おいかけっこ29(適当)



「貴様…!イルカをどこへやった!」
そう叫びながらくノ一がやってきたのは、ミナトの指示通り、でんしれんじのかいとうきのうとやらを使おうとした結果、何故か中に入れたものごと爆発した時のことだった。
とっさに飛び散ったものをふせぐことはできたが、香ばしい香りのする何かは床一面に落ちた。
これでは掃除が面倒だなということと、味見をしなければならないから床に落ちている大き目の塊を食えばいいかと手にとってみたものの、原型を止めていないものを食べて果たして任務をこなしたといえるのかどうかという迷いが生まれ、くノ一の喚く言葉に耳を貸すのを忘れていた。
匂いがつくと任務がやり辛くなる。この間撒き散らした茶葉はいつの間にか片付いていたが、このねっとりした物体と肉片は放っておいたからと言って消えたりはしないだろう。
「おい…!貴様まさかイルカまで監禁したのか!」
イルカ。そうか。あの子どもだ。カカシの番。
十分に準備は済んでいるというのに、カカシが頑なに閉じ込めないというから、いつ隙を見て捕らえようか考えていたところだった。
ミナトも考えがあるようだったから、食料の備蓄から洗脳の準備から整えたまま、地下室への扉を閉ざしてある。このくノ一は彼女も気に入っていた。殺すなと言われているからいっそコレから先に閉じ込めておくという手もあるか。
コレは戦力になるから木の葉の里にとってはマイナスになってしまうかもしれないが、カカシが何をおいても優先されるべきだから、多少のことはどうでもいいだろう。
「していない。まだ」
出来るだけ傷つけないように意識を奪おうと、チャクラを練った瞬間。
「まだ、だと…!?」
燃えるようなチャクラの塊が周囲に渦巻き、窓にヒビが入った。
面倒だな。殺さずに捕らえるのは。それに…いる。
こちらを冷静に伺いながら、この女を見つめているイキモノが。
他にもいるにはいるが、後のものは上忍らしき気配ばかりだが、処分するのに手間取りそうなのはいないようだ。
「あっちは、殺してもいいか」
あの男は確かコレの番だが、殺すなと言われた記憶がない。
…だが、できるだけ傷つけないようにして欲しいとは言われた、か?
まあどうでもいいことだ。邪魔な物はまとめて片付けてしまえばいい。
殺せないものは閉じ込め、残りは処分か洗脳でもしてしまおう。情勢はいまだ不安定で、今は手足は多い方がいいから、可能な限り殺さない方がいいだろう。
適当に周囲にいる連中から影分身で落としていくと、つい先日庭にやってきた侵入者も混じっていた。なるほど。コレの手足だったか。
彼女はコレの邪魔をするのを嫌がるだろうか?
「ここにはイルカがいない!ここ数日通った形跡もない!撤収するぞ!」
「なんだと!?だがコイツは何かしでかすつもりだったに違いないんだ!まだだとは言っていたが…」
「チッ!やられた…!黄色い閃光だ!反応があった!国境じゃないか…!」
「アイツならいける。な。…くそ!おい獣!貴様の息子はどこだ!どこにいる!」
そうか。ミナトが一緒なら大丈夫だろう。
邪魔をされるのを嫌うが、そういえば試食任務を請け負ったときに渡されたのは転送クナイだったな。わからなかったら持ってきていいと言っていたはずだ。
コレの相手をするのは考える事が多すぎて面倒で鬱陶しい。追い払ってからあの惨状について相談した方がいいだろう。
「しらない」
「お前の子どもだろう!?何を考えてるんだ!」
「カカシは彼女の子だ。ミナトも側にいる。任務に出さなければ大丈夫だ」
国境ということは…ミナトの隠し家か。あそこなら大規模な結界を張ってあるから敵も入りこめない。
「そうだ。お前とあの子の子だ。心配にならないのかと聞いてる!あの気狂いがどんなイキモノか、貴様もしらないわけじゃないだろう!」
「気狂い?それがどうした?ミナトにはカカシを守る力がある。決して傷つけない」
「話しても無駄だ。…里を出る許可が取れた。これでイルカを追える」
「そうだな。…じゃあな。獣。次に会うときは貴様もあのガキも覚悟しておけ…!」
いつの間にか庭に散らばっていた連中がいなくなっている。あの男が回収したのか。
まあいい。庭が汚れると彼女が悲しむ。
「さて。…では、俺も」
ミナトに確認することもあるから急がねばなるまい。
…その前に床を、かたづけなくてはいけないが。
少しばかり憂鬱な気分になりながら、指についたそーすとやらを舐めてみた。
塩味がしたとだけ書いたらミナトは笑うだろうが、カカシは怒るかもしれない。
カカシは、俺の子で、彼女の子だ。賢く、強くなるだろう。
番との折角の機会を、無駄足を踏んだあの連中に邪魔をされるのは少々都合が悪い。
「急ぐ、か」
彼女が、今ここにいてくれたら。どうしたらいいかきっと教えてくれただろうに。
喪失感に狂いそうになる。
いつものことだ。カカシ。カカシを追いかけなくては。
転送クナイと、それから預けられた食料を適当にまとめ、結局面倒になって床は水遁で家の外に流した。
なにもかもが面倒で仕方がない。追いかけて、それから。守らなくてはならない。
彼女が、そうを命じた。それを違えることはできないのだから。


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適当。
白い牙が不穏すぎるのでありました。
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