あたためたくて(適当)

「カカシさん!これどうぞ!」
今日も今日とてイルカ先生は元気だ。
凄まじく気温が低いというのに、早朝の受付で笑顔を振りまき、ついでに別のものまで差出してくる辺り、俺とはまるで違う生き物なんだろう。
夜通し任務だったとはいえ疲れるほどのものじゃないのに、この人の顔を見るとどうしてか妙に力が抜けてしまうのは困りものだ。
いいひと、なんだけどね?
「えーっと。今度は?」
「ほら!おしるこはあんまり好きじゃないって聞いたので、今日はお茶にしてみたんです!」
笑顔だ。それも誉めて欲しい時の犬に似た、キラキラと輝いた瞳が俺を射抜く。
嬉しそうに俺がその手の中のものを受け取るのを疑ってもみずに。
「…どーも」
今日こそは来ないと思っていた。
一番最初に上忍師だと自己紹介した俺をみるなり、いきなり携帯用の使い捨てアンカをよこされたんだっけ。
暖かいですよといわれて差し出されたそれは確かに温かかったが、それからずっと、この人はこうして何がしか俺を暖めるものを差し出し続けている。
…だが、この間俺は聞いてしまったのだ。
「あの人、白くていつも寒そうに見えるよな」
そのセリフに驚いたのは、たまたま通りかかった俺だけじゃなかったらしい、
慌てたように上忍の体温コントロールについてやら、不敬なマネをするななどといってくれていた。
呆然とする俺よりもずっと冷静に、だが慌ててたしなめてくれたこの人の同僚には、感謝すべきだろうか。
…嬉しそうに駆け寄ってきてくれる姿に、もうとっくの昔に惚れてしまっていたのだとしても。
今目の前で飲み物を差し出す人は優しい。
寒がりなんだと思ってましたなどと言われて、終わりになるんだとしても、それが素直に嬉しかった。
だから…まさかいきなり手を握られるなんて思いもしなかった。
「あ、ホントだ。暖かい。よかった!」
ぎゅっとにぎられた手は、今買ったばかりの飲み物の熱のせいか温かい。
俺の手を包み込むようなその手に、あっという間に頭に血が上った。
「でもイルカせんせ。まだ寒いんです。…温めてくれますか?」
「えええええ!?や、やっぱり寒いんですね!?い、今すぐ…どうしよう!?」
そういうと、血相を変えて、俺の手を掴んだままおたおたし始めたから、また何か温まるもののを差し出される前に一番欲しいモノを強請るコトにした。
「イルカ先生…温めて?」
そっと腰を抱き寄せて、この人の前だとそこだけはいつでも熱い所を押し付けてみたりした割に、危機感がないのかやさしすぎるのか…愛しい人は微笑んでくれた。
「わかりました!もう俺もあがりだし、俺んち来て下さい!風呂もあるしストーブもおんぼろだけど…こたつもしっかりあったかいですよ!」
やっと凍える俺をなんとかできるのが嬉しいのか、足取りも軽い。
俺の方も、今度こそ覚悟を決めた。
欲しいのに我慢するのも、言えないと我慢するのももうやめる。
温かい手を引かれるままに、足取りも軽く歩いた。
…着いたら、全部いただいてしまおうと決めて。


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適当!
眠いので。
寒そうに見えたのでとかなんとかいいつつくどいてるのは実は中忍のほうもだったりすればいいとおもうのでしたよ。
ではではー!なにかご意見ご感想等ございましたら、お知らせくださいませ!

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