乗れと言われたから乗った。腰を振れと言われたから痛みも違和感も…それから未だに受け入れ切れていない快感にも耐えた。上手くできたとは到底思えないにしても、必死だった。 「上手だね。イルカ」 男が笑っている。 …格下相手にこの手の行為を望むような人だとは思わなかった。 強要されたとういよりは、誘われて否を言う前に喘がされていたというのが正しい。 自らこんな関係を望んだわけじゃないが、拒むつもりもない。 「ふ、ぁ…!」 達しそうだ。 それをこの人も分かっていて、こうして必死に動く俺をみているだけで、動こうともしない。 「…ッふ、きもちい」 綺麗なイキモノ。残酷な、それから…本当はとても優しい。 そうじゃなきゃ、強要されてもこんな行為を受け入れたりはしない。 なにがどうしてこうなったのかなんてわからないが、何もかもなくしてきたこの人が欲しがるならこの身一つ、くれてやるくらい造作もない。 両親が生きていたなら悩みもしただろうが、笑えるほどに身内と呼べる人は残っていないし、自分が頑固だという自覚もある。 どっちにしろ、俺がこの人を選んだときからこうなることは決まっていたんだろう。 それが単なる気まぐれでもかまわなかった。 重いと思われるくらいなら、捌けた中忍でいたほうがよっぽどましだ。 大切に思うことを許してもらえるなら嬉しいが、だからといって好かれたいとも思っていない。 愛情なんてものよりわかりやすいこの執着を、多分俺は気に入っていた。 「あぁ…」 だらしなく喘ぎながら、はじける瞬間を目指す。 無防備に何もかもをさらけ出して、交わるためだけに連れ込まれた部屋で、好き放題にされている。 …知りたくないかと聞かれたら、知りたいに決まっている。 この人が答える気にならないなら、聞く意味がないと思うだけだ。 「いきたい?」 分かりきったことを聞くのは、羞恥を煽るためだろうか。そんなものとっくに捨ててしまったってのに。 「も、いく…!ん!あ!」 体が求めるに任せて解放しようとした瞬間、いきなり腰を捕まれ、突き上げられた。 出しながら中を擦られるのは苦痛だ。気持ちよすぎておかしくなる。 「その、顔。もっとみせてよ…!」 熱い。体も、中も。 「や、あ、あー…」 内側を満たす奔流を飲み込まされて、もがいた。 「…もっと、全部。全部俺によこせばいいのに」 男が何を言っているのかわからない。寂しいのか悔しいのか、酷く辛そうな顔をするから、縋りつくように抱きしめた。 「あげる」 幼い子どものように拙い言葉でも、男にはその意味が伝わったらしい。 泣き笑いの顔で口付けてきた男が、中で育つのを感じて甘い吐息が零れた。 いっそ全部なくなるまで食ってくれればいいのに。ああでも、この人は寂しがりやだから俺が側にいないと泣くだろうか。 多分死んだって、俺はアンタから離れられないのに。 「あんたが、なんで俺に抱かれるのかなんて、どうでもいい。…もう、どこにもやらない」 剣呑な光を宿す瞳も、高圧的なのに血を吐くような言葉も、その全てが愛おしい。 こんなにもこの人が俺のすべてだ。 「好きですよ」 むしろ愛しているのかもしれない。 そう言葉にする前に激しさを増した律動のせいで、すべては曖昧な喘ぎに代わった。 熱い。…この熱を与えられている自分は、きっと誰よりも幸せだ。 快感よりもその執着に溺れているなんて、誰も知らなくていいと、そう思った。 ******************************************************************************** 適当。 いちゃらぶなつふうみ。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |