「いいか?ぜーったいに駄目だからな!」 「うん」 あけちゃ駄目っていいながら、一番開けそうな相手に渡すのってどうかと思うんだけど。 大体忍なんだから、その気になったら開けずに中身を探る方法なんていくらでもあるんだし。 ま、そこはイルカだしね。 ちっちゃいのに負けん気が強くて、忍犬だったら絶対俺のにするのになぁ。人間なんだよね。しかも忍のたまご。まだ下忍にもなっていない。 あんなんじゃ流石に任務に連れてなんかいけないけど、もうちょっと育ったら連れて行けるように、今はせっせと体術忍術交渉術まで仕込んでいる真っ最中だ。 地頭は悪くないんだけど、ちょっと向こう見ずすぎるのと頑固なのとで、作戦遂行に支障をきたしそうな性格をしている。 でも、すごくかわいい。ちょこちょこ良く動くしその分怪我もするけど簡単に泣いたりしない根性のある子だ。最初はめちゃくちゃ警戒されて、でも慣れたらものすごーく懐っこい。 今日だって急に呼び出されて、開けちゃ駄目だってことだけ叫ばれて、この箱を手渡された。秘密にしたいものなんだろうから、それだけ信頼されているのは正直言って嬉しい。いつかは俺のモノにするつもりだから、もっと懐いてくれたっていいくらいだ。 でも、この箱、開けるなって言ったんだよね。 「信頼されてるってことなんだろうけど」 俺が今までしてきたことを、何一つ覚えてないんじゃないかと不安になってきた。 イルカ宛のラブレターは目の前で燃やした。他の連中に目をつけられる事がないように術もかけた。 怒って二度と口利かないなんていいながら、お菓子の一つも持ってくればすぐにそれを忘れてしまう。 一番怒らせてしまったのは、俺がちょっと派手な怪我をしたときだったけど、それも一楽のラーメンチャーシューマシでイチコロだった。 「…開けちゃ駄目って言われたら、中身知りたくなるよ」 チャクラを探っても術具特有の澱みはない。白眼でもあればもっと細かい事がわかるんだろうけど、今の俺じゃそれくらいしかわからない。 さて、どうするか? 探知のため術でも使って中身を探るか、それとも開けて中身を確認してから戻しておくか。 迷う所だ。多分どっちにしろイルカは疑うし、だが俺が何をしても気付かない気がする。 そーいう所もかわいいんだけどね? 「うーん?」 とりあえず探るだけ探って、それからでも開けちゃうのは遅くないだろう。 そう独り決めして印を組んだ途端、小さな塊が胸に飛び込んできた。 「だめ!」 「どーして?」 「…まだ、ないしょ!」 まだ?まだってことはいつかは教えてもらえるわけか。ふぅん?ってことはこれの中身は予想がついた。 「いつなら大丈夫なの?」 「え、えっと。あと?んっと、一週間が1回?くらい!」 「そ。なら我慢する」 ビンゴだ。ちょっと前、イルカにチョコレートをプレゼントした。もちろん本命だから返事ちゃんと頂戴ねって頼んだ上で。それで作ってくれたんだ。きっと。 本当は中身を見て欲しいんだろう。多分だけど作ったからには褒めてもらいたいんだと思う。 それに、ならこれは。 「なんだろうね?この中身。…白いの?」 「ないしょだ!ないしょ!」 真っ赤になるのがかわいかったから、とりあえずちゅーだけしておいた。 チョコレートのお礼には、イルカの一生も貰っちゃおうと決意して。 ******************************************************************************** 適当。 ホワイトデーがちかい…_Σ(:|3」 ∠)_ ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |