降り止まぬ雨(適当)


やんでるのでちゅういー!

「雨…」
茫洋とした瞳は何を見ているのだろう。
浚って閉じ込めて自分だけのものにしたはずだった。
突然見知らぬ男から所有権を主張され、戸惑い怒る愛しい人にとてつもなく興奮した。
一目見ればわかったはずだ。闇の住人に捕らえられたのだと。
特徴のある漆黒の服は闇にまぎれるためにある。そうして隠しようがない里の印も、この人ならば知っていただろう。
敵うはずがないと理解していて、それでもなおこの人は俺に挑んできた。
かわいい抵抗とあしらって、落ち着くまではとしばらくはその身に触れるのも我慢したというのに。
閉じ込められたことが焦らせたのだろうか、利口なひとであるはずなのに、いきなり禁術染みたものまで使ってきた。
それはまあいい。このもらい物の左目は優秀だから。この人の体がそんな術で損なわれてしまうかもしれないことだけは心配したけれど。
予想外だったのは自分の興奮の方だ。
浚ってすぐになんて無粋なもう少し焦らすつもりだったのに。
射る様な視線に、そんな目論見はあっさり吹き飛んだ。
自分とこの人を隔てる服を引き裂き、素肌に触れたときの感動といったら!
しびれるような快感に打ち震え、自分もまたケダモノの面を捨てた。
怯えもあっただろうに、それでもこの人は一瞬驚いた顔をして見せただけで、すぐさま反撃を仕掛けてきた。
だがいかんせん実力が違いすぎる。
自分はこれでも里の看板だ。
かつての師を越えられたかといわれれば首を傾げるが、単純に強さと戦場を生き抜く賢しさだけは、うぬぼれじゃなくこの里の他の誰よりも優れているといえる。
印を組む前に押さえ込むことなど造作もなかった。
抵抗を楽しみ、その涙さえ食らい尽くすかのようにその体を貪った。
思う様突き上げ汚してもなお抗う姿に心が震えた。
流石俺が惚れた人だと。
…タカが外れたかのようにぐちゃぐちゃにして、意識を飛ばしてしまった姿にも欲は尽きず、結局は意識が戻るまで穿ち続けた。
流石にやりすぎだ。これでこの人が壊れてしまったらと焦った。
それは、目覚めるなりかすれた声で悪態をついた愛しい人のおかげで杞憂に終わったわけだが。
なんてすばらしい人なんだろう。折れることのない刀を手に入れたかのように歓喜した。
たとえその刃が自分を傷つけるために鍛えられたのだとしても、それがなんだというんだ。
だってもう、この人は俺のものなんだから。
とはいえ、抵抗ばかりされるのも心苦しい。
血だらけの情事も楽しめなくはないが、もっと快楽におぼれて喘いでくれる方がずっといい。
それなのに捕らえた人は一向に諦めようとも馴染もうとも…フリですら従うように振舞うことを拒んだ。
だから、自我を封じた。
一時のつもりだった。身体を先に馴染ませてしまえば、これ以上痛みを与えなくて済む。欲を押さえ込むのは不可能に近かった。痛がる様さえ煽っているように見えて、どうしても抱きつぶしてしまう。
このまま弱らせてしまうのが怖かったのもあって、情事の最中に落ちかかっているときを狙って術をかけた。
久方ぶりに穏やかな眠りに落ちた人の寝顔を堪能しながら、すぐさま準備に取り掛かった。
窓のない部屋から連れ出して、もっと落ち着ける環境に移すために。
閉じ込めるのも止めた。自分の生家は里から離れた所にある。
生前の父が狂ったように集めていた忍術書を理由に結界を厳重に施し、犬たちにも見張らせた。
今更この人を見咎められても、わざわざこの手から奪おうとする輩もいないだろう。
里長が知れば厄介だが、この戦続きの世の中で、わざわざたった一人の中忍のためにそうたいした人手は裂けまい。
自分に逆らえるような忍など片手で足りるほどしかいないはずだから。
そこまでして、やっと落ち着くことができた。闇雲に傷つける必要がなくなってからは、無理な欲望を叩きつける回数も減った。…と思う。
目が合えば欲しくなるのは変わらなくても、この人が逃げ回ることはなくなったから。
だがよほど意思が強いのだろう。人形に近い状態になるはずが、この人はこうして時々ふらりと勝手に動いてしまう。
家の外には出られないようにしてあるけれど、心配でならない。
ついこの間も、任務から帰ったらこの人の警護をさせている犬たちを撫でていて、大慌てしたものだ。
「おかえり」
そう言って頭を撫でてくれた。嬉しくて嬉しくて、犬たちがこの手の感触を享受したことへの怒りも吹き飛んだ。
抱きしめるとおずおずと背に回る手に感動し、その名を呼んだだけで涙が毀れた。
「だいじょうぶ、だいじょうぶですよ…?」
穏やかな微笑み。それが自分に向けられている。
任務中に見かけてどうしても欲しくなったそれが、自分だけに。
「だいじょうぶ、なのかな。俺は酷いことをしているのに」
自分からしでかしておいて、事態を把握することもできないでいる人に許しを請うようなマネなど無意味だ。
それが分かっていて、これ以上その顔を見ているのが怖くなって抱きしめた。
触れる肌の熱に性懲りなく鎌首をもたげる欲望を感じて、我ながらもうどうしようもないのだと自重した。
「ひどい、こと…謝らないとだめです。でも…ああ。泣かないで」
抱きしめてくれる腕に甘えて縋りつき、その肩口をぬらす水が自分の涙だと始めて気がついた。
優しい人だ。ああどうしよう。でも謝って許してもらえても逃げていくかもしれないことが怖くて、きっと自分はこの人を閉じ込めてしまうだろう。
だから、また術をかけた。怖かったから。
でもどうしてだろう。…どこまで自我を削っても、この人らしさを失わない。
ぼうっとしていることは増えた。だが今も激しさを増した雨を眺めて一人縁側に佇んでいる。
「濡れちゃうよ。家の中に入ろう?」
袖を引く俺にこうして穏やかな視線をくれるのは、どうしてだろう。
「…もう、梅雨なんですね」
そういえば、さらったのはまだ散り損ねた桜がその枝にしがみ付いていた頃だ。
「梅雨、なのかもね」
愛しい人は降り注ぐ雨を手に掬い取って、俺の頭に落とした。
突然のいたずらに驚く俺を他所に、笑っている。
「綺麗だなぁ」
宝石みたいですよ。
あなたは王様みたいだから、きっと似合うでしょう。
そんなことを言って、俺に向かって。
「雨…ずっと降り続ければいいのに」
雨は、やむ気配を見せない。
いつまで続くか分からないこの仮初の安寧が、永遠であればいいのにと願った。


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適当。
病んでれけい。つづいたらどうしよう('A`)
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