「御剣検事!ただいま参上したッス!!」
扉の向こうから暑苦しい圧を感じる。
やけに早いな。
こちらから電話してやったら妙に興奮していたからな。
鍵を開け部屋の中に招き入れると、早くも「捜査ッスか!」などと言いながら
息巻いている。
この刑事、仕事に対する意欲だけは買うがそれがいつも空回りしている。
しかしその暑苦しささえも、今日の私にとっては情欲をかきたてる。
そう、今日刑事を執務室へ呼び出した目的はたった一つ。
―硬く張りつめた肉棒で私の中をぐちゃぐちゃに乱して欲しい、ただそれだけだ。
なぜこんなにも体が疼くのか分からないが、
この渇望を満たすには欲を持て余した雄臭い肉体が要るということだけは分かる。
そう考えた時に真っ先に脳裏に浮かんだのが彼、糸鋸刑事だった。
私に対する暑苦しすぎるほどの信頼と好意は十分に日々感じている。
案の定、思いつめた声で呼び出すとこうやって忠犬のように飛んでやって来た。
ああ、体が火照る。
早くその雄々しい肉棒を反り立て、いやらしく蜜を垂らす私の菊門へ
激しくズブズブと突き立ててくれ。体温が上昇する、脈拍が早まる。
疼く体を持て余し、ソファに身を預ける。
「御剣検事、どうしたッスか!具合が悪いッスか!!」
ドスドスと糸鋸刑事が駆け寄って来る。
ああ、早く、抱いてくれ…私を。
傍に立つ刑事を見上げると、一瞬顔を赤らめ動揺した素振りを見せたが
すぐにまた「熱があるッスか!?」などと騒ぎだした。
いつものごとく騒がしい男だ。そうではないというのに。
「…うるさい…刑事」
睨みつけて異議を訴えると、あからさまにドギマギとした様子でたじろぐ刑事。
さすがの刑事も私の様子がいつもと違うことにも感づいてはいるようだが、
目線や表情で誘っているのにいつまでも乗ってこない。何という鈍感さだ。
このままではらちが明かない。いつまで経っても平行線だ。もう我慢できない。
多少強引な手法で行くよりほかないだろう。
バッと立ち上がり、刑事の胸に飛び込んだ。
その厚い胸に顔をうずめ、広い背中に手をまわした。
「!!!!!」
刑事が硬直し、息を飲むのが分かった。
「け、けけ、検事、どどどどうしたッスか!!?」
まだ、分からないのか。鈍感にもほどがある。もどかしい。
―これなら、さすがのキサマにも分かるだろう。
刑事の襟元を掴み、引き寄せた。
唇を合わせる。刑事の動きが止まった。
どうだ、さすがに気がついただろう。
唇を塞がれたことで、刑事の鼻孔から出入りする呼吸。
そのリズムが乱れるのを肌に感じる。
厚ぼったい唇の皮膚は少し硬く、口周りの無精ヒゲがチクチクする。
気がつけば、その男くさい唇を夢中でむさぼっていたのは私の方だった。
私がうっとりと刑事の唇を味わっていると、不意にその感触が消えた。
瞼を開くと、目前には困り果てた表情の糸鋸刑事がいた。
「検事、ど、どうしちゃったッスか!しっかりしてくださいッス!!」
なぜ、拒むのだ。
そんなふうに高揚した顔をして、鼻息も荒くしているというのに。
私を抱きたくないのだろうか?
「…イヤなのか…?」
私が尋ねると、刑事はぶんぶんと首を振った。
では、なぜ。
「イヤじゃないッスよ!!でも今日の検事、変ッス!!
