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『寒冷前線コンダクター』 ★★★☆☆
著者:秋月こお
出版:角川書店(角川ルビー文庫)
発行:1994年4月3日

[ストーリー]
悠季は富士見二丁目交響楽団(通称フジミ)のコンサートマスター。
楽団はまだ素人レベルだけれど、彼はリーダー的存在だ。
そこにある日、芸大出で留学帰りの二枚目指揮者・圭が就任してきた。
ところが初対面時から人を見下ろすようなデカい態度。
そんな圭にムラムラと敵意を覚える悠季であったが…。
楽団を舞台に悠季&圭コンビが織り成す激しく切ない恋愛模様2編。
(裏表紙より)

[感想]
初めて自分で買ったBL小説だったかと思います。
それまでは、友人から借りたものを読んでたんですが……。
どうしてこれを買おうと思ったのかなぁ。今となっては謎です。
初めて読んだときは「面白いっ!」と思ってました。
今でも面白いとは思いつつも、何故か『リサイタル狂騒曲』から先に手が伸びないんですよね……。

それはともかく感想を。
物語は“受け”である悠季の一人称で語られます。
初めて見た長身の圭を「電柱」にたとえ、「電柱男」はともかく「電柱閣下」と言ったりするところとか、「仰向いたまま会釈をするという、めずらしい経験をした」というような表現とか、そういうのが読んでて惹きこまれたし、雰囲気があっていいなと思いました。
キャラクターの方は、主人公の悠季が消極的でちょっとお人好しの普通人、相手の圭が積極的で矜持を持っている変人天才――という対比が出来ていて面白かったです。
この巻では悠季が圭に惚れられるわけですが、勘違いした圭に強引押し倒され許してしまうも、同性である男に好かれることや、男に抱かれること、男に押し倒されて反応してしまうことなど、受け入れられない悠季の心情が語られてて、それが軽いノリのもの(小説)とは違って読み応えがあったかな、と。
あと衝撃だったのが、性行為がBGMでかけた音楽と重なるという表現!
圭が悠季を強引に押し倒したとき、BGMにクラシックを大音量でかけて、初めはただのBGMだったものが、悠季がトランスっぽくなったときに「音に犯されている」という表現になって、これは今でも読むと「すごい表現だよなぁ」って感心してしまいます。

ただ、やっぱり悠季が少し卑屈っていうか、自分を卑下しすぎというか……で、圭が来たことでフジミのみんなが前よりやる気だして、自分が考えるフジミの在り方は間違ってたのかとか、下手な集団に混じって自分はいい気になってたんだとか悩んで、それで自分がやる気を失くしてやめようと考えるとか――う〜ん、卑屈だ(汗)

マイナス面はそれくらいで、というかそれが全てで、これが酷くならなければもっと面白いと思うんですが……。
それでも、初めて買った小説で面白かったし、思い入れもあるみたいで、読み返してみると自分の書く小説って、このフジミシリーズに影響されてるっぽい、と思いました。
やっぱり、それなりに好きなんだなぁ。

2009.12.25

『さまよえるバイオリニスト』 ★★★☆☆
著者:秋月こお
出版:角川書店(角川ルビー文庫)
発行:1994年8月1日

[ストーリー]
富士見二丁目交響楽団(通称フジミ)のコンサートマスター・悠季は、夏休みに帰省先の田舎から戻ってみるとアパートが全焼。
居場所を失った彼は、楽団の指揮者・圭の部屋にころがりこむはめに。
しかし圭は男ながらも悠季に激しい恋心を抱いていて…。
友情と恋のはざまで揺れ動く2人のせつない心模様と葛藤の物語2編。
(裏表紙より)

[感想]
『寒冷前線コンダクター』から『リサイタル狂騒曲』まで読んだ中で、『さまよえるバイオリニスト』が一番好きかも知れないです。
帰省から帰って来るとアパートが全焼で、野宿をしようにも雨がやまず、ホテルに泊まろうにも金がなく、とにかく一晩だけでもと警察署に泊めてもらう。
朝になって給料が入ってるはずと銀行に行けば、何かの手違いか振り込まれてなくて、家を知ってるフジミの仲間は家を開けていて――。
あとは圭を頼るしかなく、彼のマンションへ行くが留守のようだった。
圭を待つことにしたが、雨に濡れたせいか熱を出してしまい、圭の部屋の前で行き倒れたような状況になった。
結局、帰って来た圭に助けてもらうわけですが、何となくこういう状況は好きですw

