いい加減うんざりしていた。 死ねだの殺せだの、こっちは任務こなしてるだけなのにねー。 生意気だなんだって、馬鹿じゃないの?無能の言い訳までこっちのせいにされても、迷惑なだけなんだけど。 その挙句生き写しだったっていう父親の分まで嫌がらせされたらたまったもんじゃないっつーの。 いちゃもんつけてる暇あったら修行しなよ。 「ってことで、先に喧嘩売ってきたのはそっちだから」 ここんとこSランク続きでイライラしていたところに、鬱陶しいことこの上ない連中に取り囲まれたから、ちゃーんと証拠取りつつぶちのめしてみたんだけど。 うーん?俺の話ちゃんと聞いてる?っていうか生きてる? 「先輩。記録は転送しましたけど、これ、どうします?」 「んー?どうするって、ほっといていいんじゃないの?仮にも暗部なんだし」 別隊の応援要請っていうから来てやったのにこれだもんねー?きな臭いからうちの副官に記録任せて隠れさせといて正解だったけど。 死ねって…暗殺を旨とする部隊で、わざわざ自分の存在見せ付けて気取られるような殺害方法選ぶってどうなの?馬鹿なの? ま、馬鹿なんだろうけど。実力差のある相手に集団でかかるのはまだ許してやってもいいけど、うだうだ恨み言言ってる暇あったら、もっと素早く行動しなさいよ。 「あーでもですね。この隊って、確か正規部隊と合同任務…」 「うお!あ、暗部が落ちてる!しかもたくさん」 「あー…遅かったみたい?」 「…ですね」 元気がとりえです!って顔にかいてありそうなガキが、転がってる暗部の前で右往左往してる。医療パックだしたとこまではいいんだけど。 「これだけいたら一匹ぐらいもってかえってもばれないかな…!」 …昆虫じゃないんだからなに言ってんのこの子。 「だーめ。あとそれ害虫だから触ったら危ないでしょ?」 「わー!暗部!すっげぇ!」 ちょっと。だれよこんなお子様任務に組み込んだの!これ結構高ランク任務だったんじゃないの? 「ほらほら。戻んなさい。任務中なんでしょ?上忍師は?」 「あーうん。えーっと。はぐれちゃった?へへ!」 「は?」 はぐれるって…任務中に?結構大規模な戦闘があったはずなんだけどここ。なんで? 「先輩。この子迷子なんじゃないですか?」 「迷子って、これ俺たちでもAランクでしょ?なんで下忍?お前下忍だよね?」 「え?うん。じゃなくてはい!うみのイルカ!10歳です!」 お行儀良く挨拶できるのはいいことなんだろうか。例えこんな状況であっても。 「一応聞くけど、どうやってはぐれたの…?」 「え?先生がトラップ作れって言うから作り終わったらいなくなってました」 これは…この子も騙されたのか、それとも上忍師の方への嫌がらせなのかわかんないけど、ほっといたらまずそうだ。天真爛漫と言えば聞こえはいいけど、この突き抜けたお子様っぷりじゃ、俺と違って実力行使で上手く立ち回るなんて真似もできないだろう。 「…そ。あとでそいつは締め上げようね?ほら。着いて来な」 「はーい!…一匹くらい欲しいなー…」 「だーめ。いい子にしてたら術の一つくらいなら教えてあげるから」 「え!ホント!やった!」 「せ、先輩!いいんですか?」 「なに?お前も習う?」 「はい!是非!」 「良かったですね!俺も嬉しい!」 「そうだね。先輩が修行に付き合ってくれることなんてめったにないから僕も嬉しいよ!」 「そっか!レアなんだ!やった!」 なんだろうね。キラキラした目ぇしちゃって。二人そろって気があったのか、きゃっきゃっしながら歩いてる。 後始末押し付けちゃおうかなって思ったけど駄目そうだから、処理班要請の式と、火影様に変なの片付けましたってのと、迷子拾ったんだけどコイツどうするってのを送っとかないと。 「腹減ったなぁ。やっぱりラーメンは一楽!」 「へー?僕たちはあまり里にいないからなぁ」 「あー、一楽は美味いよ。これ片付いたら行って来たら?」 「先輩も是非!」 「あ、俺も行く!」 …いやほんっとなんだろうね。この馴染みっぷりは。 「全部片付いたら。ね?」 「はい!」「うん!」 元気一杯の後輩と迷子のガキにちょっとした疲労感を感じながら足を進めた。 火影様から光の速さで式が帰ってきて、それから延々とガキのお守りを押し付けられるなんて想像もせずに。 ******************************************************************************** 適当。 ひそかに木の葉ではやってる暗部集めにはまってるちびいると、暗殺されかかった上忍師の代わりにうっかりこもり押し付けられる子カカシ四歳差版。 |