大騒ぎの顛末(適当)

大量のワイヤートラップに起爆札。
それが憩いの我が家を取り囲むようにして張り巡らされている。
中から聞こえる声がなければ、俺は確実に警備隊に連絡していただろう。
「うっうっ…せ、せんせいのばかぁあ…!」
「馬鹿はアンタだろ!」
なんだってこういうことばかりしでかすのか。
その階級と実力の割りに短絡思考過ぎる男は、今度もまた何かしら勘違いをしたの違いない。
こうも簡単に疑われるのは、俺の気持ちまで疑われているようで腹立ち紛れに怒鳴りつけたら、いきなり背後から拘束された。
「わー!?まてまてイルカ!入れなくなるだろうが!」
「もっとソフトに!もっとやさしく!もっとたおやかに!」
同じアパートに住む中忍仲間たちだ。
確かに部屋に帰れないなら必死になるのは分かるんだが。
「ちょっと待て!?最後のおかしいだろ!?」
たおやかってなんだ!?俺は男だ!いくら同じ男につっこまれてたって、女になった覚えはない!
「そうそう!イルカ先生は暴れ馬だからかわいいんだから!」
こんなときだけすかさずフォローしてくる男が憎らしい。
「あんたは黙ってろ!」
そもそもの元凶の癖にと思うとむかっときて、結界の向こうでちらりとこちらを覗いている男を一喝してやったら涙ぐまれた。
「ひ、酷い…!」
「なんてことすんだばか!」
「俺明日早番なんだぞ!?」
外野が煩い。そりゃ困るだろうが、俺だって困ってるんだ!
俺の愛を疑ってばかりのこの恋人に。
「ああもう!ちょとまっててくれ!…カカシさんなにやってんですかあんたは」
「だって…先生がうわきしたあ!」
「うわき?って…浮気!?」
浮気なんてする必要もないし、それ以前にしようがないはずだ。
「そんなわけありませんよはたけ上忍!」
「いつもずーっと張り付いてんだから知ってるでしょうが!」
そうだ。この男は任務がなければ文字通り延々と俺に張り付いてまわっている。
それなのにこの台詞。失礼にもほどがある。
「何でそんな勘違いを…」
「だ、だって…!お菓子持ってた…!」
「ああ、それはアカデミーで…」
「浮気だー!最低!もういいもん!監禁してやる!」
「どうしてそうなるんだ!?」
監禁…この男ならやりかねないところが恐ろしい。
むしろ俺の方がこの馬鹿の首に鎖でも付けてつないでおきたいくらいなのに。
「物騒でリアルなこと言い出したぞイルカ!?どうすんだよ!?」
「俺やだぞ!お前の変わり果てた姿とか見つけるの!」
騒ぐ外野はさっさと押しのけてやった。疑われたままなんて我慢ならない。
「俺だっていやだ!だからハロウィンだからでしょうが!」
「え?だって…あんなに沢山…!」
「全部同じだったでしょう?アレは俺がくばるためにあるからです」
「ってことは…」
「浮気なんかしてません。するわけないでしょうが!」
ハッとした顔に、やっと納得したかと思いきや、男は怒りに満ちた声で叫びだした。
「俺以外のやつらが俺とイルカ先生の愛の巣に勝手に上がりこんでくるってことじゃない!」
「わー!?だからちょっと待て!おちつけー!?」
結局大騒ぎの末、ハロウィンの応対は男が監視するってことで落ち着いたんだが…。
大騒ぎのさなか、「好き」「他のやつなんかみないで」「鎖につなぎたい…!」なんて延々と呟き続けた男は、思いっきり殴っておいた。
「アンタそんなに俺に浮気して欲しいのか!」
そう告げた途端に真っ青になって土下座したからまあいいとして…。
次にやったら今度こそ俺の方が監禁してやるつもりで、部屋の一部を改装しているのは…俺だけの秘密だ。


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適当!
怖い中忍フェアその2。
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