検事らしくないッス!!」
「私らしくない…?」
「そうッスよ、落ち着いてくださいッス」
「私らしいとは、何なのだ」
「え…?」
「これが私だよ、刑事。体が疼いて、欲望を抑えられなくて、
我慢できなくて刑事を呼びつけて……これが私だ」
そう告げて唇を噛み締めた。
刑事が言葉を失っている。
そう、これが私。
欲しくて欲しくて、たまらないのだ。
何かの糸が切れたかのように、私の体は衝動的に動いていた。
刑事の体をソファに押し倒す。
不意を突かれたせいか、体格差にも関わらずその大柄な体は
あっけなくソファに沈み込んだ。
ソファに仰向けるその大きな体躯に、すぐさま跨った。
刑事が驚いた顔で見上げている。
しかし、その瞳の奥にある期待の色を私は見逃さなかった。
「刑事…欲しいんだ…欲しくてたまらないんだ…」
熱い息を吐きながらそう呟いて、クラバットに続きシャツのボタンへ
手を掛ける。刑事の顔が紅潮している。
シャツのボタンを全て外し終わったが、脱ぐのももどかしく
刑事の服を脱がしにかかる。
「刑事…けい…じ…」
熱に浮かされたように呟く。
刑事はと言えば「うわっ」とか「ちょっ」とか何やら言っているが、気にせず脱がす。
しかし、脱がしにくい。
気が急いているせいもあるだろうか、
人の服を脱がすというのはこんなに難しいのだろうか。
誰とは言わないが、彼らは普段いとも容易く私を脱がせているというのに。
ああ、もうじれったい!
ボタンを外すのを諦めて、裾をズボンから引き抜くと思い切り捲りあげた。
あらわになった刑事の胸板。
…やはり、体毛が濃いな。
渦巻く体毛の中に小さな乳首が二つ。
私は迷わず顔をうずめ、舌を這わせた。
「はううっ!」
刑事が野太い声を漏らす。
舌先でころころと転がすように舐めると、すぐに硬くピンとなる。
汗ばんだ肌の味が鼻を抜けて行く。舌に絡まって来る体毛。
刑事の男臭さに、脳がとろけてゆく。
「おいしい…刑事のここ…おいしい…」
そう言って舌を這わせながらも刑事の表情を確認する。
私の愛撫に感じている様子だ。
この調子なら、股間の方も…
「ふあっ!!!」
ズボンの上から撫でさすると、再び野太い声が漏れた。
もうしっかり勃起状態だ。
意外と感じやすいようだな、糸鋸刑事。
布越しに下からさすりあげるように刺激すると、
ふうふうと荒い鼻息を出す。
「け、検…事…ッ!」
切なげに呻くのでつい意地悪く言ってみたくなる。
「刑事の…大きく…なっているぞ」
股間をさすりながら言うと、“ボッ”と音が聞こえそうなほど
刑事の顔が赤らんだ。
布越しでは飽き足らなくて、ファスナーを開けてペニスを取りだした。
赤黒く膨張した肉棒が先端から透明な液体を垂らしてぴかぴかと光っている。
たまらずに口に含んだ。
「け、検事!!だ、ダメッスゥゥゥ!!!
そんなことしちゃダメっスゥゥゥ!!!」
刑事がわめく。
おかまいなしに、光る亀頭に唾液を絡ませ舌を絡める。
「こんなに大きくしておいて…何がダメだ…」
舐めながらわざと意地悪く言ってやると、「ダメッスぅ…」と弱々しく呟いた。
「んっ…ふぅ…んム…」
雄の香りを鼻孔いっぱいに感じながら、
口内と舌と指先とを使ってその肉棒に快楽を与える。
私の唾液と刑事の体液が混ざり合って、
ねちょねちょという粘着質な音が立つ。
この熱く硬いものがこれから私の中を掻き回すのだと思うと、
自然と自身のものも硬くなる。
「け、検事…ダメッス…出ちゃうッス…」
刑事が絞り出すように呟いた。
―何だと?
私はペニスから口を話し起きあがった。
まだフェラチオしかしていないのに、もう出るだと!?早い!
早いのはいいが、すぐに回復するのだろうか?
それ以前に、2回以上続けてできるのだろうか?
