愛のエプロン(適当)



「や、ですって!」
「いいからいいから。早くこっちきなさい」
酔っ払いはたちが悪い。
にこにこ笑いながら、とんでもないことを言い出して、ご機嫌な顔だ。
「やだっていってんでしょうが!よっぱらい!」
振り払ったはずの腕は酔いのせいでくにゃくにゃと芯をなくしたようでいて、そのくせ起用に俺に絡みつく。
乱暴になんてできない。…それを見透かされてるんだろうか。
「ふぅん?そんなこというんですかー?カカシさんのわからずや!」
剣呑な顔に固まった。
俺がアンタに逆らえないのなんて知ってるだろうに。
「なにする気なのか、せめてそれだけでもいいなさいよ」
こっちとしては最大限の譲歩だ。
そして酔っ払いはそんなことを少しも斟酌なんてしなかった。
「ほら!かっわいいでしょう!」
確かにかわいい。ふりふりのエプロンだ。
レースを贅沢に使った純白のそれは丈が短く、しかもうっすらと透けている。
こんなエプロンをつけて作ってくれたなら、料理がさぞやおいしそうにみえるだろう。
…ただし女性が身につければという注釈がつくが。
「かわいいですが。あんたこれどうする気ですか」
「エプロンが似合うって思ったんです」
「へ?」
酔っ払いの言葉はいつだって支離滅裂だ。
「色白いし、かわいいし、よく気がつくし」
「そりゃどーも」
「ついついさっきまでのろけてたら、これくれたんですよー!」
やー持つべき物は気の利く同僚ですねぇなんて、へらへら笑っている。
下種な意味なんて少しもかんがえちゃいないんだろうけど、その手の下の話を同僚と模しているかもしれないと思うとイライラする。
「じゃ、今度飯作るとき使いますから」
「だめです!これは裸で着ろって」
やっぱりか…!予想はしてたがどうしてくれるんだ!
その同僚とやらはいつか見つけだしてきっちり落とし前をつけてやらないと。
「いいんですか。着て。酷いみためになりますよ?」
「かわいいっていってましたもん!俺のカカシさんのがかわいい!」
ぶーっと頬を膨らませてそう訴えられたら…逆らえるわけがないんだ。俺が。
そうして、手渡されたエプロン片手に押し問答すること数分。
結局、身につけた姿を絶賛してくれた恋人がうっとりした顔してるもんだから我慢ができなくて、さんざっぱらそのまま突っ込んでやった。
「エプロン一丁の男に犯されるってどんな気分?」
「ひぅ!あ、ぁ!も、や…!で、る、から!」
「こんなにぐちょぐちょにして、そんなにきもちいい?」
「あっぁっ!きもち、い…!」
かわいい顔で達して意識を手放すまで、散々いじめてしまった。
エプロンがぐちゃぐちゃになっても脱ぐなと訴える恋人のお陰で、新たな扉を開きまくってしまったかもしれない。
そんなこんなで俺までたっぷり楽しんで、しっかり変態の仲間入りだ。
問題は、だ。この人は酔っ払うと記憶を手放す特技があるってことだ。
「アンタもういい加減学習すればいいのに」
同僚たちに玩具にされてるに違いない。…まさか相手が俺とは知らずに。
どこもかしこもどろどろで、しどけなく横たわる恋人を抱きしめて、そろそろ復讐してやってもいいだろうかなんて、物騒なことを考えておいた。

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適当。
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