あと、上の感想で悠季を消極的で少しお人好しと書いたんですが、ヒステリーというか激情型だったのかなと。
普段は大人しいけど、よっぽどの場合はきちんと怒ることが出来たり、フラストレーションが溜まったらしく大事にしていたバイオリンを床に投げつけたりとか、時折見せるそういう一面を見ると、そのギャップについ惹きつけられますね。
ギャップといえば圭もあります。
普段はポーカーフェイスで揺らぎない自信を持っている男って感じですが、実は悠季が好きで欲しくてたまらずっていう情熱家。
滅多に見せないので、そのギャップについやられてしまいます(笑)

この巻で気になったのは、悠季を好きすぎてスランプに陥った圭に、2人の関係を知ってる川島さん(女性)が、ああなったのは悠季のせいだというようなことを、かなりの責め口調で言うのが、ねぇ……。
分かってて言わせてるのかも知れませんが、恋でスランプになっちゃったことを第三者が「○○のせいだ」って言うのはちょっとなぁと思います。
確かに悠季も勘違いさせるような態度を取ったりしたことも悪かったし、最初に毛嫌いされた時点で諦められなかった圭も圭なような気がするし。
でも、ここはせめて「もう一度2人でよく話し合って」という程度じゃないかと思いますが……ここでキツく言っちゃうのが川島さんという人なんだなぁ、というのは分かりますけどね。

2009.12.25

『マンハッタン・ソナタ』 ★★★☆☆
著者:秋月こお
出版:角川書店(角川ルビー文庫)
発行:1995年2月1日

[ストーリー]
圭との仲が学校にばれて、ホモのレッテルを貼られた悠季。
おかげで音楽教師の職をクビになってしまったけど、圭を真剣に愛しているから後悔はしない。
そんなある日、圭の部屋に謎のマッチョ男・生島が居候を始めた。
なぜかその上、突然そいつが悠季に迫って来るではないか。
一体、この男は圭の何なんだ?!
(裏表紙より)

[感想]
この巻あたりから全体的にちょっとなぁ感が……(汗)
悠季が臨採で働いてる学校側にゲイというのがバレて、クビになるというのはまぁリアルで良かったと思います。
顧問(?)をやってるブラス部の生徒たちの反応も、あんなもんかなぁと思いますが、どの程度の人数がどれくらい反発心を持ってたのか、最後は和解することができたけど、一体どこでどのような働きがあって打ち解けられたのか――そこが見えなかったなぁと。
あと、ワルツの曲を演奏するのに、ワルツを踊ってみるというのは分かるんですが、わざわざ悠季が女装をさせられるのは……BLだからでしょうかね(^-^;)
しかし、その女装してワルツを踊るところを、偶然、見学したいと言った生徒に見られてしまったわけですが、それが偶然だったにしろ悠季と圭の関係がちょっと普通じゃないっぽいというところを、周りに察せられるような行動を強要するのはどうかと思う……。
ゲイがどーたらっていう偏見や差別はイケナイが、未だ世の中にそういう風潮があるのだから、悠季がクビになるような発端を圭が作ってしまったという感は、私の中では否めないですね。

さらに、新しく生島という男が現れます。
圭とは旧知の仲で、不精髭のを生やした、ちょっと不潔そうな(?)天才ピアニスト!
少々粗暴なところもあり、ルーズでいい加減な性格で……ってそれはともかく。
このキャラが現れてからが微妙でして、生島がイヤというんじゃなく、生島が現れたことで悠季と圭の仲が微妙な感じになったのが……ハラハラというよりはキモチワルイ感じ。
圭は悠季にベタ惚れだということを生島に知られたくなかった。それで悠季に少々冷たい態度を取って、そのことを最後には圭が白状したけど、それを悠季は「僕みたいな恋人がいるなんて、そりゃ知られたくないよな」とまた卑下する。
さらには、自分はへぼバイオリニストで、今まで圭が自分を褒めてくれたのはオダテてくれただけで本心じゃないんだ、と思ったらしい。
生島に知られたくなかったことにショックを受けるのは分かるけど、なんで今までの褒め言葉が嘘だってことになるんだろう?
そこが不思議でした。
あ、いや、今までの言葉に疑問を持つのは分かりますが、それを何故そう圭にぶつけないで、自分を惨めに思いながら圭を受け入れるんだろう、と。
献身的、自己犠牲、という感じで、それは私がちょっと苦手なタイプです……。

あと、番外編として圭がアシスタント・コンダクターとして入団(?)しているM響の一人、飯田さん視点の三人称でフジミシリーズの最初の方から、次の『リサイタル狂騒曲』までの話が書かれてます。
内容は飯田さん視点なんで、主にM響での圭の様子ややり取りだったり、フジミに入団してからの悠季の様子だったり、それも軽く流す感じで書かれてます。
M響での圭の様子を見れたりしたのは面白かったですが、フジミシリーズは何度か読み返してはいるものの、この番外編は読み飛ばしてたりします(汗)
でも、もしかしたら一番楽団や指揮のことなどの、作者のこだわりが感じられたりするところなのかなぁと思いました。
そういえば、今までは悠季の一人称だったので、悠季という人の客観的な周りの評価が聞かれなかったんですが、番外編では飯田さん視点の三人称だったので、悠季の評価が聞けたのは良かったです。
フジミの世話人の石田さんが悠季のことを語ったところは貴重だなと思いました。
結果としては面白かったです。

2009.12.25

『リサイタル狂騒曲』 ★★★☆☆
著者:秋月こお
出版:角川書店(角川ルビー文庫)
発行:1995年5月1日

[ストーリー]
近々2年ぶりに開かれる、富士見二丁目交響楽団の演奏会。
当日、コンサートマスターの悠季にはソリストとしての大役も待っている。
だがそんな中、指揮者の圭との間に亀裂が入ってしまった!
2人の恋愛関係を、圭は親友の生島になぜか隠そうとするのだ。
「僕は圭にふさわしくない…」哀しみに満ちた悠季の心は、圭の指揮をもはや拒絶してしまうのだった…?
演奏会と2人の恋の行く末は?!
(裏表紙より)

[感想]
この巻で第一部が完結です。
一応、第一部は読み終えていたんですね……。
前巻から引きずってる、自分は圭に相応しくないという悠季の思いが冒頭から語られてます。
う〜ん、苦手だ(汗)
天才的な才能を持つ、すらりと美しい長身の圭が好き。圭は自分を愛してくれていて誠実で優しい。でも自分が初めての恋人じゃなくて、自分が圭にとって自慢できるような恋人じゃないってことを苦に病んでいる。
だけど、すばらしい男である圭に、一時の気紛れでも愛されていることは幸せなんだから、そんな悩みなんて少しも見せてはいけないんだ。
――って、自分を卑下しまくって悦に入ってるとしか思えない。
天才的な恋人と自分がつりあわない、という悩みは分かるし、相手の褒め言葉をそのまま受け入れられないという気持ちも分かるけど、じゃあ相手に見合うような人になろうと、努力しようという思いが少しも語られてなかったような気がします。

