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晃と祐介が住むアパートの部屋に、エアコンはリビング兼ダイニング兼キッチンしかついていない。そのため、それぞれの部屋には扇風機しかないし、暑いのを我慢できないときには、すべての部屋の戸を開けて冷風を循環させていくしかない。
この日の夜も晃は、窓を全開にし扇風機を回していたが暑さに我慢できず、部屋全体の温度を一旦低くしようとリビングへ向かった。
向かう途中、見ると祐介の部屋の戸も締め切っていたので、冷房をつけるから開けとけよとノックしかけたが、
「密……」
そう切なそうに呟く祐介の声が聴こえてやめた。
そのまま晃はリビングへ向かいエアコンをつけて、冷蔵庫から麦茶を取り出しコップに注ぐと、テレビをつけて床にあぐらをかいた。
エアコンの冷たい風を受けながら、テレビを見るともなく眺めて晃はここ数日の祐介の様子を思い出してみた。
結局、柔道を辞めたのかどうなのかはわからないが、夏期休暇に入ってからというもの晃と同じく、アルバイトに勤しんでいるようではあった。
アルバイトをする目的は好きになった男娼を買うためで、そうやって目的を見つけて体を動かしている間はいつもと変わらない様子だったが、それでも時折ああやって募る想いに苦しんでいるのを見かけることもよくあった。
祐介の想い人は体を差し出す代わりの対価として、金を要求することにこだわっている男で、実直・真面目が売りの男である祐介は、忠実にそれを守ろうとしているようだし、晃も「会いたいなら働いて稼げ」というようなアドバイスをしたから、買える金が手に入らない限り祐介は彼に会いに行かない――行けないのだろう。
だが、祐介の募る想いが欲求不満となって現れ、それが普段の生活に支障をきたすようになるときがあり、そんなとき晃は自らの体を差し出して祐介の欲求の捌け口になったりする。
傍から見れば親友同士の枠を越えているかも知れないが、晃は祐介に対し昔から想いを寄せているので、心に苦痛は伴うものの、つい晃自身もそれを求めてしまうところがあった。
もちろん、そんな想いはひた隠しているし、祐介もまったく気づいていないと思われる。
ただ、時々欲求を我慢できずに謝ってくる祐介に、2人でする自慰みたいなものだと言って、晃は何でもない風を装った。
それにしても悩める祐介を見てしまうと、やはり晃は面白くないと思ってしまう。
なぜ祐介が好きになったのは自分じゃないのか、なぜ祐介は売春男なんかを好きになったのか、なぜ売春男は金にこだわるのか、なぜ祐介は売春男の言いなりになって買うことにこだわるのか、なぜ祐介は相手が金にこだわった時点で諦められなかったのか――。
(売春ヤローのどこがいんだよ……)
晃は会ったこともない男を断じてそう愚痴った。
大学の友人で、祐介とその青年を引き合わせた歩は、彼のことを「陰がある」と表現し、「そういうところが祐介は放っておけないんじゃないか」というようなことを言ってはいたが、限度があるだろうと思う。
相手は不特定多数に対し体を売り、自分を痛めつけて大切にしていないような男で、自分を本気で「好きだ」と言った相手に「金を払え」と要求してくるような男なのだ。
(普通は最低だとか思うだろ?)
しかし、祐介本人はそう思うどころか、今もなお想いを募らせて苦悩している。
(俺にもっと、デカイ体と強い力があったらな……)
あぐらをかいて後ろに両手をついて上体を支え、そんな姿勢でテレビをひたすら眺めながら、晃は次第に妄想を膨らませていった。
晃自身は中肉中背といえる体格で、高校までテニスをしていたのでそれなりに引き締まった体をしている。だが祐介の方はといえば、中学から恵まれた体格を持ち、柔道部に入ってからというものメキメキと逞しくなってしまった。
身長はとっくに晃を越して、体躯も晃の倍くらいはありそうな勢いだ。100kg超の階級ほどのデカイ印象はないが、大抵の者は詰め寄られたら怯むぐらいの迫力はある。
そんな祐介の体躯がもう少し縮んで、自分の体躯が今の祐介を圧倒するくらいになれば――
(そうしたら、祐介を押し倒して、抱いて――何も考えられなくなるくらい抱いてやんのに……)
内心で呟きながら、今より少し小さくなった祐介を、大きくなった自分が押し倒す光景を妄想し、晃はついその妄想に没頭してしまった。
もちろん晃が男役になって、最初は嫌がるだろう祐介を力任せに押し倒す。幼なじみであり親友であるはずの晃が、自分を襲ってくることに祐介は泣くかも知れない。妄想の中でも祐介は売春男のことが好きで、「おれには好きな奴がいるんだ!」とか言っている。
だが、晃はそれでも強引に祐介の欲情を誘って、抵抗できなくなったところに晃のオスの部分を祐介の中にねじ込むのだ。
祐介はショックを受けてもっと泣くが、それでも泣きながら喘いで晃の責めに感じてしまう。何度も祐介の中にオスを沈めながら、晃は自分の欲望と支配欲を満たしていく。
晃の強引な責めに、それでも絶頂へ導かれて2人同時に発射し、泣き喘ぎ疲れている祐介に晃は何度も囁く。
「好きだ、祐介。俺は祐介が好きなんだよ。売春男のことは諦めろ。その代わり、そんな奴のこと考えられなくなるくらい、俺が抱いてやるよ」
