今日は御剣さんちに行ってトノサマンの新作DVDを観させてもらう日だ。
俺がある事件に関わったのをきっかけとして、もう数年続いてる交流で御剣さんには感謝してる。
それに、トノサマンは別としても、近ごろ御剣さんに会えるのが楽しみでしょうがない。
男ってこうやって子供から大人になっていくのかなあ、なんて浮ついた気分で
御剣さんの住むマンションを見上げる俺だった。

マンションからちょうど人が出てきたから、開いたエントランスドアに滑り込んだ。
いちいち住人に開けてもらうのが面倒なんだよな、オートロックって。
その時すれ違った男に見覚えがあるような気がしたけど、思い出せなかったし興味もなかった。
御剣さんの部屋の前でインターフォンを鳴らした。ちょっと待たされた。
「まだ何か……」
そう言いながらドアを開けてくれた御剣さんはバスローブ姿だった。
俺を見てびっくりした顔をする。なんだよ。この時間に来るって言ってただろ?
「あ、ああ……九太くん、か。そうか、もうそんな時間か。いらっしゃい」
身体を斜にして俺を部屋に通してくれたけど、御剣さんは明らかに疲れているみたいだった。
迷惑だったかな。約束はしてたんだけどな……。

「御剣さん、変な時間に風呂入るんだな」
俺が指摘すると、御剣さんは「そ、そうだな」と口の中で呟いて俯いてしまった。
御剣さんは俺から顔を隠すようにして背中を向けた。床をじっと見てるみたいだ。
なんか気まずいな。
そう思いつつ、俺はふと見てしまった御剣さんのうなじから視線が外せなくなった。
濡れた髪から水滴が背中に向けて流れている。
その水滴を、無性に吸いたくなった。うなじにくちづけて。跡が残るほど。

御剣さんとは結構長いつきあいで、その間に俺の身長は、御剣さんよりは低いとはいえ、
こうしてうなじを間近で見つめられるくらいには伸びた。それくらい成長した。
だから、こういう気持ちをなんて呼ぶのかは知ってる。
「御剣さん」
俺は欲求どおりにした。首筋に唇を押し当てると、御剣さんが息を呑んだ。
「九太くん…っ」
振り向いた御剣さんは、信じられないといった表情を浮かべてはいたけど、
目の奥にはこれから先の展開をすでに受け入れているような鈍い光があった。

御剣さんの腕をつかんだ俺は、御剣さんを引きずるようにして寝室に向かった。
足をもつれさせながら付いてくる御剣さんは焦ったように俺のを繰り返し呼んでいるけど、
それは俺の熱を煽るだけで、制止の効き目なんかちっともなかった。
寝室のドアを開けたとたん、中の澱んだ空気が俺を包み込んだ。
この空気と、乱れに乱れたベッドシーツを見て俺は確信した。
――御剣さんはさっきまでここで誰かとセックスしてた。
エントランスですれ違った男を思い出した。多分、あいつだ。

相手が女だなんて一瞬でも思わなかった。
俺がオトナに近づくにつれて、そして御剣さんが年を重ねるにつれて、俺は御剣さんが
異様な色気を放っていて、それがどんどん濃厚になっていることに気づくようになった。
目の動きひとつ、指の動きひとつが凄いほど官能的だ。
なにげない仕草が男と、ある種の女を抗いがたく誘い込む罠のような媚態に見えた。
まあそういうことは、もうちょっと年をとった俺が後々思い返すようになったことで、
この時の俺は寝室の様子に逆上して、とにかく自分のものを御剣さんに突っ込みたくて
頭も股間もパンパンになっていた。


強引にベッドに押し倒すと、御剣さんはもう息が上がっていた。
俺でも簡単に……とはいかないけど、なんとか抵抗を封じられる。
御剣さんはたくましい身体つきの人で体力がないとは思えない。
最初から疲れた様子を見せていたし、男に長時間犯されていたのかもしれない。
「御剣さん…御剣さん…」
焦った手つきでバスローブを剥ぎ取って鎖骨に噛み付いた。
「ぁうっ……九太くん、やめるんだ。いけない、君のような少年が、こんなこと……」
「なにがいけないんだよ! 子供扱いすんなよな!」
御剣さんには7歳のころからの俺を知られている。だからっていつまでも子供じゃない。
俺はむきになって御剣さんの全身をまさぐった。
「どうして……どうして、こんな……」
御剣さんは俺の手から逃げるように身体をくねらせながら俺を責めた。
「御剣さんが悪いんだ。御剣さんが、あんまりいやらしいから」
俺は言い訳がましい台詞で御剣さんに責任を押し付けた。
「わ…私、が……悪いのだろうか。こうなってしまうのは、すべて、私が……」
弱々しく呟いた御剣さんの語尾は、絶望的な響きをもったまま消えていった。

てのひらで顔を覆ってしまった御剣さんがかわいそうになって、
俺はその手の甲にキスを繰り返し、「ごめんな」と何度も謝った。
「今日だけだから。もうこんなことしないから。許してよ。お願いだよ、御剣さん」
顔を見せてよ、と泣きそうな声で頼んだら、ゆっくりと手をどけてくれた。
少し開いている唇にキスを落とした。
舌を入れたら、まだ躊躇いがちだったけど、自分の舌を絡めてくれた。
それを了承の合図と取った。御剣さんは結局俺に甘い。
年齢差が大きいのもあると思う。子供扱いを拒否したばかりの俺だけど、
この人を手に入れるためなら、利用できるものは何だって利用する。

