寒さに震えちゃうよねー。この格好じゃ。ま、チャクラでなんとかできるんだけど、視覚的な寒さに弱いあの人は、きっと今日もおお慌ててで俺を暖めてくれるだろう。 「これでよし!と。全部片付きまし…え?先輩?」 「ん。先帰るよ」 「え!いやでも!今回は抜けた先輩に無理して参加していただいたので!ぜひお礼を!」 キラキラした目で見られてもねぇ。後輩がかわいくないわけじゃないんだけど、今日は絶好の甘やかされ日和なのよ。ごめーんね。 肌が白いってだけなのに、どうも俺が寒がりだと思い込んでる節がある。 それを利用して布団に入り込んだりコタツに居座ったり、最終的に弱った振りして押し倒して強引且ついつの間にか恋人の座に居座ったんだから、ある意味だましちゃったことになるんだろうけどねー。そこは結果オーライってやつでしょ。 好きって言うと真っ赤になっちゃうし、擦り寄るとカカシさんは甘えん坊でしょうがねぇなぁとか言いながら撫でてくれてみかんも剥いてくれちゃう。自分で剥くときはついついみかんの白い筋とか全部とっちゃうんだけど、イルカ先生がざくざくって適当に剥いてくれたヤツの方がずっとおいしい。 白い部分にも栄養があるんですよって笑う顔がかわいくて思わずちゅーなんかしちゃうと、唇押さえて真っ赤になっちゃうし、そうなるとまあ、ね。 コタツは上に乗せて前からでもいいし、腹ばいにさせて後ろから入れられるし、汚れるって慌てるのもかわいいしで最高だ。 夏は夏の楽しみ方があるけど、冬のこたつは油断したイルカ先生とセットになって、見るだけで思わず催すようになっちゃいそうなくらいお気に入りになっている。 「ん。でも急いでるの。じゃーね」 「えー!せんぱーい!」 元気にわめくだけの余裕があるなら、この雪の中での処理もこなせるだろう。一応処理班呼んであるし、サービスはここまで。 肌に触れる雪は解けて身に着けた面積の少ない服を湿らせる。髪は元々白っぽいけど、多分細かい雪が降り積もって、待っていてくれるあの人を驚かせてくれるだろう。 抜けた人間こき使うなら、これくらいの役得はあってもいいでしょ?ね。イルカ先生。 内心鼻歌交じりに、でもそんなことをしている時間ももったいないから、全速力で里を目指した。 ちょっとチャクラを調節して、肌の温度を下げることも忘れない。タチの悪い毒を食らったときの応用だ。血のめぐりをコントロールして、毒が回るのを遅くする。解毒剤がすぐ手に入らなくても、少しばかりの延命ができ、なおかつ少量ずつならたいていの毒の代謝ができるから、肝臓とかそっちの臓器にチャクラを集中させて分解を促進すればなんとかなるっていうね。こんな小技を当たり前のように使いこなす連中はそれほどいないから、多分イルカ先生は知らないだろう。 一昔前は…五代目が就任されるまでは、医療忍術を使える人間が不足してたし。そりゃ育成できる人間が少ないんだから当たり前なんだけど。戻ってきてからは人使いが荒いって問題はあるにしろ、そっち方面ではすさまじい速さで技術が発展した。 …ばれないといいな。ばれても甘えたがってることに気づいてくれるだろうから、一発殴られて心配掛けるなーとか言われて後は多分抱きしめてくれるだろう。 里の明かりが白く煙って見えたときの期待感ときたら!あと、ほんの少しで会えると思うと、今までで一番といっていいほど足が動いてくれた様に思う。 「カカシさん!うお!白い!風呂!風呂!こんなに冷えて…!飯は後です!あんた洗うのが先!」 「イルカせんせ」 「ん?なんです?あとにしなさい!あーもうぐったりしちまって…!」 冷たい体でくっついたから、イルカ先生のほうが寒いでしょうに。むしろ体温を分け与えようとしてくれているのか、ぎゅうっとちょっと痛いくらい抱きしめてくれた。あーもう。幸せ! 「お風呂、一緒に入ってくれる?」 「そんな冷えてんだから動けないでしょうが。当たり前だ!俺もぬれちまったし、ちょっと狭いけど我慢してください」 呆れ顔までかわいいんだから、本当に神様はいるのかもしれない。 浮き足立ってうっかりちょっとどころじゃなく普段よりすばやい動きを見せた俺に、イルカ先生は気付かなかったようだ。 「おっし!ちゃんとあったまるまで風呂からだしませんからね!」 いつものカラスの行水をとがめる言葉に、どうやらたっぷりいちゃいちゃできそうだとほくそ笑んでおいた。 ま、たまになら緊急呼び出しってのも悪くないよね。うん。 ******************************************************************************** 適当。 |