃん」
「あの人は遊び方綺麗だからな。全員ありがとうで済ましてたろ?」
うらやましい話だ。こっちは虫型のチョコだの恐ろしいものに囲まれて戦々恐々としてたってのに。
「はたけ上忍はなー…」
今日の名物となっているのは受付所だけじゃない。かの上忍もだ。
…かたくなに決して誰からもチョコを受け取らない男として、我こそはと躍起になってチョコを渡そうとする女性や、面白半分にチョコを押し付けようとする上忍仲間の迷惑行為の的になっている。
もちろん、前者は外での告白となることが多いからこっちの被害も少ないんだが、後者はそりゃもう酷いもので、ありとあらゆるとばっちりが職員に降り注いだ。
…まあ被害は当事者だけだったとはいえ、外で告白を断られた女性から刺されそうになったってのも笑えない話だが。
いつからか知らないが年々拡大する被害の酷さに泣きつくものが出て、自分でも鬱陶しかったんだろう。この日任務で留守にしてくれてたんだけどなぁ…一昨年までは。
去年から何故か里にいることを選んだ上忍のお陰で、被害は拡大し続けている。
「どうする?今年もいるらしいぞ?」
「どうするもこうするもねぇだろ。覚悟決めろ」
「…だよなー…」
「死にたくないぞ。俺は」
この日ばかりは人手不足の受付も人員が増員される。全部で4人だけだけどな。
火影様も様子見に来てくれることもあるし、最悪逃げてもいいよなー…。書類は死守しなきゃならんが。
「よし。全員覚悟はいいか!」
「よくないがおう!」
「しょうがないよな!」
「生き抜くぞー!」
…というわけで、なんとも情けない掛け声とともに、戦いの火蓋は切って落とされたわけなんだが…。
「イルカ先生」
いきなり最初から大物ってのはどういうことなんだろうなー…それもなんで俺なんだ。勘弁してくれ。
色めき立つ女性人を完全に無視し、俺の前に立ったのは、あらゆる意味で高名な上忍はたけカカシだ。
知り合いではある。まあ一応。一度元生徒のことでそりゃもう派手にやり合ってからは、知り合いというよりは気まずい顔見知り程度の関係だけど。
俺だって指導方針には未だに納得行ってないし、謝ったからって許せないってやつなんだろう。
…で、それがこんな日にわざわざってことは、普段は襲われ通しのこの人が、今回は襲撃者なのは9割方間違いない訳だ。
「依頼書でしたら…」
「いえ。違います」
ならなんだ。つうか用もないのに受付くんな。
…まあなー。これってつまりそのためだけにきたんだよなー。真正面から来るとか自信の現われかなんなのか知らないが、迷惑千万だ。
「…おてやわらかに」
がっちがちに凍らせたチョコクナイとかもあったっけ…。もう殺す気としか思えんようなのはこれまでも幾度も経験している。
来るなら来いとばかりに身構えてみたものの、男の方は動かない。…なんでかしらないが、腰のポーチをもぞもぞ弄りながら、臨戦態勢というよりもどちらかというとのんきにすら見える。
「今日、ここならいいかと思いまして。はいこれ」
そうして差し出されたものが、見間違いようもなくラッピングされた箱だった時点で、俺の緊張はピークを迎えた。
爆弾か、それとも術か。とにかくこの状況で受け取らないわけにもいかないだろう。何せ相手は名うての上忍。被害が他に行くよりは、さっさと受けとるのが一番だ。
隣で青い顔をしながら祈り始めた同僚に後を頼むと視線で託し、手を伸ばした。
「頂きます」
軽い。…金属系のものじゃなさそうだ。触った瞬間痛みが走ったりもしない。なんだろうこれ。
「じゃ、受け取ってくれたってことで」
「え、ええ。はい」
そうだ。ちゃんと受け取ったんだからこれ以上勘弁してくれ。ここで開けろと言われなければ、検査部に持ち込んで逃げ切れるんだよ!
「これから宜しくお願いします。…じゃ、この人もらってくから」
「へ?」
貰っていく…何を?なんて暢気に間抜け面をさらしていた俺は、あれよあれよというまに持ち帰られ、ついでにひん剥かれてそれはもう恥ずかしい目に遭わされた。
去年は襲撃が多すぎて失敗したから朝一にしたんだとか、既成事実ができたんだから逃がさないとか、ホワイトデーは旅行でもいきましょうかとかなんだかもう…もう!
災厄が団子になってやってきたとしか思えなかった。
ついでにいうなら箱の中身は、空腹と腰痛とあらぬところの痛みで起き上がれない上に、空腹まで襲ってきてぐったりした俺の口に無事消えて、男の満面の笑みと甲斐甲斐しさにちょっとほだされたなんてのは…まあその。秘密の話。

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適当。
ではではー!ご意見、ご感想などお気軽にどうぞー!


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