「うっ……」
乳首をいじったとたん、御剣さんが痛そうに呻いた。
自分でも下手な手つきだと思った。だって俺は経験がない。しかもめちゃくちゃ焦ってる。
そんな乱暴な俺の愛撫からも快感を拾えるのか、御剣さんは少しずつ反応しはじめた。
せめて痛くされたくないと思ったのか、俺にアドバイスもくれる。
「そんなふうにせずに…指を唾液で濡らして…そう…あっ…ああ…」
「こう? 御剣さん、これ気持ちいいの?」
俺は教わったとおり、御剣さんの乳首を舐めたり摘んだり擦ったり噛んだりした。
上手にできると御剣さんが色っぽい声を聞かせてくれる。俺は夢中になった。
「んっ、ん、あ、あっ…ああ…気持ちいい…もっと、強くして…」
言われるがまま、力をこめた。御剣さんがひときわいやらしい声で鳴く。

御剣さんが俺に腰を押し付けてきた。濡れた感触がする。
「御剣さん、乳首弄られてチンポから汁こぼしちゃうなんて、エッチだね」
囁くと、御剣さんは顔を真っ赤にした。
17歳も年上なのに、なんでこんなにエロくて可愛いんだろう。
俺は身体を下にずらして、御剣さんのものを舐めてやろうとした。
でも御剣さんから止められた。なんで?
「そこはいい、から…もう…うしろ、を…」
「ハハハハハイッ!!」
不意打ちでエロいこと言われて、つい良いお返事してしまった。
御剣さんがベッドヘッドから取り出したなんかのチューブを受け取った。
潤滑剤だって。やっぱり常備してあるよなあ。しかもかなり減ってる……。
あんまり深く考えないようにして、俺はチューブの中身を指に出した。


この先のことについて、また御剣さんからいくつか説明を受けて、
ぬるぬるにした自分の指を御剣さんの尻の奥に差し込んだ。
御剣さんの尻の穴は、俺がちょっと力を入れただけで簡単に指を飲み込んでいく。
きっと他の男とヤッたばかりだからだ。俺は複雑な気分で指を抜き差しした。
俺に中をかきまわされて、御剣さんは気持ちよさそうにしている。
「もう少し、手前…指を曲げて、そう……、ッ!」
俺をガイドしてた御剣さんの身体が突然跳ねた。

「わっ、びっくりした。なに? ここ? 痛かった?」
「ぜ……前立腺、だ。聞いたことは、ないかね…?」
「ああ、俺の伯父さんが前立腺がんになったとか聞いたことあるな」
「それは……お見舞い申し上げる」
この状況でこんな体勢でなに言ってんだ、この人は。それもう昔の話だし。
とにかく俺はまた前立腺についてレクチャーを受けた。なかなか進まないな!
でもこれは楽しい。指で刺激してやると、御剣さんがびくびく全身を震わせる。
「あっ! あぅっ!」って切羽詰ったエロい声も聞ける。
徐々に指を増やして、今はもう3本入ってる。
しつこく弄ってたら御剣さんに「もうイきそうだからやめてくれ」と言われた。

「イッてもいいんじゃない? 何度でもイかせてあげるよ?」
それでも御剣さんは首を横に振った。
「い……」
「い?」
「挿れられて、イきたい……」
なにこのエロい人! 「ひえー…」と感嘆詞がつい口から出てしまった。
俺が呆れたと思ったのか、御剣さんは恥ずかしそうに目をそらした。
そんな仕草にも煽られる。ホントにエロエロ魔人だな。
「じゃっ、じゃあ、もう挿れるね!」
俺は欲情のあまりもつれそうな舌を動かして宣言した。

御剣さんの穴にチンポを当てて、グッと体重をかける。
指と大きさが違うから大丈夫かなって思ったけど余計な心配だった。
みるみるうちに御剣さんの体内に消えていく自分のものを、
俺は信じられない思いで見つめた。入ってるよ、すげー……。
もう耐えられなくてガンガン腰を動かした。
俺はあっという間にイッちゃったけど、すぐに復活した。若さがとりえだからな。
「御剣さん、いいっ? 気持ちいいっ?」
「あっ、あ、ああっ、イイ、イイ…っ、ああぁあんっ!」
とりあえず回数こなしゃいい、みたいな俺の雑な突きこみにも、
御剣さんはいい声で鳴いてくれた。
あとで聞いたら、テクニックのない乱暴な感じが最近の相手では珍しくて
かえって感じまくっちゃったらしい。エロいなー。

その後も、トノサマンの新作DVDが発売されれば御剣さんは相変わらず
鑑賞に俺を誘ってくれるし、俺ものこのこ出かけていく。
ただ、変わったのは、俺が御剣さんを後ろから抱っこしてDVDを観るようになったことだ。
観ながら御剣さんの乳首を触ったり、股間に手を差し込んだりしていたずらする。
時には俺のチンポがずっぷり入ってることもある。
「御剣さん、そんなにアンアン言ったらトノサマンの台詞が聞こえないよ」
そんな風に意地悪く抗議してやると、御剣さんは必死に声をこらえてる。
どうせ我慢できなくなって泣き出しちゃうくせに。
ああ、こんな関係をいつまで続けられるんだろう。
御剣さんは「君がちゃんと彼女を作るまで」って言ってるけど、
御剣さん以外の身体に満足できるかなあ。自信ないよ俺……。

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