武将の人―温泉編10(適当)


イベント会場で読みたいとおっしゃってくださった方がいらしたのでこそっと連載予定。
前のお話はこれ⇒武将の人-温泉編9の続き。



二人して布団にゴロゴロ転がりながら、今日のことを話す。一緒に遊ぶのもお使いに行くのだって楽しいけど、実は結構こうやってただ話してるのも好きだ。
だってさ、一緒にいろんなこと話して、明日何しようとか、今日楽しかったとかさ、それで眠くなったらくっついて寝ればいいんだもんな!しかも朝起きたら隣にカカシがいてくれて、いっつもおはようって言ってくれる。なんかさ、なんか…こういのっていいよな!
父ちゃんと母ちゃんと一緒に寝てたもっとチビの頃は、起きると二人の間にいられるのが嬉しかった。時々父ちゃんが寝ぼけてぎゅうぎゅうしてくると髭がツンツンして痛いけど、父ちゃんがすごーく幸せそうな顔してるから、髭を鼻の穴に突っ込んでこしょこしょするのとかは玉にしかやらなかった。あと父ちゃんは時々おもしろい寝言とか言うこともあって、おのれ…!とか、うぬう…!とか美味い…!とかなんかよくわかんないけどかっこいいし、おもしろいし、でもカカシといっしょなのはそれともまた違って、すっごく楽しい。上手く言えないけど、カカシとずぅーっとずぅーっと一緒にいたいなぁって思う。
それにしても母ちゃんは寝言も言わないし寝相が悪くて布団がどっかいっちゃったりしても、絶対すぐに起きてにこにこしながら直してくれてた。今はカカシがやってくれてるけどあの時の母ちゃんが父ちゃんを見る顔と、カカシが俺を見る顔ってすっごく良く似てる気がする。
きっと好きだっていう気持ちが、ああいう顔になるんだ。
サクモさんも父ちゃんのことが大好きなんだと思う。時々物凄く苦しそうな顔で見てるときもあるかと思えば、ふわってこう…ものすごーく綺麗な顔で笑ってることもあって、いっぱい好きがあって全部違うのが不思議だ。
父ちゃんは分かりやすく母ちゃんに好き好きってしてるけど、サクモさんは変わってるからなー。分かり難い好きだと、父ちゃんにはあんまり伝わってない気がする。
「ふわぁ…」
あくびが勝手に出てしまった。眠るまでの時間は沢山あるようであんまりなくて、いつも眠くなっちゃうのが悔しい。だってもっともっと一杯話していたいのに、気付いたら朝になってるんだもんな。まあ朝になったら朝に話すことがまたいっぱいあるんだけどさ。
今日は特に話す事が一杯あるから、余計にそう思うのかもしれない。
「銭湯の牛乳美味しかったよな。サクモさんも楽しかったみたいだし!父ちゃんはちょっと大変そうだったけど」
「うん。父さんは楽しそうだったよね。えっと…色々心配だけど、温泉までにはなんとかするから」
ぎゅっと手を握ってごめんなんて言うから俺も握り返した。カカシは悪くないし、多分誰も悪くないし、ただちょっとだけサクモさんがいろんなこと知らないだけだし、きっと今度行ったら完璧に銭湯ルール守れるし、牛乳だってちゃんと飲めるはず。今回は蓋の取り方がわかんなかったみたいで、瓶の中に押し込みかけてから父ちゃんがものすごーくニヤニヤしながら取って上げてたけど。アレだって結局父ちゃんのをサクモさんが綺麗に取って上げてて父ちゃんがぐぬぬって言ってたもん!
「へへ!俺も一緒にいっぱい準備しような!あとさ!あとさ!買い物も楽しかった!」
「うん!お揃いだもんね?」
「へへ!父ちゃんたちもお揃いだもんな!」
靴下も、パンツも、あとお出かけ用の服も、ちゃんとカカシと色違いでおそろいにした。父ちゃんもいつものを買って、サクモさんはやっぱり服のこともよくわかんなかったみたいで父ちゃんと同じヤツと、あと変わった下着もなんでか買っちゃってたけど、それも父ちゃんの分があって、晩御飯の前に父ちゃんがプレゼントされてぎゃーって驚いてた。 変なパンツ?はなんか父ちゃんのふんどしをものすごくギリギリまで細くした感じのヒモみたいなパンツだ。父ちゃんがいきなりカカシの頭を撫でだして、哀れな…って言ったかと思ったら、突然サクモさんがズボン下ろそうとしたからちょっとした騒ぎにもなったけど、母ちゃんがなんとかしてくれてやっぱり母ちゃんって凄いなって思ったんだよな。 母ちゃんが駄目ですよっていうと、サクモさんが物凄く悲しそうな顔をするから、ちょっとかわいそうではあるんだけど、父ちゃんにスカートめくり…スカートじゃないけど、そういうのは良くないと思うんだ。ズボンずるって下げられて、父ちゃんがものすごい顔して悲鳴みたいな叫び声みたいなのを上げて蹲ってたのを見る限り、多分確実に怖い思いでになったと思う。