まぁ、しかし、そんな悠季の悩みを圭は察していたわけですね。
フジミの演奏会のために合宿があり、そこでの練習で悠季の気持ちはどん底まで落ち、演奏会でやるはずのソロを辞めようと思うも、その思いを川島さん伝で圭に知られてしまい、そして2人きりで話し合いになる。
そこで、本当のことしか話さないと誓って、お互いの思いや疑問をぶつけ合うわけですが、それを読んで初めて悠季がどうしてそこまで卑屈になってるのかが分かりました。
プレイボーイの圭はかつて、ゲームで何人の男を落とせるかというゲームをしたりもしていた。それを前回聞いていて、悠季は自分のこと遊びのひとつだと思っていた、と。
でもなぁ、あんだけ悠季が欲しくて切羽詰った圭に性急に求められていて、なんでそう思っちゃうんだろうと不思議なんですが……これが恋ってやつでしょうか(笑)
この時の問答も、本当もどかしぃ〜!
圭がどんだけ悠季を好きだと言っても、バイオリンの腕を褒めても、嘘だとかそんなことないとか言って、これは堂々巡りになるんじゃないかという焦燥が(汗)
結局、最後には言ってもダメ、行動で示してもダメで、自分はどうしたらいいんだと圭が言った言葉と表情で悠季はそれが真実だと悟った。
今まで頑なに疑っていたのに、それで信じるんだぁと思うと拍子抜けというか……いいんですけどね。

で、この巻にも番外編が2編ありました。
前の巻と同じ飯田さん視点「電柱殿下」と、フジミ楽団の仲間の五十嵐くん視点「真面目コン・マスはコンダクターの夢を見るか」と。
こっちの「電柱閣下」の方が、楽団とか指揮とかに対するこだわりがあったかもですね。
音楽はもとより、楽団とか指揮だとかそういったものに疎い自分には、なかなか興味深い話ではありました。
BLとか関係ないような話でしたが。
五十嵐くん視点の方は、五十嵐くんが悠季や圭のことを、第三者の視点から観察したというような内容でした。
フジミの世話人である石田さんは随分大人で、前の巻ではその石田さんの悠季の評価を聞けたわけですが、五十嵐くんは学生でその分悠季の評価は浅い感じ。
評価が低いんじゃなくて、表面的というか、内面的なものはそれほど見破れてないんだろうな、という感じ。
その辺りの書き分けができているのはさすがだなと思います。
まぁ、悠季と圭の関係を傍から見れて面白かったし、悠季は知らない五十嵐くんと圭の間にあったやり取りとかも楽しめました。
ちょっと長かったかなぁとは思いましたけど(^-^;)

2009.12.25

『まるで、灼熱のキス。』
『いっそ、熱病のキス。』

著者:鬼塚ツヤコ
出版:プラチナ文庫

[感想]
めっちゃ流し読みしたので、評価はしませんが…
でも、とりあえずパラ読みの感想を。

ボクシング選手の話と知らずに買ってしまったんですが(汗)
自分、ボクシングが苦手でした…
なんとなく、ボクシング選手ってストイックで好戦的な人ばかりなんじゃないかというイメージが強くて、なので主人公のそこそこ成績はあって、でも柔らかい物腰の消極的な性格というのが、どうも自分の中でしっくり来ませんでした。
固定観念がありすぎなんだとは思いますが。
んで、そんな物腰柔らかく消極的な主人公が、たまにしゃべるセリフにどうも違和感;

さらに、イラストを描かれてる門地かおりさんの漫画は好きですが、文章を読んでのイメージとイラストのキャラクターが一致しないというか何というか…
とくに柴賀がイラストだと綺麗すぎる。
文章を読むと、もっと尖ってて崩れててもいいような気がする。

そして、Hがいきなりで、さらに長い(汗)
まぁ、いきなりHの理由が『いっそ、熱病のキス』の方で、提示されてたと思うので理解はできる気がします。
Hが長いのはどうかなぁと思いますが、その表現の多彩さは見習いたいかなと(笑)

表現の多彩なのはHシーン以外でもそうで、そこはさすがにプロ作家さんだなと感嘆いたしました。
やはりこれも勉強させていただきたいところです。
なので、文章は読みにくいということはなかったんだけども、いかんせん主人公が献身的に過ぎて受け付けなかったかな(汗)

う〜ん、結局評価っぽいことを書いてしまったけども、う〜ん…
文章はさすがなんだけども、ボクシングと主人公が私は受け付けませんでした(汗)

