狼は焦っていた。
エレベーターを待つのももどかしく階段を3段飛ばしで駆け上がる。
大規模な麻薬密売組織を追い詰めた。今やそのアジトは狼の部下達によって包囲、ガサ入れされている。
その喧騒も狼には遠い。
捜査の途中で撮られた数多の写真。そのうちの一枚に写っていた見覚えのある人物。

(あんた、こんなところで何やってんだ…!)

飛ぶように階段を上りきり薄暗い廊下を駆ける。狼は迷わない、嗅覚が告げている。
蛍光灯が点滅する廊下の奥、突き当たりの鉄の扉を派手な音をたて体当たりするように開けた。

酒の空き瓶、煙草の吸い殻、乱雑に散らかった部屋。カラカラと換気扇が回る音以外は何も聴こえない。
申し訳程度についた小窓から曇った光が射し込んでいる。
足で塵を踏み潰しながら進むとパキリと下で注射器が割れ、狼は不快感に眉をひそめた。息苦しい。
ヤニの中に漂う濃厚な薬の気配が狼を苛立たせる。

「…!!」

粗末なパイプベッドに横たわる人影を見つけ、狼は慌てて駆け寄った。手足は投げ出され、染みの浮いたシーツに素肌が晒されている。
咄嗟に首筋に手をあて脈を確認すると微かながらも皮膚を叩く脈動を感じ、深く息を吐いた。
血管が透けそうな程に青ざめ、ピクリとも動かないが意識を失っているだけらしい。

「おい!検事さんよぉ!しっかりしろよ!」

「………う…あ…」

ピクリと目蓋が震える。辛そうに顔を歪め、力の入っていない腕が狼を拒む。
嫌だ嫌だと狼から逃げる御剣の頬を軽く叩いて自分の存在を知らせてやる。

「俺だ!狼だ!あんたこんなところで何してんだ!しっかりしろ!」

鈍い動きで弱々しい抵抗をする御剣の肩を掴み揺さぶると、うっすらと瞳が開かれ暈けた視線が送られた。
狼に焦点があう。御剣の硝子のような瞳に狼が映る。

「…ロウ…?」

「ったく、無茶しやがって!一人でなんとかなるとでも思ったのかよ!」

馬鹿やろう―怒鳴りながらも御剣が無事であったことに安堵する。
しかし無事ではあったが、酷い扱いを受けたであろうことを想像するのは容易い。
どんな風に傷を付けられたのか、どんな風な辱めを受けたのか。
それを思うと敵に対して沸騰するかの如き怒りがわく、と同時に
喉元から鳩尾が締め付けられるような奇妙なざわめきを感じ、狼は頭を振ってそれを追いやった。
何やら後ろめたい気がして、御剣の裸を見ないように床に落ちていた毛布でくるんでやる。
御剣は黙って俯いているためその表情は窺えない。




「おい、立てるか?」

狼が御剣を抱きかかえようとすると目に見えて御剣が強張る。恐ろしいのだろうか?

「俺はひでぇことなんかあんたにしねえよ」

なるべく優しく告げて、狼は立ち上がろうとした。瞬間。
視界が反転する。後頭部を安いスプリングで強かに打つ。ギシリ、とベッドが軋む。

「な、何だ…!?」

何が起こったのか。強い力で引かれたかと思えばベッドに引きずり倒されていた。
そして、狼の腰を跨ぐ、御剣。

「…ロウ…」

「ど、どうした…?」

「…だ、抱いて、くれない、だろうか…」

何!?!?
ぱっと御剣が顔を上げる。長い前髪の間から覗いた紅潮した顔。普段の彼からは想像もつかない熱に潤んだ瞳が。

「ちょ、ちょっと待て!あんた何言ってるか…」

「く、苦しいのだ、体の奥が…疼いて、むず痒いのだ…!」

切羽詰まった声音で言うや、股間を服越しの狼に擦り付けるように御剣が腰を揺らす。
動揺する狼の視界にサイドボードに置かれた薬瓶が入った。花と蝶が描かれたラベル、それは。
ババルワセリン。
聞いたことがある。高濃度の白晶油から抽出されたエキスから作られるそれには
強烈な催淫効果があり、塗布した部分は耐え難い掻痒感に襲われるという。
なんてこった。こんなもんまで使われて…奴ら許さねえ…!

「…って、アオオオン!」

突然の予想だにしなかった刺激に狼が仰け反る。いつの間にやら狼の股座に御剣が顔を埋めていたのだ。
ぬるりとした舌が這い、肉の厚みを確かめる。温かい口内に先端が含まれれば、じんわりとした快感が広がった。

「んふ…ぅ…うム、ん…」

赤黒い狼のペニスに白い御剣の指が絡まる。そのコントラストに思わず狼は見入ってしまう。
ぞわぞわ―背徳的な欲望が頭を擡げる。
御剣は狼の先走りに唾液を混ぜながら美味そうにしゃぶっている。

「ばっ、馬鹿野郎、やめねぇか!」

「私の口には出したくないのか…」

「違っ、いや、そうじゃなくてだな…」

「ならもっと気持ち良い所で出させてやろう…」



ニヤリと笑うと再び御剣が狼を跨いた。
はらりと体を覆っていた毛布を払うと白亜の裸体が現れる。均整のとれた彫像のような美しさ。
狼は生唾を飲み込んだ。心臓が可笑しいくらいに高鳴っている。淫らに潤った男に興奮している。
御剣の中心は既に反り返り、白い肌とは対照的に濃く色づいて小さく震えていた。そしてその奥には狼を待ち構えている蜜穴が。
茫然とする狼を尻目に御剣は狼のペニスに手を添え、見せつけるようにアナルへ導き始めた。
目が離せるわけがない。
狼の目の前で、ズブズブとペニスが御剣の中へと沈み込んでいく。

「ああ!ロウ!」

「なっ、ばっ、動くんじゃねぇー!」

浅く深く挿出を繰り返しては奥へ留めたまま腰をくねらす。御剣が動く度に彼のペニスもまたしなやかに揺れ、狼の上へ粘液を零す。
思った以上に大胆に悶える御剣の姿は凄絶だった。
御剣の中で肥大する狼の幹を、腹に溜まっていたのだろう、泡立った精液が伝う。
…そうだ。こんなの御剣の本意ではないはずだ。
ババルワセリンによって昇らされた体は、弄ばれても尚収まらずに発情しているのだ。
ならば、苦しいのならば楽にしてやらねば。
狼子曰わく、窮地にある友へは手を差し伸べるべし!
黙って御剣に貪られていた狼ががっしりと彼の腰を掴み、その卑猥な動きを止めた。

「い…や、止めるな、馬鹿もの…っ」

「…あんたがそんなにやって欲しいならやってやるよ。中、全部掻き出して俺のザーメンで洗い流してやる…!」

「ロウっ!あっ、あっ、あっ、あぁーっ!!」

ズンズンと狼は腰を突き上げる。ババルワセリンと精液で糜爛した御剣の内側は狼のペニスを必死で喰い締めてくる。
津波のような快感にまずは一回御剣の中へ。涙目の御剣の唇がもっと、とだらしなく動く。
硬度を保ったままの狼は御剣を犯す動きを再開する。
御剣のアナルからは精液が逆流し、二人の間はドロドロに濡れ、狼の上で御剣は何度も絶頂を迎えた。




ババルワセリンには高い依存性があるらしい。
だがそんなものよりも、もっと危ない、病みつきになるものが狼を侵し始めていた。





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