そう言って再び欲情をたぎらせ、何度も祐介を犯し――いや愛し、その想いを祐介の体に刻み込んでいく。次第にその想いに祐介もほだされて、晃のことが好きになりはじめ、祐介の方からも晃を求めるようになり――。
そこで晃の妄想は、戸の開く音によって中断された。
慌てて見るとリビングの戸を開けて祐介が入ってくるところだった。その思いつめた表情から、祐介が何を求めているのか、晃にはすぐにわかった。
「晃……」
「またか?」
しかし、祐介の視線が晃の下半身に注がれ、それを追うように晃も自分の下半身を見ると、己の妄想に刺激されたのか勃ちあがっていた。
「晃も……?」
「あ、うん、まぁ――」
顔を赤くしながらも、晃は今さらかと思って隠そうとはしなかった。
何も言わず隣に祐介が座り、晃の股間に手を伸ばしてくるので、晃も何も言わずに祐介の股間へ手を伸ばした。互いに互いのものをズボンの上から愛撫して行くと、23℃に設定した冷房も効かないほど体が熱くなっていく。
晃はズボンのベルトを外そうとする祐介の手を見下ろしながら、さっき自分が妄想したことが脳裏を過ぎって、たぶん無理だろうなと思いながら願望を口にした。
「あのさ、たまにはお前、入れられてみない?」
「え?」
「ほら、いつも俺が入れられてるじゃん。だから、たまにはお前入れられてみないか?」
つまり妄想と同じように晃が男役になって、祐介に女役をやれというのだ。
まさか妄想のようには行かないだろうが、晃には祐介の中に入れてみたいという願望を叶えてみたいと思った。だが、
「――それは少し、抵抗がある」
「そうなの? でも、やったことないんだろ?」
「いや、密とやったときに指を入れられたが我慢できなかった」
「あ、そう」
こういう話をするといつもあいつが出てきやがる、そう憎憎しく思いながら晃はそれ以上頼めなくなった。
「入れたいのか?」
少々残念そうにする晃を見て、祐介が「おれに?」と思いがけない要求を聞いたと、驚いた表情をしたので晃は慌てて誤魔化した。
「いや、だから――普通の男はそうだろ?」
つまりノーマルな男だったら、普通は入れる方を好むだろうという意味だ。
「別に入れられるのが嫌ってわけじゃないし、その、気持ちいいっちゃいいけど、まぁ、たまには、な」
言ってて気恥ずかしくなり、晃は自分からズボンを脱ぎつつ話をそこで切った。
「ま、いいからやろう。やらなきゃ治まんねーし」
晃の話を聞いて最初は迷っていた祐介も、ズボンを脱がされ直に触られると、我慢ができないというように晃の後ろを愛撫しはじめた。
祐介の指が中に入ってくるのを感じながら、晃はいつも限界まで求めてくる祐介に釘を刺しておこうと軽く睨め付けて言った。
「でもさ、明日俺バイト早いんだよ。だから、ちょっとは控え目にしろよ」
「わかった」
だが、いざ始まると若い青年たちの箍は外れて、理性は欲情にかき消されてしまう。
妄想では『何も考えられないくらい抱いてやる』と言いながら、現実では晃自身が何も考えられなくなってしまうのだった。
晃の忠告も虚しく、腰が痛くなるほど繰り返し責められ、疲れて泥のように眠りについたその夜、晃が描いた妄想が夢になって現れた。
思ったよりも小さく可愛くなった祐介が、人身売買をする男に連れて行かれそうになり、現実よりもずっと強い晃が男を殴り飛ばすと、祐介を身売りから助けた。
ところが、部屋まで連れて戻りホッとしていると、小さな祐介は「なんてことするんだ!」と助けた晃をなじるのだ。
なぜ怒るのだと聞けば、祐介は人身売買をしているあの男を好きなんだと言う。
カッときた晃は祐介を怒鳴った。
「バカヤロー! お前は売られるところだったんだぞ! あいつはお前を騙してんだぞ!」
だが、祐介は聞き分け悪く、あの男のところへ戻ると言って暴れ出す。
頭に来た晃は祐介を押し倒すと荒々しくキスをした。自分はこんなにも祐介のことを好きなのに、なんでお前はあんな奴を好きになるんだ、と腹立たしさと愛しさをぶつけるように長い長いキスをした。
そのうち大人しくなった祐介が、晃に組伏された状態で睨みつけてきた。心なしか目は潤んでいるように見える。そして、「なんでこんなこと」と聞いてくるから、晃は「好きだからだ」と言って祐介の体を弄り始めた。
再び抵抗しながら祐介が言う。
「おれと晃は親友だろ! こんなことはやめてくれ! おれはお前とこんな風になりたいわけじゃない!」
祐介の言葉に傷つきながら、だが晃はやめなかった。体格の差にものを言わせて祐介を屈服させると、自分の欲望をすべて祐介に押し付けた。
たとえ祐介が泣いても、泣き叫んで「やめてくれ」と懇願しても、「嫌いだ」と言われても、祐介の目が虚ろなものになってしまっても――。
「好きだ、祐介。誰のことも、何も考えられなくなるくらい愛してやるよ」
無抵抗になった祐介を繰り返し求めながら、絶頂をたぐり寄せようと夢中になって腰を振って――
「っ――」
あと少しというところで晃は目を覚ました。
ぼんやりと鈍い意識はまだ半分夢の中で、下半身に違和感を覚えて手をやれば、晃のそこはしっかりと立ち上がっていた。
ズボンの中に手をやって自身を慰めながら、晃はさっきの夢を思い出しつつ精液を吐き出した。
ベッドの上に上半身を起こして、手の中のそれをティッシュで拭っていると、ふいに晃は泣きそうになった。
涙が出る理由はわかっていたが、晃はそれをあえて考えないようにして、鳴り出した目覚まし時計を止めるとベッドを降りた。