2010.06.28

出版:リブレ出版
発行:2007年6月19日

[内容]
オール読み切り。
表紙●ねこ田米蔵
ピンナップ●松本テマリ
あさぎり夕『縛めの白薔薇』 ×cut かんべあきら
あすま理彩『華麗なる賭け』 ×cut 亜樹良のりかず
英田サキ『兄貴とヤス』 ×cut 鹿乃しうこ
斑鳩サハラ『貴人たちの後継儀式』 × cut明神翼
和泉桂『隷従の檻』 ×cut 稲荷家房之介
榎田尤利『クリスタル』 ×cut 中村明日美子
鬼塚ツヤコ『痴漢電車』 ×cut 佐々成美
木原音瀬『鈍色の華』 ×cut 鈴木ツタ
南原兼『バッドステータス・発情中』 ×cut ホームラン・拳
水戸泉『蜜月メイド』 ×cut しょうおとあや
水上ルイ『媚薬』 ×cut 池玲文
山藍紫姫子『多岐川肛門病院の秘密』 ×cut あさとえいり
雪代鞠絵『可愛くて、可愛くて。』 ×cut 大和名瀬

[感想]
※読んだものから順次感想をUPしてます。

《鬼塚ツヤコ『痴漢電車』 ×cut 佐々成美》  ●受け視点、三人称。
まずね、痴漢っていうジャンルが自分は苦手です(汗)
たとえギチギチの満員電車だろうが、車内であんなことすりゃ少なくともすぐ傍にいる人には絶対バレるだろって。
あんなことって、さすがに本番はなかったけども。
ま、最後の方には乗客も気付いてたっぽい感じでしたが……。
それはそれで公共の場でのモラルを気にしてしまう小心な自分(^-^;)
あと、電車内でコトが進みつつ(笑)、なぜこうなったのかっていうのが何回かに分けて語られてて、短編だとこういう構成が多いのかも知れませんが、冒頭はちょっと「??」って感じでした。
私的評価 ★★★☆☆  /  読了 2009.12.25

《南原兼『バッドステータス・発情中』 ×cut ホームラン・拳》
 ●受け視点、三人称。
前回↑に引き続き、苦手だなぁっていう雰囲気でした(汗)
舞台は外国の音楽学校。キャラはすべて外国人。
メインのキャラたちは超美形で多くの人が憧れるような生徒。
……ですが、男子しかいないっぽい学校で、男が男にあんな風な憧れを抱くものなのか、女の自分には分からないなぁ。
落ちもすぐわかりました。そしてずっとエロかった。主人公が好かれる理由が分からなかった。外国でも猫耳は有効(?)なのか。あの猫耳にはどんな不思議な力があったのか……う〜ん。
私的評価 ★★☆☆☆  /  読了 2009.12.26

《水上ルイ『媚薬』 ×cut 池玲文》
 ●受け視点、一人称。
3作目にしてやっと好みっぽい小説が。
滅亡しかけている国の、即位したばかりの若い国王と馬丁の主従カップル。
ところがセックスになると主従逆転、というのが良かったです。
タイトルが「媚薬」というところから、そのアイテムをどう使うのかと、自分なりに最後を予想しつつ読んでいたら、見事ハズされたかなという感じで、上手いなぁと思いました。
ただ、説明的な文章が多いのと、擬音が荘重な雰囲気を壊しちゃってるかなと思いました。もう少し控え目だったら良かったかな、と。
私的評価 ★★★☆☆  /  読了 2009.12.30

《英田サキ『兄貴とヤス』 ×cut 鹿乃しうこ》
 ●受け視点、三人称。
極道とか正直苦手なんですけど、これはハマるなぁと思いました(笑)
今でも苦手に変わりはないので進んで読もうとは思いませんが、それだけ英田先生の書き方や話の運び方が素晴らしかったのだと思います。
話を進めながら説明的すぎる文章もなく、あっという間に作品の雰囲気に入り込んでましたね。
エッチシーンもエロかったです。
あと、年下攻めっていうのが自分好みでした〜!
だけど羽鳥という苗字が、某アナウンサーを思い出して仕方なかったです(笑)
私的評価 ★★★★☆  /  読了 2009.12.31

