かまってちゃんの帰還(適当)



「遊んでください」
きりっとした顔できっぱりと言い切った。お願いというより宣言に近い。
任務頑張ってくださいねっていうからちゃんと任務がんばったし、また今度って言うからそのときは我慢したし、怪我しないように気をつけてくださいっていうから本当に毛の一筋ほどの怪我もしないように気をつけた。
ま、ちょっとだけチャクラが足りなくてすかすかするけど、倒れないようにもした。
だからこれは当然の権利だ。
「…アンタ今何時だと思ってるんですか…」
怒ってるっていうより、これは呆れてるんだろう。
パンツ一丁で無防備に寝てるって、それだけでご褒美なんだけどね。
「えーっと?牛の刻?くらいですかね」
「…時間聞いた訳じゃねぇよ。アンタこんな時間になにしてんだって言ってんです」
怒ってる?かな。しかもじわじわ目が覚めてきたみたいでちょっとずつ、でも確実に不穏な空気は濃度を増している。
「任務が終わったら遊んであげますからって言ったもん」
絶対言った。確かに言った。だから約束通り来ただけだもんと騒いでみたら、頭を抱えて深い深いため息をついた後、強引にベッドの中に引っ張り込まれた。
イルカ先生の匂いがする。おまけに向こうから抱きしめてくれることなんてめったにないから嬉しすぎて力加減を忘れてしまった。
「いでででで!いってえだろうが!死ぬ!」
「ええ!?死んじゃダメ!」
あわてて力を抜いたら、ちょっとぐんなりしたイルカ先生がものすごーく鋭い視線を向けてきた。
…うーん?三日間ハグなしとかだったら暴れちゃうかも。我慢できなくて襲っちゃったりしたら、きっともっとさらに怒ってお仕置きっていうかお預けがが厳しくなるだろうから、いっそのこと監禁しちゃいたいなーなんてことまで思い始めてきた。
どうしよう。イルカ先生が近くにいすぎてどうにかなっちゃいそうなんだけど。
「…寝なさい。飯は…起きてからしっかり食って、風呂も入れ」
わっしわっしもともとボサボサの頭がさらにぐしゃぐしゃになるくらい撫でつつ、イルカ先生が剣呑な瞳で言う。
「はーい」
こういう時のお返事は絶対に素直にしておかなくちゃいけないと、身を以て学んだ俺は、もちろん即、いい子のお返事をした。
無言で鷹揚にうなずいて、でも撫で続けてくれるから気持ち良くてついつい頬が緩む。でも色々したいんだけど、っていうかシたい。
それなのにどうしてか、妙に体が重くてでも気持ち良くて、動くのが面倒になってきた。
「イルカ、せんせ…」
「いいから寝ろ。アンタそんなヘロヘロで遊ぶもなにもないでしょうが」
イルカ先生の声もうっすらとだけど眠気が混じっている。
…眠りかけのイルカ先生をどうこうするのは楽しそうだけどあとで怒られちゃいそうだし、ま、怒られるのも楽しいからいいんだけど、お預けが延長になったら無理だから、今日のところは我慢しておこうかな。
「起きたらいっぱいしましょうね」
そう宣言することだけは忘れない。
だって約束したもんね!
「…しょうがねぇなぁ。もう」
ふっと笑ってくれた顔を最後に、意識がゆらゆらと眠りの海に沈んでいく。
大きな手が俺を抱き寄せて、それから。
「心配ばっかかけてくるってのにな。俺も大概アンタに惚れてると思いますよ」


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適当。
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