遊んで?(適当)


「遊んでよ」
袖を引く上忍を振り切るように足を速めたが、そんなことで諦めるような男じゃないことは分かりきっていた。
まとわりついて歩きにくい程で、いっそ蹴散らしてやりたいがそうすると構ってもらえたと却って調子に乗るので無視して歩く。
「足触ってもいいですか?」
「ダメです」
「ホントはお尻がいいんですけど」
「当然ダメです」
「髪の毛…」
「ダメです。…さっさとどっかいきなさい。俺は遊べません。忙しいんです」
犬でも叱り付けるようにめっといってやった。
後は何処かへ勝手に行くだろうと思ったのに、今日はどうやらまだ諦める気がなさそうだ。
「イルカせんせー。遊んでってば」
どうしてこんなにしつこいのか。
いつもまあそれなりにしつこくて、周囲の人間に上忍に絡まれているかわいそうな中忍扱いされたりしてるけどな。
それなりに構ってやれないアピールをすれば、いつのまにかふらっといなくなってたのに。
「遊びません」
なにがあったか知らないが、油断は禁物だ。
この人はこんなに器量よしだが常識はあんまりない。殆どない。ほぼない。
生活に必要な知識の代わりに、忍としての技術を詰め込んだらこうなるのかもしれないなぁと、勝手に上がりこんで飯食った挙句に仰向けに寝転び、かまってかまってと無言でアピールする上忍を見て思ったものだ。
その後、文字通り襲い掛かって貞操的なものを狙われているのだと気づいたときは恐ろしかったが…その内慣れた。
仕草は日々アカデミーでなでくりまわしているかわいい子どもたちと変わらない。
頭の中身、そのまんまで育っちまったんだろうなぁ…。
哀れを催すべきか、それともその残念な頭の中身を補充すべく教育者として努力すべきかまよい、結局こうして中途半端に構ってやる日々が続いている。
生き物を拾ったら、一生面倒みなきゃいけないからな。
こんなに面倒くさそうな生い立ちで面倒な性格で面倒な懸想までしている生き物は、一生引き受けるには荷が重過ぎる。
本人に自覚はなさそうなのが厄介だが…くノ一の皆さんの嫉妬の視線に耐える身になってみりゃいいんだ!
あまたの誘いを袖にして、俺に付きまとい続ける男にそう怒鳴ってやりたい。無駄なのが分かっているからやらないが。
「あそこの茂みとかでいいですか?」
「…何の話ですか…?」
不穏だ。不満げな顔より、いつもならちぇーとかなんとかいいながら、つまらなそうに去っていくはずなのに。
今は笑顔なのに壮絶な色気を垂れ流し、ケダモノのような瞳でこっちを見つめている。
恐ろしい。なんだかしらないが、妙にやる気だ。
「ベッドの方が?」
「何の話だってきいてんだろうが!」
とりあえず拳骨を振り下ろし、避けるか逃げるかした所で考えようと思ったんだが、交わした挙句にその場に押し倒されていた。
…非常にまずい事態だ。中忍としてそこそこ鍛えているといっても、上忍と渡り合えるほど強くはない。
そこそこの上忍ならまだしも、この生き物は木の葉最強とも謳われる男だ。もっと言うならこの男は人の話を聞かない。
つまりは俺の貞操は風前の灯な訳だ。
「いーい匂い。どうしよう」
「おうちにかえりなさい。汗臭いだけです。後アンタ多分寝不足でしょう」
目の下にクマがある。顔色も悪い。あれほど夜更かしと不摂生は任務以外でやるなといっておいたのに。
まあ無茶苦茶な任務割り振りしても、いつだって元気一杯に俺のストーカー業に勤しんでいる男には、不要な言葉だったかもしれないと思っていたが。
これは、違うだろう。
毛艶…もとい、状態は明らかに落ちている。
上忍でしかもアンタ激務なのになにやってんだ!
「うん。だって、寝るとイルカ先生とやってる夢ばっかりみてる。もういっそのことホンモノ食っちゃったらおさまるかと思って」
なんだそれ。…俺と、この男が?
「上忍なんだから自分で押さえつけなさい!」
半分叫び声染みた怒声は、軽く受け流されてしまった。
「ずっともうねー。起きても寝てもなにしててもやりたいの。だからやる」
「ダメですって!あ、こら!服脱がすなてめぇ!」
「あ、さわりごこちいいですね」
「あっ!」
何だ今の声は。鼻にかかって甘ったるくて…なんて恥ずかしい。
「いただきまーす」
「嫌いになります!あんたなんて最低だ!」
忙しいときは無理だとしつけ、時間に余裕があるときはたくさん撫でてかわいがってきたのに、こんなケダモノのままだなんて最悪だ。
どてっぱらめがけて拳を放つと、びっくりした顔の上忍に受け止められてしまった。
「…しなかったら好きでいてくれるの?」
「は?」
何言ってんだ?この上忍。
「でもしないと無理そうなんだけど、我慢したら好きでいてくれるならそれもいいかも」
俺の上で必死にお預けに耐える犬みたいな顔したイキモノがいる。
なんだこれ。…餌は、俺か。
何で俺はこんなに嬉しいんだ。
「お付き合いの基本は告白が先で、そこから先は双方合意の下ですすめなきゃだめです」
「えっと。じゃ、付き合って?そしたらいつかはやれますよね?」
「…あんた次第です」
「じゃ、おねがいしますね!」
晴れやかな笑顔と裏腹に尖って天を突いている性器が脈打っているのに気づいてしまったが、見なかったことにした。
俺の下穿きもどっかいってるし…恐ろしい手の早さだ。
「とりあえず手をつなぐか交換日記からです」
「ふぅん?おもしろそう。どうせならこっち握って欲しいんですけど、だめ?」
「握りつぶしますよ!」
「ちぇー?」
うーん?通常運転に戻った…か?
いやまてまてまて。
俺は告白の返事をしていない。
「あのですね。俺は」
「じゃ、早く決心してくださいねー?天国みまくれますよ?俺も多分一緒に」
うっとりと目を細めるイキモノは、どうやらやっぱり人の話を聞いていない。
まあ、いいか。追いすがる生き物を追い払うたびに、いくばくかの痛みを覚えていたのをこれからは考えなくて良くなりそうなんだし。
俺のモノなら、もっと大事にしてやらなきゃ。
「まあとりあえず…飯でも食いに行きますか」
「はーい!」
良いこのお返事をくれた男と手をつなぎながら、家路を急いだ。
握った手でしごいたらきもちいかもなんていう卑猥な言葉を聴きながしながら。

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適当。
おかしなふたり。
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