《水戸泉『蜜月メイド』 ×cut しょうおとあや》
 ●受け視点、三人称。
ストーリーをまとめてみましょう。
主人公・木之下秋はバイト禁止なのに夜のクラブでウェイターしてて、それが同級生にバレてストーキングされ、それから逃れるために女装した。しかも、それを提案したのはイギリス人貴族の父とトレーダーで大金持ちの母を持つハーフの美男子。その美男子は秋のバイト先に最近度々来ていて、どうやら秋のことを気に入っていた…と。
やはり思い返すという形で語られて、順序が分からなくなりかけました(汗)
しかも、そのストーカーが語りの中でしか出てこないので、女装までしないとダメなのかっていう危機感が感じられなかったです。
そして、ハーフが主人公を好きな理由が分からないなぁ…。
私的評価 ★☆☆☆☆  /  読了 2009.1.1

《木原音瀬『鈍色の華』 ×cut 鈴木ツタ》
 ●受け視点、三人称。
流れは上手くて引き込まれる感はありました。
話は気弱な中年が、会社の取引先の外人2人に、セックスの相手として気に入られて、商談の成立をダシに迫られる、という感じ。
男経験のない人が強引に迫られる話は好きですが、これはけっこう鬼畜が入ってるので、ちょっと私としては苦手かなぁと思いました。
最後には会社の社長に自らお願いしちゃうのが…堕落した感を出したのかも知れませんが、ちょっと納得できないです(汗)
んで、愛がないのが残念。
私的評価 ★★★☆☆  /  読了 2009.1.1

《和泉桂『隷従の檻』 ×cut 稲荷家房之介》
 ●ほぼ受け視点、三人称。
滅びた王国の王子が、かつて(性)奴隷だった青年たちに、逆に襲われるという話でした。
無理やりというのは好きですが、主人公の王子は本来攻めで、それもサドだったんだろうってところで、そんな彼が攻められるのがちょっと微妙かなぁと思いました。
ただ、立場を逆転させて王子を攻める、元奴隷だった青年の存在が、何か意味があるのかなと思ってたんですが、最後の最後を読んでやっぱりなぁと。
愛があったっぽいので、それは良かったなと思ったんですが、何を犠牲にしたんだろうと…それが気になりました。
私的評価 ★★★☆☆  /  読了 2009.1.1

《榎田尤利『クリスタル』 ×cut 中村明日美子》
 ●攻め視点、一人称。
初めて攻め視点の小説を読んだような気がしないでもないです。漫画だったら攻め視点もあったかと思いますが。
途中で主役の篤樹(攻)が秘書(受)に対する想いを、いつからだろう…って語りだしたときは「いきなりだな」って思いました。
あと、篤樹が秘書のことを勘違いして怒ってたことが、秘書が篤樹に贈ろうとした手紙を偶然見て気付いたところとか、そこは「う〜ん…」って思ったんですが、最後に篤樹が秘書に逆に(リバという意味ではなく)攻められるようなところにハマりかけました。
ただ、アレを飲んでもいいってところまではちょっと…引く。
(ちなみに「アレ」とは精液のことじゃないですよ)
私的評価 ★★★☆☆  /  読了 2009.1.2

《斑鳩サハラ『貴人たちの後継儀式』 × cut明神翼》
 ●ほぼ受け視点、三人称。
高貴な血筋の端に連なる四條家の長男、尚紀。だが、その一族として正式に認められるためには、上位の者が行う『成人の儀式』というものを受けなければいけない。それは、高貴な者と契り精液を体内に注いでもらうこと…つまりセックス。
最後まで拒んでいた尚紀だがその儀式で、かなり高位らしい大富豪の男や実力者、高名な外科医など3人が彼を見初める。
ベタで尚且つ男らが主人公を好きになった理由がまたしても分からない。
儀式を補佐してるらしい執事が、二人目の男の身分を説明したとき、「あ、これはギャグかコメディか」って思ったんですが…全体的にそういう雰囲気があったらもっと楽しめたと思います。
こういう話を、けっこう真面目にやってるんで微妙です…。
私的評価 ★☆☆☆☆  /  読了 2009.1.2

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