ええい、もう面倒だ。
幸い刑事が来る前に私の方はすでにほぐしておいた。
準備はできている。
「じゃあ、早く、入れてくれ」
「い…入れるッスか!!??」
目を白黒させている刑事をよそに、私は下着を脱いで再び刑事の上に跨った。
刑事が私の勃起したペニスを凝視している。
私は見せつけるように、自らの手で扱いて見せた。
刑事が大きく唾を飲み込んだ。
念のため指先でアナルをまさぐってみる。
刑事が到着する前に中にもしっかり潤滑剤を塗り込んだそこは、
私の指をあっさりと飲み込んだ。
刑事に挿入を促すが、事態を把握できていないらしく
まごついている。刑事の理解を待っていてはらちが明かない。
私は刑事のペニスに手を添えると、ゆっくりと腰を下げながら
穴の中へ誘導した。
「んっ…はぁっ…ぁう…」
思わず声が漏れる。刑事の形に拡がってゆく私の肉壁。
ズブズブと飲み込み、やがてすっぽりと覆う。
大きく息を一つ吐いてふと刑事を見ると、何やら呆然とした表情で固まっている。
「刑…事…よく、ないの、か?」
心配になって聞いてみたが、杞憂に過ぎなかった。
刑事は興奮したように荒い鼻息を洩らしながら呟いた。
「さ、最高に、気持ちいいッス…もう…たまらねッス…」
あまりの快感に放心していたようだ。
無駄な心配を掛けさせる。
「じゃあ、もっと突いてくれ…激しく…」
「ハイッスゥゥゥゥ!!!!」
刑事の無骨な手が私の腰を掴み、下から激しく突き付けて来る。
ガチガチに硬直した肉棒が私の中を激しく掻き乱す。
「んあっ!あう!あっ、い、いいぞ、そう、だ、もっと…!はぁん!!」
刑事が出し入れする度に私の最も敏感な部分をかすめる。
私はもっと刺激が来るように、刑事の動きに合わせて腰を動かす。
刑事は夢中で腰を振っている。
「あっ、そこ、イイ、ん、あっ、そう、あぁ、あん、あっ!!」
直腸の中の少し盛り上がった丘を刑事の肉棒が突くようになると、
身震いするほどの快感が全身を駆け抜けた。
そうだ、これが欲しかったのだ。
欲しくてたまらなかったのだ。
「あ、イイ、イく、んっ、んっ、んんっ…あ、あぁぁぁん!!!」
もっと味わっていたかったのだが、
遅い来る快感の波にあっけなくもさらわれてしまった。
刑事の上で激しく痙攣すると、ペニスの先から放たれた精液が
毛深い腹の上に飛び散った。
「はぁ…はぁ…は…」
刑事のものを飲み込んだまま、快楽の余韻に浸って息を整えていると
腹の下から苦しそうな声が訴えて来る。
「検事、自分も、もう、ダメッス…イきそうッス…」
ああ、そうだったか。
わかったわかった、そんな目で見るな。
「出して…」
「え…」
「いいから、このまま、中に…」
「ハイッスゥゥゥゥ!!!!」
刑事はとりわけいい返事をすると、さらに激しく突き上げてきた。
刑事を絶頂へ誘導するように、肉壁に力を入れて上下に擦ってやると
声を洩らしながら果てた。私の中へ刑事の熱いものが満ちて行く。
刑事ははぁはぁと荒い呼吸をしながら虚空を見つめていた。
ゆっくりと腰を浮かせて私の中から刑事を抜き取る。
栓が外れたように、濃い精液が刑事のペニスをつたってドロドロと流れ落ちた。
刑事、ずいぶん溜まっていたようだな。
やはりキサマを呼び出して正解だったようだ。
放心している刑事をよそに、手早く身なりを整える。
衣服を直すと、ダラリと寝そべったままの刑事へ声をかける。
「刑事、ご苦労だった」
「え…」
ソファの上から呆けた視線を向けて来る刑事に言い放つ。
「楽しめたぞ。また近いうち来てもらうことがあるだろう。
今日はもう帰りたまえ」
刑事は一瞬ポカンとした顔をしたが、すぐにガバリと立ちあがった。
「ハイ!!!!じゃあ失礼するッス!!」
「うム。」
あたふたと着衣の乱れを直しながら執務室を出て行く糸鋸刑事。
刑事が出て行く扉の音を背中で聞いてから、
私はティーセットと茶葉を用意する。
今夜はおいしい紅茶をいただけそうだ。