新しいパンツを着てもらいたかったんじゃないかとは思うんだけどさ。ヒモみたいだけど任務には便利なんだって。手当てもしやすい?とか。
「父さんのアレは…しばらく様子見て、うみのさんが耐え切れないみたいだったら処分しないと…」
ふんどしはかっこいいなって思うけど、アレはちょっとなって思ってたら、やっぱりカカシも一緒だったんだなー…。カカシもいつも普通のパンツだもんな。お揃いにしたのは初めてだけど。
そうそう、サクモさんに関しては他にも新しい発見があったんだよな。
髪を濡らすとピンピン跳ねてるのが全部ぺたーってなって、お風呂に入れたばっかりの犬みたいになるんだ。そういえばカカシもちょっとぺたーってなるよなーって思ってたら、サクモさんは髪が長い分余計にぺたーってなってる感じがしてた。
…洗ってるときの犬って、何かかわいそうな感じがするんだよな。
サクモさんも洗ってるときはそんな感じになるのと、元から顔が綺麗だから銭湯にいた人たちがみんな見てたっけ。父ちゃんもちょっとだけびっくりしてた。
カカシも泡まみれごっこしてるときはぺターってなってたけど、乾くとふわっふわになるのがおもしろかったし、あとカカシはかわいくてきれいな顔してるから、ぎゅーってしたくなって困ったっけ。ちゃんとはなれたところで泡とか飛ばさないようにしたら大丈夫のはずだし、また今度絶対にやるんだ!
サクモさんも洗い方覚えたみたいだし、今度は父ちゃんたちともできるといいな!
そうそう!あとカカシも凄かった!
晩御飯のおつかいも頼まれてたから、カカシと一緒に買い物がんばったんだけど、途中でさりげなく母ちゃんが合流してくれて、サクモさんといっぱい勝負とかして疲れてたっぽい父ちゃんは、母ちゃんにべったりたっぷりくっついてた。
父ちゃん意地っ張りで、母ちゃんの前だと結構かっこつけだから、なんでもないって顔するんだけど、サクモさんが近寄ろうとするとびくってなってたし、ずっと母ちゃんにくっついてて、そしたらサクモさんがなんかちょっと恐い感じになって、ついでに父ちゃんも良く分かんないけど怒り出して、喧嘩なら買ってやるとか言い出して…最終的にカカシがなんとかしてくれなかったら、商店街のおばちゃんたちに物凄く怒られてたと思う。
凄いよな。カカシ。
うちの父が失礼しました。馴れないことして疲れちゃったみたいですって、カカシが言ったら、父ちゃんが物凄く苦くてしょっぱい物食べたみたいな顔して、あとサクモさんもカカシが小声で何か言ったらすぐにいつもみたいに父ちゃんじっと見ちゃうモードになってて、母ちゃんはニコニコしてた。
うん。よくわかんないけど、カカシは凄い。
でっかくなったら結婚しようって、この間約束したから、俺ももっともっと母ちゃんに負けないくらい強く、父ちゃんみたいに男らしい男になんないといけないよな!
「また銭湯いきたいな」
「うん。本番がちょっと思いやられすぎちゃうし、楽しかったし、近いうちにいけたらいいよね?日にちがないから予定すり合わせておかないと」
「だよな!あとさ、あと…えっと…」
「俺もイルカと銭湯行けて楽しかった。温泉もすっごく楽しみなんだ!だから…だからがんばるね?」
「へへ!俺も!あと、あとさ…うー…」
一杯話したいのに、さっきからちゃんとしゃべれない。なんでだろ?
「ね。そろそろねよっか?明日も一杯やることあるもんね?」
「うん…おや、す…み」
ふわふわしたカカシの頭が凄く近くにあってぎゅーってしたらぎゅーってし返してもらえて嬉しくてふわふわで。
その日はあったかくてやわらかくて幸せな凄くいい夢をみた。
父ちゃんがサクモさんとじゃれてて、母ちゃんがそれを楽しそうに見てて、それから。
カカシと一緒にくっついて笑う夢。
目が覚めてもカカシが側にいて、なんだか凄く幸せで。
これからもずーっとずーっとこんな風に過ごせるように頑張ろうと思ったのだった。

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適当。
初恋が大分アレながららぶらぶ。そして大らかすぎて父ちゃんが…。
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